77 / 81
第七十七話 コンビニ店員の証言
しおりを挟む
あっはい、そうです。私が水野麻由です。二十歳の大学生です。この駅前のコンビニでバイトをしています。
刑事さんなんですね。早川さんとおっしゃるのですか。えっとそちらが下日尾千穂さんですか。
えっとこの似顔絵の人ですか。
うーんとそうですね、強いて言うなら私がお世話になった弁護士の先生に似ているかな。
あっ先生のほうが断然美人ですよ。
こうなんていうか目元が涼やかっていうんですかね。それにその、かなりグラマラスなんですよ。
私、羨ましいなって思います。
まあ個人の感想なんですけどね。
その弁護士の先生の名前ですか?
細井瞳さんといいます。
私がストーカー被害にあってたときにお世話になったんです。
刑事さんの前でいうことじゃないかもしれないんですけど。
当時、私、何回も警察には相談したんですよ。
でもあんまり真面目に取り合ってくれなかったんです。
あのとき本当に怖かったんですよ。
それでついにストーカーが私にナイフを持って脅してきたんです。
なんか理由の分からないこと言われました。
おまえは俺のものだなんて言われました。
私、本当に怖くて怖くて。
たまたま通りかかった男の人に助けてもらったんです。
その人が実は今の彼氏なんですよ。
その時はニートだったんですけど、私のために正社員になってくれたんです。
あっ、話がそれましたね。
それで私、友人の篠原智美に相談したんです。
あの子、なんていうか存在感のない子だったんですけど私は見つけることが出来るんです。
細井瞳さんが言うには違う世界がなんとかどうとか。難しい話なんでよくわからなかったんです。
そうそう、それで智美ちゃんに相談して細井瞳さんを紹介してもらったんです。
細井瞳さんは弁護士で本当に親身になって相談にのってくれました。
お守りにって、とても可愛らしい人形をもらったんですよ。
その人形って世界的に有名な造形師の方が製作したんですって。
ネットで調べたらけっこう高価な人形だったんです。
それでですね、その人形をもらってからあのストーカーはあらわれなくなりました。
どういう理由かはわかりませんけど、ぱったりとあらわれなくなったんです。
人形の名前ですか。
えっと細井瞳さんは真奈美って言ってましたね。
そうそう、不思議なことにその真奈美は時々、口元が赤く濡れているんですよね。
ちょっと気味悪いんですけど、それでもストーカーにつきまとわれるよりはよっぽど良いですよ。
そのストーカーはこの男かって。
スーラ、じゃなかった私、実はよく憶えていないんですよね。
お医者さんには記憶の混濁が見られるって診断されました。なんでも強い衝撃を受けると人間は精神を守るために、そういう風になるらしいですね。
はい、すいません。
まあ、たぶんですけどそんな風な顔をしていたと思います。
でそのストーカーがどうしたんですか。
えっ本当ですか。
死んだんですか。
あの、こんなこと言ったらよくないかも知れませんが私にとっては良かったです。
ストーカーが死んだんですからね。
そのストーカーの死因ですか。
大量の血を抜かれていた。失血死ですか。
まあ、怖いですね。
まるで吸血鬼にでも吸われたんでしょうか。
✗✗月✗✗日の午後六時に何をしていたかって。
あっもしかしてそれってアリバイってやつですか。
うわっドラマで見たやつだ。
その日は夜の七時までこのお店でバイトをしていました。
店長に確認してもらってもいいですよ。
そのストーカーのマンション近くで目の細い女の人が目撃されたんですか。
それがこの似顔絵の女の人なんですね。
そうですね、たしかに細井瞳さんに似てなくもないですね。
もしかして細井瞳さんが犯人なんですか。
いや、それはないでしょう。
だってあんなに優しい人が人殺しなんてね。
私の相談も本当に親身になって聞いてくれたんですよ。そんなひどいことをする人には見えません。
そ、そうですね。それは私の感想といわれればそれまでですけどね。
たしかに細井瞳さんは正義感が強い人でしたね。
ほら何年か前にマンションに男の子の兄弟を閉じこめて、遊びにいった母親の事件があったじゃないですか。
あの事件にも凄い怒ってましたね。
そういう曲がったことが嫌いだったというのはたしかですね。
細井瞳さんにストーカーの相談をしたときも、ものすごく怒ってくれました。
あのときは本当に心強い気持ちになりました。
うーん、でもさすがに殺人までしますかね。
仮にも細井瞳さんは弁護士ですよ。
そんなリスクのあることしますかね。
あっこれも私の感想ですね。
えっあの一家惨殺事件にも同じような女の人が目撃されたんですか。
あの家の人たちですよね。
まあ、こんなこと言ったらなんですけどあの人たちも死んでくれてよかったですよ。
あの家の人たち、この辺でも有名なクレーマー一家だったんですよ。
ええ、私も何回も怒鳴られましたよ。
はっきり言って死んでくれてせいせいしてます。
あっ私やってませんよ。
その事件の日は彼氏と食べ放題のお店に行ってたんです。
アリバイ調べてもらってもいいですよ。
私、食べ放題って大好きなんですよね。こう見えて実はかなりの大食いなんです。
あっもういいんですか。
はい、さようなら。
刑事さんなんですね。早川さんとおっしゃるのですか。えっとそちらが下日尾千穂さんですか。
えっとこの似顔絵の人ですか。
うーんとそうですね、強いて言うなら私がお世話になった弁護士の先生に似ているかな。
あっ先生のほうが断然美人ですよ。
こうなんていうか目元が涼やかっていうんですかね。それにその、かなりグラマラスなんですよ。
私、羨ましいなって思います。
まあ個人の感想なんですけどね。
その弁護士の先生の名前ですか?
