イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

mitsuzoエンターテインメンツ

文字の大きさ
9 / 157
第一章

009「新屋敷ソラという生徒について(ストーキング終了)」

しおりを挟む


「来たわね、新人ルーキー!」

 新屋敷ソラがギルドに入ると、窓口にいたきれいなお姉さんにすぐに声をかけられていた。

 何なの、あの女性ひと(怒)?

「はい、よろしくお願いします」

 新屋敷ソラが学校では見せたことのない笑顔・・で返事をした。

 え? 別人?

 普段、学校で笑顔など見せない彼の顔を初めて見た。普段から「だいぶ影はあるけど、きれいな顔立ちしてるな」とは思っていたこともあったので、そんな彼の不意打ちの笑顔はかなりのインパクトがあった。

「いい! すごくいい! 笑顔素敵じゃない! パーツはいいのに普段寝てばっかりで顔をまともに見せないだなんてやっぱりもったいないわ! 新屋敷ソラ、もっと普段からその顔を見せなさいよね! 何なの、もう!」

⋯⋯コホン。

 つい、少々、多少、口からいろいろと出てしまいましたわ。

 とりあえず、今のことは忘れてください。

 忘れるように。忘れなさい。⋯⋯⋯⋯忘れろ。



 新屋敷ソラ⋯⋯⋯⋯ソラ君は(今度からは名前で呼びましょう。今、私が決めました)、窓口のお姉さんに挨拶を済ませるとダンジョンの入口へと進んで、そのまま中に入っていった。

「ええっ?! ソ、ソラ君がダンジョンの中に?! え? え? ソラ君って探索者シーカー⋯⋯⋯⋯⋯⋯『高校生探索者シーカー』だったのっ!?」

 私はソラ君が探索者シーカーであることに驚いて、思わず大声を出してしまった。すると、

「あれ? ソラ君のお友達?」

 さっきの窓口の(ソラ君にちょっかいを出してた)お姉さんに声をかけられた。

「はい、友達です」

 私の中ではソラ君はすでに『友達』なので問題ないでしょう。

「ソラ君が探索者シーカーになったの知ってたの?」
「あ、いえ、さ、さっき、たまたま見かけたので、跡を追ったらここに入っていったのが見えたので⋯⋯」
「へ~跡を追いかけたんだ? ふ~ん⋯⋯」

 お姉さんが何かニヤニヤしている。

 何かすっごいマウント取られているような気がしたので、

「べ、別に、跡を追いかけてもいいじゃないですか!? と、とと、友達なんですから! ちゃんと友達なんですからね!」
「はい、はい、お母さんは信じていますよ」
「お母っ!?⋯⋯⋯⋯な、何なんですか、その上からの物言いは! 不愉快です!」
「あはは。ごめんごめん、怒らないでよ。それにしても、ソラ君すごいよね。まだ高校生になったばかりなのに探索者シーカーの試験合格するんだから。『高校生探索者シーカー』なんてかなり珍しいのよ」
「ええ、知ってます」
「ソラ君とは仲良いの?」
「ええっ!? そ、そそそ、そうですね。ええ、な、仲良いですわよ⋯⋯!」
「ソラ君って、普段からあんななの?」
「まーそうですね。ただ、学校ではあんな笑顔見せたことないのですごく意外でした」
「えっ?! そうなの?」
「はい。ていうか、普段ソラ君はいつも机に突っ伏して寝てばっかですわ。極力誰とも関わろうとしないですし⋯⋯」
「ええっ!? し、信じられない! ソラ君ってけっこう整った顔してるし、気さくだからてっきりリア充な高校生活送っているんだと勝手に思っていたわ!」

 と、お姉さんが私の話を聞いてだいぶ驚いていた。

「ふ~ん⋯⋯学校では誰ともしゃべらないんだ、ソラ君。ギルドでは⋯⋯まあ少し無口ではあるけど、そこまでしゃべらない子なんて印象じゃなかったから、まさか学校で『ぼっち』だなんてちょっとビックリだわ」
「私からしたら、ギルドここでのソラ君がビックリです。お互い様ですわ」



