ぬいぐるみとの約束

misa

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積み重なる日々

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数日が過ぎた。
布袋の中に、いつの間にか銅貨が増えていく。
同時に、わたしの中にも少しずつ“自信”が積み重なっていた。

ルミナハーブ採取。
お店の手伝い。
荷物運び。

小さな依頼ばかりだけれど、それでも確かに、誰かの役に立てている。

ノアは相変わらずそばにいて、失敗すれば笑って励まし、成功すれば尻尾を振って喜んでくれた。

ただ、その間、グレイと会うことはなかった。

(また……魔法、教わりたい)

あの日のスライムとの戦いで、力を使える実感を得たからこそ、もっと学びたくなった。
そしてそれを、次の依頼にも活かしたい。

そんなある日の昼下がり。
ギルドで掲示板を眺めていると、背後から落ち着いた低い声がした。

「……順調にやれているようだな」

振り返ると、そこにはグレイが立っていた。
腕を組み、相変わらず無表情なのに、どこか安心しているようにも見える。

「グレイ……!」

思わず声が弾んでしまい、恥ずかしくなって背筋を伸ばす。

「依頼をいくつもこなしていると聞いた。
あの日の魔法も、悪くなかった」

「……ありがとう」

胸がじんわり熱くなっていく。

ノアが隣でにやりと笑い、しっぽを揺らした。
「で?また教えてくれるのか?」

グレイは僅かに目を細め、静かに頷いた。

「風の理はまだ形になっていない。
このままでは、いざという時に遅れをとる」

視線はまっすぐわたしを捉えている。

「続きをやるぞ。明日の朝、訓練場に来い」
「光の理も少し試す。お前に扱えるならな」

光。
あの日、しろきつねに寄り添っていたような……
心の奥でふわりと灯る、あの暖かい輝き。

(わたしに……できるかな?)

不安と期待が混じる胸の鼓動。

グレイが少しだけ口元をゆるめ、ひとこと添えた。

「……お前は伸びる。安心して来い」

たったそれだけなのに、胸がいっぱいになる。

「はい……!明日、必ず行きます!」

そう答えると、グレイは踵を返し、静かにギルドを後にした。

(また、教えてもらえる……!)

溢れそうになる笑みを押さえきれず、
ノアが隣で誇らしげに尻尾を揺らした。

ノアと顔を見合わせ、軽く息をついたとき。

受付の女性がこちらに声をかけてきた。

「シエルさん、最近よく頑張っていますね」

「あっ……ありがとうございます」

「依頼達成数が一定に達すると、冒険者ランクを昇格させる申請ができるんですよ。
いまのまま依頼を続けていけば……きっとすぐです」

「ランク……」

胸の奥がまた少し、熱くなる。

「ランクが上がると、受けられる依頼の幅が広がります。
危険なものも増えますが……その分、やりがいも報酬も大きくなりますよ」

受付の女性は、そっと励ますように微笑んだ。

「ノアさんも一緒なら、きっと心強いはずです」

「もちろんだ。シエルが強くなるのはオレも嬉しいしな」

ノアがにかっと笑って肩に飛び乗った。

わたしは思わず笑みをこぼし、胸の前で拳を握る。

「もっと、できるようになりたい……!」

ランクを上げる。
その言葉が、また新しい目標として芽生える。

(明日の訓練、絶対にうまくやる)

決意を胸に、わたしはノアと共にギルドを後にした。
 
 
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