イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

mitsuzoエンターテインメンツ

文字の大きさ
38 / 157
第二章

038「ギルドマスター」

しおりを挟む


「ふぅ~⋯⋯やっと着いた」

 俺は19階層から1階層へ戻ってきた。

 ちなみに、このダンジョンは15階層に5階層へ戻る『転移陣』というものがある。『転移陣』というのはラノベの異世界ダンジョン系でおなじみのアレだ。

 ここでは、地面に直径1メートルほどの魔法陣が書かれていて、そこの上に立って「転移!」と言うとそれを合図に5階層へ転移する。ちなみに、15階層から5階層に転移することはできても逆はできない。⋯⋯一方通行である。

「んー、5階層から一気に15階層へ行くのはズルだとでもダンジョンを作った人は思ったのだろうか?」

 そんな、答えの出ない不毛な疑問を考えながら、俺は「転移!」と言って5階層へと戻り、そして今に至る。

 尚、この転移陣のおかげで16階層までの行きは延べ2時間ほどかかるも、帰りは転移陣を使えば1時間以内で戻ってこられた。ちなみに15階層に転移陣があるので、探索者シーカーによっては10階層の休憩所を使わずにダンジョン探索を行う探索者集団シーカー・クランもいる。まー、10階層の休憩所まで戻るよりはこのほうが楽と考える人もいるだろうな。

 とまあ、そんなわけで1階層に戻ってきた後、関東B6のギルドで魔物を倒して回収した魔石や魔物の素材、あとドロップアイテムなどを売却。一通り、売却が終わった後に

「あのすみません⋯⋯。ダンジョンでレア物を倒したら報告して⋯⋯と本部の琴音さんに言われたのですが⋯⋯」

 と、受付嬢に報告すると、

「レっ!? レレレ⋯⋯レア物を倒したぁぁぁ~~っ!? はうぅぅぇっ!」

 と、きれいな顔が台無しになるレベルで驚いた。

「そ、そそそ、その報告はここではなく、直接ギルド本部に⋯⋯ギルド本部にぃぃぃ~~~~っ!!!!!!」

 と、なぜか受付嬢からプチパニック気味に泣きつかれ懇願された。

「い、行きます! 本部に直接報告に行きますから!! だ、だから、だから⋯⋯⋯⋯もう泣くのはやめてください!」
「ひっく⋯⋯⋯⋯はい」

 だって、周囲の人たちからもの凄い誤解の眼差し受けてますから。


********************


——探索者シーカーギルド『インフィニティ日本本部』

「あら? ソラ君、久しぶり~!」

 関東B6の受付嬢になぜか泣きつかれ周囲から白い目で見られた後、逃げるようにギルド本部へときた俺は少し奥のほうに琴音さんを見つけた。すると、すぐに琴音さんも俺に気づいたようで俺よりの先に向こうから声をかけられた。

「琴音さん、お久しぶりです。前に言ってたレア物倒して『魔力洗浄マナクリーン』のスキル、ゲットしましたよ~!」

 と開口一番報告するや否や、バッといきなり琴音さんがゼロ距離まで近づき、そして、

 ムギュゥゥッ!!!!!

 ものすごい力でムギュウされた。

 本来喜ぶべきシチュエーションのはずなのだが、なぜか琴音さんの顔が笑っていない。⋯⋯むしろ深刻な目をしていた。

「ソラ君? これ以上はお口チャックね? さ、おねいさんと一緒にちょっと奥まで・・・⋯⋯⋯⋯散歩しよっか?」
「え? あ、えーと⋯⋯⋯⋯⋯⋯はい」

 俺の意思は琴音さんの無言の圧で完全に封印され、されるがままギルドの奥へとズルズル引っ張られていった。



「ここ⋯⋯は?」

 琴音さんにズルズルと引っ張られてきた場所は誰かの部屋の入口だった。ずいぶん立派な扉だ。

 コンコン⋯⋯。

「し、失礼します、ギルドマスター!」
「ええっ?! ギ、ギルド、マスターぁぁぁ!!!!」

 琴音さんは緊張しつつも淡々としたトーンで『ギルドマスター』という単語を呟いた。

 ていうか、ここってギルドマスターの部屋なのか!

 そんな狼狽する俺に特に触れず、琴音さんは扉越しにギルドマスターを呼び続ける。

「⋯⋯琴音です。ソラ君がレア物クイックビーを倒して『スキル書例のブツ』を獲得したとのことなので、本人をお連れしました」

 ガチャリ。

「やあソラ君、会いたかったよ!」

 出てきたのは、自分よりも背が小さく(だいたい165くらいかな?)、見た目は下手したら僕より若いんじゃないかと思うほどのベビーフェイスで燃えるような赤い髪色をした少年だった。ちなみに年齢は不詳らしい(※ギルド公式HPより)。

 しかし、彼は『少年』ではなく、ちゃんとした『成人』である。なぜ知っているかというと、彼こそ、この探索者シーカーギルド『インフィニティ日本本部』のギルドマスターにして、日本で一番有名な探索者シーカーであろう一人、

「初めまして。ギルドマスターの倶利伽羅くりから炎呪えんじゅです」

——インフィニティ日本本部ギルドマスター『倶利伽羅くりから炎呪えんじゅ』、その人だった。




「ごめんね~、覚えにくい名前だよね~? 難しい漢字だらけだし、どこまでが苗字で、どこからが名前とかイミフだよね~⋯⋯わかる、わかる~(笑)」

 と、自己紹介もニコニコしながらしていた。

「い、いえ! ギルドマスターである倶利伽羅さんのことはもちろん知っています!」

 さすがに俺も今日ギルドマスターに会うなんて思ってもいなかったのでかなり緊張している。それにしても⋯⋯⋯⋯やばいぞ、この人。

 何がやばいって⋯⋯⋯⋯『強者オーラ』が半端ないんだよ、この人っ!?

 見た目ベビーフェイスのくせに纏っているオーラがあまりにも強力過ぎる! 自分と比べても桁違いだ!

 さすが、国内に四人・・いるS級探索者シーカーの中でも『最強』と言われるだけはある。

 そんなベビーフェイスなギルドマスターがニコニコしながら、

「ホント? うれしいな! それじゃあ、早速だけど⋯⋯⋯⋯⋯⋯中で話そっか?」

 ニッ。

「っ!?」

 倶利伽羅炎呪の糸目がスーッとより細くなる。⋯⋯何を考えているのかまったく読めない。アニメでも『糸目はラスボス』と有名だがその「言葉偽りなし」と今、俺は実感している。

 絶対、この人ラスボスだよぉぉっ!?



「お、お手柔らかに、お願い⋯⋯します」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として

たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。 だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。 一度目では騙されて振られた。 さらに自分の力不足で全てを失った。 だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。 ※他サイト様にも公開しております。 ※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※ ※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...