「まー、それはそれとして。でもソラ君ってちょっと不思議な子よね⋯⋯」
「そう⋯⋯ですか?」
「うん。普通探索者シーカーにデビューしたばかりの人って⋯⋯⋯⋯あ、探索者シーカーって『F級』から始まるんだけど⋯⋯」

 そう言って、お姉さんが簡単に探索者シーカーについての説明をしてくれた。

「でね、普通探索者シーカーになったばかりの新人ルーキーの多くは、先輩探索者シーカーに声をかけてダンジョンに入るのが一般的なの。だって、初めは誰だって怖いでしょ? ダンジョンに一人で入るのって」
「そうですわね」
「でも、ソラ君は『自分は一人がいいです』て言って、いつも一人でダンジョンに入っていくの」
「ええ?! だ、大丈夫なんですか?! ダンジョンって怖い魔物とかがいっぱいいるんですよね!!」
「まーね。でも、ダンジョンの入口あたり⋯⋯1階層なら問題ないのよ。1階層の魔物は新人ルーキーでも単独で倒せるレベルだから。まーそれでも探索者シーカーなりたての最初は怖いものだと思うんだけどね⋯⋯」
「そうですわね」
「でも、ソラ君、先週探索者シーカーデビューしてからこれまでダンジョンに毎日入っているけど、特にケガらしいケガもしていないようだから少し安心はしたけどね」
「そうだったんですね」

 私は受付のお姉さんと話したあとそのまま家に帰った。話してみるとお姉さんは意外と話しやすくて良い人だった。名前は琴音さんというらしい。

「それにしても、ソラ君が探索者シーカーになっていただなんて⋯⋯」

 ただでさえ、探索者シーカーになれるような人っていうのは限られるのに、まして、現役高校生での『探索者シーカーデビュー』なんて全国的にもほとんどいない。しかもソラ君はまだ高校一年生⋯⋯。

 ちょっとネットで調べてみたら『高校生探索者シーカー』は国内では30人くらいしかいないらしい。それでもかなり希少だけれども、ソラ君のような高校一年生で『高校生探索者シーカー』になった人は10人もいないとあった。これって、かなりすごいことだわ⋯⋯っ!

 まー同じクラスにもう一人・・・・『高校生探索者シーカー』がいるけど、私は彼を認めていない。『何が』という理由があるわけではないけれど、言うなれば『直感』。⋯⋯⋯⋯ソラ君に強く魅力を感じるのと同じように、私の『直感』があのもう一人・・・・の『高校生探索者シーカー』⋯⋯『竜ヶ崎真司』にはずっとうさんくささを感じている。

 まーそんなことはどうでもいいわ。

 とにかく、ソラ君と話してみたい。友達になりたい。

 でも、どうやったら話ができるかしら?

 とにかく、何とかして話ができる機会を考えてみましょう。

 私はそう心に決めると、ベッドから起き上がり机にノートを広げ計画プランを練った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

社畜生活に疲れた俺が転生先で拾ったのは喋る古代ゴーレムだった。のんびり修理屋を開店したら、なぜか伝説の職人だと勘違いされている件

☆ほしい
ファンタジー
過労の末に命を落とした俺、相田巧(アイダタクミ)が目を覚ますと、そこは剣と魔法の異世界だった。神様から授かったスキルは「分解」と「再構築」という、戦闘には向かない地味なもの。 もうあくせく働くのはごめんだと、静かな生活を求めて森を彷徨っていると、一体の小さなゴーレムを発見する。古代文明の遺物らしいそのゴーレムは、俺のスキルで修理すると「マスター」と喋りだした。 俺はタマと名付けたゴーレムと一緒に、街で小さな修理屋を開業する。壊れた農具から始まり、動かなくなった魔道具まで、スキルを駆使して直していく日々。ただのんびり暮らしたいだけなのに、俺の仕事が完璧すぎるせいで、いつの間にか「どんなものでも蘇らせる伝説の職人」だと噂が広まってしまい……。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として

たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。 だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。 一度目では騙されて振られた。 さらに自分の力不足で全てを失った。 だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。 ※他サイト様にも公開しております。 ※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※ ※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

処理中です...