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賑わいの中で 前半
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小鳥のさえずりが耳に届き、わたしはゆっくりと目を覚ました。
まだ薄暗い森の中、ノアの尻尾が心地よさそうに揺れているのが見えた。
「もうすぐだな、町まで」
ノアが伸びをしながら言う。
「……うん」
緊張と期待が入り混じり、わたしは小さく息をついた。
森を抜けると、遠くに高い城壁が見えてきた。道には荷車や人の列ができていて、笑い声や呼び声が風にのって運ばれてくる。
(これが……町)
わたしたちも列の最後尾に並び、少しずつ前へと進んでいく。前に並ぶ人々の背中や、荷車に積まれた野菜や布が目に映り、町のにぎわいをますます近くに感じた。
やがて列が進み、わたしたちの番がきた。
門番が大きな手を差し出し、低い声で言う。
「目的はなんだ?」
ノアが一歩前に出て答える。
「旅の途中なんだ。休む場所を探してて……それから、冒険者登録もしたい」
門番は短くうなずき、次に大きな手を差し出した。
「町に入るには入場料がいる。子どもは銅貨一枚で、そこのくまは…一緒に旅してるのか?」
「そうだよ!シエルの相棒なんだ」
「動物がしゃべるなんて初めてだ…一緒に行動してるならこどもと同じで銅貨一枚だな。二人合わせて銅貨2枚だ」
エリーが持たせてくれた小さなお財布を鞄から取り出す。革のひもで口を留めた袋の中には、じゃらりと銅貨の音。
(茶色い硬貨が銅貨……そう教えてもらったんだった)
緊張で指先がこわばりながらも、一枚、また一枚と取り出す。
「……これで」
両手で差し出すと、門番が数を確かめ、口元をわずかに緩めた。
「ちょうどだな。入っていいぞ」
門をくぐった瞬間、ざわめきが一気に押し寄せる。
通りには露店が並び、香ばしい焼き菓子や香辛料の匂いが入り混じり、荷車を引く商人や行き交う人々の声が重なって耳に届く。
村では味わえなかった、あふれるほどの活気が広がっていた。
「……すごい」
思わず立ち止まると、ノアが隣で尻尾を揺らしながら笑った。
「活気があるな。さて、まずは冒険者ギルドに行こうか」
ライナスから預かった紹介状を思い出し、わたしはぎゅっと鞄の中を確かめる。
(ちゃんと持ってる……)
ノアは道端にいた行商風の男に声をかけ、ギルドの場所を尋ねた。
「中央広場の先だよ。大きな看板が出てるからすぐ分かるさ」
そう教えられ、わたしたちは人波の中を抜けて歩き出した。
やがて、石造りの立派な建物が見えてきた。扉の上には交差した剣と杖の紋章、冒険者ギルドの印が掲げられている。
ノアが尻尾を揺らし、にっと笑った。
「さあ、行こう。シエル、準備はいい?」
「……うん」
深く息を吸い込み、小さくうなずいた。
まだ薄暗い森の中、ノアの尻尾が心地よさそうに揺れているのが見えた。
「もうすぐだな、町まで」
ノアが伸びをしながら言う。
「……うん」
緊張と期待が入り混じり、わたしは小さく息をついた。
森を抜けると、遠くに高い城壁が見えてきた。道には荷車や人の列ができていて、笑い声や呼び声が風にのって運ばれてくる。
(これが……町)
わたしたちも列の最後尾に並び、少しずつ前へと進んでいく。前に並ぶ人々の背中や、荷車に積まれた野菜や布が目に映り、町のにぎわいをますます近くに感じた。
やがて列が進み、わたしたちの番がきた。
門番が大きな手を差し出し、低い声で言う。
「目的はなんだ?」
ノアが一歩前に出て答える。
「旅の途中なんだ。休む場所を探してて……それから、冒険者登録もしたい」
門番は短くうなずき、次に大きな手を差し出した。
「町に入るには入場料がいる。子どもは銅貨一枚で、そこのくまは…一緒に旅してるのか?」
「そうだよ!シエルの相棒なんだ」
「動物がしゃべるなんて初めてだ…一緒に行動してるならこどもと同じで銅貨一枚だな。二人合わせて銅貨2枚だ」
エリーが持たせてくれた小さなお財布を鞄から取り出す。革のひもで口を留めた袋の中には、じゃらりと銅貨の音。
(茶色い硬貨が銅貨……そう教えてもらったんだった)
緊張で指先がこわばりながらも、一枚、また一枚と取り出す。
「……これで」
両手で差し出すと、門番が数を確かめ、口元をわずかに緩めた。
「ちょうどだな。入っていいぞ」
門をくぐった瞬間、ざわめきが一気に押し寄せる。
通りには露店が並び、香ばしい焼き菓子や香辛料の匂いが入り混じり、荷車を引く商人や行き交う人々の声が重なって耳に届く。
村では味わえなかった、あふれるほどの活気が広がっていた。
「……すごい」
思わず立ち止まると、ノアが隣で尻尾を揺らしながら笑った。
「活気があるな。さて、まずは冒険者ギルドに行こうか」
ライナスから預かった紹介状を思い出し、わたしはぎゅっと鞄の中を確かめる。
(ちゃんと持ってる……)
ノアは道端にいた行商風の男に声をかけ、ギルドの場所を尋ねた。
「中央広場の先だよ。大きな看板が出てるからすぐ分かるさ」
そう教えられ、わたしたちは人波の中を抜けて歩き出した。
やがて、石造りの立派な建物が見えてきた。扉の上には交差した剣と杖の紋章、冒険者ギルドの印が掲げられている。
ノアが尻尾を揺らし、にっと笑った。
「さあ、行こう。シエル、準備はいい?」
「……うん」
深く息を吸い込み、小さくうなずいた。
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