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第二十話 円卓の騎士

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レベルが30に上がりました。
特技スキル斧使い 猪突猛進 軍旗 仲間との絆を獲得しました。
称号「北の辺境伯」「コンウィ城主」「戦鬼騎士」「自由主義者」を獲得しました。
依頼クエスト 募兵の拒否をクリアしました。
クリア特典としてコンウィ城兵の好感度が上がりました。特技スキル威厳を獲得しました。威厳の効果により、ドンレミ村及びヨーク村周辺の下級魔物の出現率が大幅に低下しました。

視界に文字列があらわれる。
どうやら二人の村長からの依頼クエストをクリアできたようだ。これで一安心だ。
レベル30か、体力も魔力もけっこうついてきたな。やはり戦闘よりも愛し合うほうがレベルアップ率が高いな。

リリィと激しく愛しあったので、けっこう眠い。僕がうとうとしているとリリィがキスをする。唇は柔らかくて美味しい。
「アーサー、眠いのか?」
優しくリリィはぼくに問う。
どこか母親のような優しさがある。
年上とわかったから、そう思うのかも知れない。
僕はうん、と頷く。
「じゃあ少し眠るといい」
優しくリリィは僕の頭を撫でる。そしてぼくの顔をリリィはその大きな胸に押しあてた。
おっぱいを枕にして眠るのは気持ちいいや。
僕は言葉に甘えて、眠ることにした。


目が覚めたら、僕はリリィの部屋のベッドに一人いた。
うーんと背を伸ばすとリリィが起きた僕に固く絞ったタオルを渡してくれる。
一度お湯につけたタオルのようでちょっと熱いぐらいだ。
それで体をふくとさっぱりした気分になる。
僕はリリィが用意した服に着替える。
けっこう良い生地のもののようだ。着心地は抜群だ。デザインはいかにも中世ヨーロッパの貴族が着る服であった。
首につけるリボンをリリィが結んでくれる。
「はあっアーサー♡♡素敵だわ♡♡」
僕の顔を見て、リリィは頬を赤らめる。
部屋に姿見の鏡があったので見てみる。
馬子にも衣装といったところかな。


リリィは僕の手をひき、もとの大広間に戻る。
リリィがパンパンと手を叩くとすぐにサーシャとザンザがあらわらる。
僕の姿を見た二人はおおっと感嘆の声をあげる。
ひょいっと二人の背後からクロネが姿をあらわす。
「おっお兄ちゃん、ハンサムになったじゃない」
僕の姿を見て、クロネが褒めてくれる。
良いのはリリィが用意してくれた洋服だと思うけど、褒められると素直にうれしい。

次ぎにその部屋に入ってきたのはアルタイルとシーアだった。アルタイルとシーアの距離が微妙に遠いのが心配ではある。
「ああっ♡♡我が君とてもご立派な姿です♡♡」
うっとりとアルタイルは僕を見つめている。エキゾチック美女に褒められてうれしい。

「アーサー様、本当にありがとうございます。サーシャから聞きましたがドンレミ、ヨークの村からの募兵は取り止めになりました」
シーアは僕に感謝の言葉をのべた。
みんなのようにこの姿も褒めて欲しかったけど、それはなかった。ちょっと残念だな。

「ザンザ、我がガラハット家の印章をもってか来るのだ」
リリィはザンザに命令する。
ピンクのロリータファッションで貴族然として命令するので、ちょっとおかしい。
ザンザはすぐに大きめの印鑑のようなものを持ってきた。
これは古い映画とかで見たことあるぞ。
手紙を蜜蝋で封印するときに使うものだ。
熱した蜜蝋を溶かして手紙にかけて、そこにこの印章を押すのだ。
そうするとそのデザインしたものが封印の絵柄として蜜蝋に型どられるのだ。
そしてそれはガラハット家の印章であった。
穴熊がデザインされていた。
リリィの話では穴熊がガラハット家の家紋だということだ。
穴熊の印章は文字通り、ガラハット家の権力の象徴である。

その穴熊の印章を両手の平にのせ、リリィは僕の元に歩み寄る。
僕はそれをうやうやしく受けとる。
これで僕は辺境伯の地位を譲り受けたことになる。
リリィは僕に権力を委譲したので、肩の荷が降りたのか、終始にこにこしている。
サーシャとザンザがこんな笑顔のリリィ様は観たことがないと囁きあっていた。
聞き耳のスキルがあるので、僕には二人の会話がまる聞こえだ。
それにしても数日前にドンレミ、ヨーク村の領主になったばかりなのに、もう辺境伯になってしまった。
前の世界では考えられない出世のスピードだ。

「もう一つあれを持ってきてくれ」
さらにリリィはザンザとサーシャに何か言いつける。
二人は同時にかしこまりましたと言い、大広間から消えていく。
ほどなくして二人は丸形のテーブルを持ってきた。
そうだ、これは円卓だ。
円卓には上下がない。
このテーブルを囲むものは身分の上下にとらわれないということを意味する。
まずリリィは僕に椅子に座るように促す。言われるまま、僕は椅子に座る。
僕の左隣にクロネ・トリスタンが座る。
右隣にリリィ・ガラハットが腰かける。
その右にシーアが座る。
クロネの左隣にはアルタイルが腰かけた。
円卓にはまだまだスペースがある。
ということはまだまだ仲間にハーレムにいれるべき人物がいるということだと僕はかんがえる。
「アーサー様、実は私は聖杯教会により姓を奪われているのです。その姓を名乗ることを許していただけますか?」
アルタイルが僕に問う。
その間にサーシャとザンザがワインを入れたグラスを皆の前に置いていく。
「もちろんだよ。どのような姓を名乗ることも君の自由だ」
僕は快諾する。
「ありがとうございます。では私はこれより元の姓であるパーシバルを名乗らせていただきます」
涙を流し、アルタイルは言った。
アルタイル・パーシバルの誕生の瞬間だ。
しかし人の姓を奪うなんて聖杯教会もひどいことをするな。
「それではシーア、あなたには途絶えた家名であるルーカンを復活させてもらいます。よろしいでしょうかアーサー様?」
リリィが僕に許可を求める。
もちろんこれも快諾する。
「ありがとうございます、アーサー様。私はこれで正式な騎士となりました。これよりはシーア・ルーカンと名乗らせていただきます」
シーアはテーブルにつくのではないかと思われるほど深く頭をさげた。

「それでは皆様、グラスをお持ちください。これより我ら円卓の騎士は身命をとしてアーサー様に忠誠を誓います」
リリィは右手にグラスを持ち、高く掲げる。
「乾杯!!」
クロネが大きな声で言った。

僕たち同時にワインを飲みほした。
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