細井瞳さんといいます。
私がストーカー被害にあってたときにお世話になったんです。
刑事さんの前でいうことじゃないかもしれないんですけど。
当時、私、何回も警察には相談したんですよ。
でもあんまり真面目に取り合ってくれなかったんです。
あのとき本当に怖かったんですよ。
それでついにストーカーが私にナイフを持って脅してきたんです。
なんか理由の分からないこと言われました。
おまえは俺のものだなんて言われました。
私、本当に怖くて怖くて。
たまたま通りかかった男の人に助けてもらったんです。
その人が実は今の彼氏なんですよ。
その時はニートだったんですけど、私のために正社員になってくれたんです。
あっ、話がそれましたね。
それで私、友人の篠原智美に相談したんです。
あの子、なんていうか存在感のない子だったんですけど私は見つけることが出来るんです。
細井瞳さんが言うには違う世界がなんとかどうとか。難しい話なんでよくわからなかったんです。
そうそう、それで智美ちゃんに相談して細井瞳さんを紹介してもらったんです。
細井瞳さんは弁護士で本当に親身になって相談にのってくれました。
お守りにって、とても可愛らしい人形をもらったんですよ。
その人形って世界的に有名な造形師の方が製作したんですって。
ネットで調べたらけっこう高価な人形だったんです。
それでですね、その人形をもらってからあのストーカーはあらわれなくなりました。
どういう理由かはわかりませんけど、ぱったりとあらわれなくなったんです。
人形の名前ですか。
えっと細井瞳さんは真奈美って言ってましたね。
そうそう、不思議なことにその真奈美は時々、口元が赤く濡れているんですよね。
ちょっと気味悪いんですけど、それでもストーカーにつきまとわれるよりはよっぽど良いですよ。
そのストーカーはこの男かって。
スーラ、じゃなかった私、実はよく憶えていないんですよね。
お医者さんには記憶の混濁が見られるって診断されました。なんでも強い衝撃を受けると人間は精神を守るために、そういう風になるらしいですね。
はい、すいません。
まあ、たぶんですけどそんな風な顔をしていたと思います。
でそのストーカーがどうしたんですか。
えっ本当ですか。
死んだんですか。
あの、こんなこと言ったらよくないかも知れませんが私にとっては良かったです。
ストーカーが死んだんですからね。
そのストーカーの死因ですか。
大量の血を抜かれていた。失血死ですか。
まあ、怖いですね。
まるで吸血鬼にでも吸われたんでしょうか。
✗✗月✗✗日の午後六時に何をしていたかって。
あっもしかしてそれってアリバイってやつですか。
うわっドラマで見たやつだ。
その日は夜の七時までこのお店でバイトをしていました。
店長に確認してもらってもいいですよ。
そのストーカーのマンション近くで目の細い女の人が目撃されたんですか。
それがこの似顔絵の女の人なんですね。
そうですね、たしかに細井瞳さんに似てなくもないですね。
もしかして細井瞳さんが犯人なんですか。
いや、それはないでしょう。
だってあんなに優しい人が人殺しなんてね。
私の相談も本当に親身になって聞いてくれたんですよ。そんなひどいことをする人には見えません。
そ、そうですね。それは私の感想といわれればそれまでですけどね。
たしかに細井瞳さんは正義感が強い人でしたね。
ほら何年か前にマンションに男の子の兄弟を閉じこめて、遊びにいった母親の事件があったじゃないですか。
あの事件にも凄い怒ってましたね。
そういう曲がったことが嫌いだったというのはたしかですね。
細井瞳さんにストーカーの相談をしたときも、ものすごく怒ってくれました。
あのときは本当に心強い気持ちになりました。
うーん、でもさすがに殺人までしますかね。
仮にも細井瞳さんは弁護士ですよ。
そんなリスクのあることしますかね。
あっこれも私の感想ですね。
えっあの一家惨殺事件にも同じような女の人が目撃されたんですか。
あの家の人たちですよね。
まあ、こんなこと言ったらなんですけどあの人たちも死んでくれてよかったですよ。
あの家の人たち、この辺でも有名なクレーマー一家だったんですよ。
ええ、私も何回も怒鳴られましたよ。
はっきり言って死んでくれてせいせいしてます。
あっ私やってませんよ。
その事件の日は彼氏と食べ放題のお店に行ってたんです。
アリバイ調べてもらってもいいですよ。
私、食べ放題って大好きなんですよね。こう見えて実はかなりの大食いなんです。
あっもういいんですか。
はい、さようなら。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる