【R18】無能王子の傀儡計画 怠惰に寵姫たちと暮らしたいだけです

白鷺雨月

文字の大きさ
24 / 44

第二十四話 亜人族との交流

しおりを挟む
 僕たちがゾルジアの後ろ盾を得てから約一月ひとつきが過ぎた。
 ジルの姉であるゾルジアの計らいで僕は辺境の街フェリオンに屋敷を貰い、そこに住むことになった。
 ついでといったらなんだが、ゾルジアに頼んでメイドのヒルダにその屋敷で働いてもらうことにした。
 屋敷はそれなりに広いので、ジル一人ではたいへんだと思ったからだ。それにヒルダは豚耳があるとはいえ、ぽっちゃり巨乳なのでそばに置いておきたかったからだ。これはまあ、百パーセント下心だ。
 断られたら諦めようと思っていたがヒルダは快く引き受けてくれた。
「シオン殿下にお仕えすることができて、何より光栄でございます」
 とそんな嬉しいことをヒルダは言ってくれた。


 その日、僕はオリオンに乗りフェリオス大森林に狩りに出かけた。
 ヒルダの父親で猪牙オーク族の有力者であるアルベルトと共に大森林の奥深くにはいる。
 アルベルトの身長は160センチメートルほどで縦も横も同じような体型をしている。太っているというのではなく、がっしりとした感じだ。分厚い筋肉の上に脂肪が乗っている。そんな体型だ。
 足が短くて馬に乗れないということで、アルベルトは徒歩だ。
 力強く一歩一歩歩くさまはまさに森の支配者であった。
 オリオンはそんなアルベルトに合わせて、ゆっくりと歩みを進める。
 アルベルトと狩りに出るのはこれで三度目だ。
 狩りは猪牙オーク族にとって重要な仕事であった。森の民である彼らは実質このフェリオス大森林の管理者である。
 猪牙オーク族が木々を伐採し、狩りをしなければ大森林はあっというまに荒れ果ててしまうだろう。

 アルベルトが立ち止まり、鼻をひくひくと鳴らす。
「殿下、鹿の匂いがします」
 低いバリトンボイスでアルベルトは僕に告げる。
 僕はアルベルトが指さす方向を見る。
 それと同時に胸の中の小さな炎に着火する。
 その熱い炎の力を目と腕に限定する。
 炎の力はこのひとつきの間、エルクと訓練してかなり使いこなせるようになった。
 炎の力で視力が向上する。
 100メートルかなたの木々の間に巨大な鹿を発見した。
 どうやら雄鹿のようだ。
 基本的に猪牙オーク族は雌とその仔は狩りの対象としない。
 それは森の資源を守るためだ。
 木々も儲かるからといって切りすぎることはしない。
 それが彼らの恵みの森を守る手段なのだ。

 僕は背中の矢筒から一本の矢を取り出し、弓をかまえる。狙うはあの雄鹿の頭部だ。
 腕に炎の力をみなぎらせて、一息に放つ。
 矢は理想的な放物線を描き、雄鹿の頭部に命中する。
「お見事」
 アルベルトが言った。
 だがまだ完全に仕留めていない。
 僕の視界には苦しそうに暴れる雄鹿が見える。
 さらに矢を構え、放つ。
 再び頭部に命中し、雄鹿はばたりと地面に倒れた。

 僕はオリオンを走らせる。
 アルベルトは足は短いが走るのは速い。
 オリオンに遅れずについてくる。
 その雄鹿は二メートル以上ある大物であった。
「これはまた見事な鹿ですな」
 アルベルトはぶつっぶつっと二本の矢を抜く。
 僕はその矢を受け取り、矢筒に戻す。
 オリオンから降り、僕は鹿に向かって手を合わせる。
 アルベルトも同じなように手をあわせ、黙祷する。

 初めて狩りに出て、兎を狩ったときも同じことをした。僕の行動をアルベルトはいたく気に入ったようだ。
「見たことのない祈りですが、死者に対する感謝の意を感じます」
 アルベルトはそう言った。
 僕たちは生きるために生き物を殺す。せめて死後の安寧ぐらいは祈ろうと思う。
「まあ、これは僕の自己満足ですよ」
 僕はアルベルトにそう言った。

 射止めた大鹿はやはり二メートルを越えていた。
 アルベルトは軽々とその大鹿を担ぐ。
「本当にこの獲物をいただいてよろしいのですか?」
 アルベルトがそう尋ねるので、僕は頷く。
「ああっ村の皆で分けてよ」
 僕はそう答えた。
 大鹿の肉は燻製にして食料に毛皮と角は交易品になる。捨てる所はほぼ無い。
「ヒルダにはお世話になっているからね」
 僕はオリオンにまたがる。
「それでは遠慮なく。そうそうギボの実が取れたのでお土産にどうぞ」
 アルベルトはふところから布袋を取り出し、僕に手渡す。
 ギボの実はこのフェリオス大森林で取れる木の実だ。非常に栄養価が高く、精力剤としての効果がある。
 猪牙オーク族は頑強なのでこのギボの実はあまり食べない。この前、僕がこれを食べたら、なんとジルとエルク二人を一晩中愛することができた。
 二人からはこの実は食べないようにと翌朝、そう約束させられた。
 仕方がないので交易所に持っていったらかなりの高額で買い取ってくれた。どうやら媚薬の原料なのだとかいう話だ。

 僕はその布袋から一粒取り出し、上着のポケットに忍ばせた。
 ジルとエルクには止められたけど、リリムには止められていないからね。


 僕とアルベルトは大森林を出た。
 朝早くに出たのだが、もう時刻は夕暮れ前になろうとしていた。
 日がかなり傾いてきている。
 大森林を出たところで僕はアルベルトと別れた。
 あの大鹿を背負ってい猪牙オーク族の村まで歩いて帰るのだからアルベルトの体力は凄まじい。
 アルベルトもゾルジアと同じ様に僕に協力してくれるという。猪牙オークの屈強な戦士が味方についてくれたのは心強い。
 話をつけてくれたヒルダには感謝しなくては。

 僕が屋敷に帰るとメイド服のジルとヒルダが出迎えてくれた。
 ヒルダがコップに入れた冷たい水を渡してくれる。
「おかえりなさいませ、殿下」
 ジルが上着を脱がしてくれる。
 僕はいと息で水を飲み干す。
 ふー生き返るな。
 狩りでつかれたので、風呂に入りたい。
 この屋敷には風呂がある。セリーナ邸のような立派なものではないが、それでもあるだけでうれしい。
 僕の風呂好きは前世の名残だ。

「殿下、お客様がお待ちです」
 ジルがそう告げる。
 来客か、誰だろうか。
 一先ずお風呂は後回しかな。

土鬼ドワーフ族木星のジュピター様が少し前に来られました。応接室でお待ちです」
 その土鬼ドワーフ族は前にアルベルトと狩りに行ったときに知り合った人物だ。
「分かった、会おう」
 僕は応接室に向かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

転生?したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

処理中です...