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【第二章 ハズレモノ旺盛編】
047「四大公爵(T4)」
しおりを挟む「ん? なんだ?」
戦いを終えたエイジとジュード、そしてケイティがその人だかりへと視線を向けた。
「っ!?⋯⋯⋯⋯『四大公爵』!!」
「『四大公爵』? 何それ?」
「はぁ~~⋯⋯お前はそんなことも知らんのか」
ということで、ケイティ先生が丁寧に教えてくれました。
——————————————————
【四大公爵】
・王族の次に身分の高い位である公爵。その公爵は全部で四つあり、それを『四大公爵』と呼んでいる
<四大公爵>
『ジオガルド公爵家』
『ウェスティン公爵家』
『シャオロン公爵家』
『クリストファー公爵家』
——————————————————
「なるほど。⋯⋯つまり、かなりお偉いさんのお子様たちということですね?」
「口を慎め。⋯⋯まあ、間違ってはおらんが」
「おい、エイジ・クサ⋯⋯いや、エイジ! お前は口が悪いから黙っていろ、いいなっ!?」
ジュードに何やら失礼なことを言われる。⋯⋯ていうか、二人ともしれっと『エイジ』と名前呼びしやがった。少しは親近感をわいてくれたようで何よりである。⋯⋯ていうか『エイジ・クサ⋯⋯』って、何か『エイジ草』って感じで嫌だな。
そうして、二人に事前準備としてアドバイスをもらっていると『四大公爵』が野次馬を連れながらゆっくりとした足取りでやってきた。
「やあ、ケイティ・バクスター先生。今の決闘拝見させていただきました。彼が噂の『元救世主の平民』ですね?」
「ああ、そうだ」
「やはり、そうなんですね。いやぁ~実際にお会いしてみたかったので、こうやって直接会うことができて光栄です。⋯⋯少しお話でも?」
「セ、セイン⋯⋯クリストファー様! か、彼は救世主から平民になったばかりであるため、その⋯⋯この世界の『常識』を理解しておりませんので、私でよければ間に入ってお話を⋯⋯」
「私は彼と直接話がしたいと言ったのですが?⋯⋯ジュード・プリンシパル」
「⋯⋯うっ!? し、失礼しました」
さっきまで威風堂々とした振る舞いをしていたジュードであったが、四大公爵という奴らの前ではそのような振る舞いは影を潜める。⋯⋯無理もない。それだけの身分差ということなのだろう。
「というわけで、エイジ・クサカベ君だったかな? 君は⋯⋯⋯⋯16歳?」
「ん? ああ、そうだけど⋯⋯」
「おい、コラ⋯⋯元救世主で今は平民野郎! お前、公爵家に向かってなんだその口の聞き方は?」
横から、180⋯⋯いや190センチ近くあるであろう赤髪短髪の図体も態度もデカイ奴が割り込んできた。だが、
「いいよ、ジェイク。私はそういう堅苦しいのは嫌いだから⋯⋯」
「ヘン! 何をいまさら! 四大公爵クリストファー公爵家の跡取りがそんなこと言ってどうすんだ! もっと威厳を持って接しろ!」
なぜか、直接話しかけられたわけでもないジェイクという男が、セインという奴に対して怒りの感情そのままに注意する。
「まあまあ、いいじゃないですか⋯⋯ジェイク」
「うるせー! 引っ込んでろ、リアム!」
「おー怖い、怖い」
今度は濃いブルーの髪色をした『中性的美男子』⋯⋯いや、どちらかというと⋯⋯『男の娘枠』ゲフン、ゲフン⋯⋯な『リアム』という奴がジェイクに無下に怒鳴られる。⋯⋯が、本人はそれほど恐れている感じでもなく、むしろ飄々としていた。
「俺はよー、異世界から来ただけで俺たち『公爵』と同等扱いをされる『救世主』が大嫌いなんだよ! お前らだってそうだろっ?!」
「いえ、私は別に何とも」
「僕も特には⋯⋯」
「ああっ!? 嘘つけ、お前ら⋯⋯」
「ああ、もうっ! うっさいわねー!!」
ゴッ!
「ぐっ!?」
ワーワー言っているジェイクに、いきなり右ストレートを放ったのは、
「あんた、さっきからごちゃごちゃうるさいわよ、ジェイク!『元救世主』のその子とまともに話ができないじゃない! 殴るわよっ!!」
「いや、もう殴ってんじゃねーかっ!? ていうか、リーゼ、お前さ~⋯⋯そう、いつもポンポンポンポン殴ってくんなよ! 結構痛いんだからな!」
いきなり殴った『リーゼ』という『桃色ツインテール女子』に、ジェイクが怒鳴る⋯⋯⋯⋯かと思いきや特に怒ってはいないようだ。⋯⋯ていうか、こいつのセリフからこのリーゼという美少女が殴るのは毎度のことらしいな。⋯⋯この美少女、見た目よりも好戦的ということか。⋯⋯ということは武術に長けている子なのかな?
「すまない、エイジ・クサカベ君⋯⋯バタバタしてしまって。さあ、改めて話をしよう」
ということで、セイン・クリストファーにより仕切り直しとなった。
********************
「改めて⋯⋯はじめまして。私の名は『セイン・クリストファー』⋯⋯クリストファー公爵家の者だ」
そう言って、セインという男はスッと誰もが見惚れるような所作で優雅にお辞儀をする。そのような所作がかえって、その者から滲み出る強者のオーラというものを感じさせられた。しかし、
「どうも、エイジ・クサカベです。元救世主で今は平民な者です」
エイジはそんなセインに淡々と他の人と変わりない挨拶をする。それを見て、
「良い! やっぱり良い! エイジ・クサ⋯⋯いや、エイジ君ってやっぱり良いねっ!!」
と、なぜかセインは本来であれば失礼な態度であろうエイジに対し、満面の笑み&手放しの賛辞を送る。これにはエイジも驚き、
「い、いや、セイン様のほうが⋯⋯」
「セインでいいよ! 私も君のことを『エイジ』って呼ぶから! あと敬語もいらないから!」
「じゃ、じゃあ、セインで。えーと、セイン⋯⋯お前、変わってるな~」
「そうかい? 君ほどじゃないと思うよ」
「いやいやいや、そんなことないって!」
俺はなぜか、この『セイン・クリストファー』とすっごく意気投合した。マジで何でだろう?⋯⋯不思議だ。
しかし、俺はその時は気づかず後でジュードに教えてもらい知ったのだが、この時、周囲にいたジュードやケイティ先生、それと他の『四大公爵』のメンバーも俺とセインの⋯⋯まるで昔からの友達のようなピッタリと息の合ったやり取りに驚いていたらしい。
そんな話をしていると今度は、
「ふ~ん⋯⋯あのセインがここまで心を許すとはちょっと意外だ。僕もかなり、君に興味を持ったよ⋯⋯⋯⋯エイジ・クサカベ君?」
そんな言葉をかけたのは『魅惑の男の娘枠』で有名な(俺の中で)、あの濃いめのブルーの髪色をした中性的美男子だった。
「僕の名はリアム・シャオロン。セイン共々よろしくね!」
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