イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第三章

114「拡散」

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探索者世界会議シーカー・ワールド・フォーラム、並びに、その後の『腕試し大会』の動画が流出! さらに、その動画がいくつもコピーされ、現在瞬く間にネットに拡散されていますっ!!」
「「「「「何ぃぃぃ~~~~~~~っ!!!!!」」」」」

 会議が終わりそうなタイミングで、突然琴音さんが部屋に入ってくるや否や、今日の出来事の動画が現在進行形でネットに拡散されていると報告してきた。

 やっと一段落して解散できる、と油断したタイミングで、そんな『緊急事態』の報告をされたこともあり、皆の表情は驚きと共に疲労感が半端なかった。

「おいおいおい⋯⋯それマズイだろっ?! すぐにその動画は消したんだろうな!!」
「はい! で、ですが、いくつもコピーされ拡散されており、結果削除の数よりも拡散スピードが圧倒的に早いため、削除が間に合っていない状況ですっ!!!!」
「あ、あの、琴音さん⋯⋯」
「あ、ソラ君!」
「ちなみに、その動画って、どんな内容なんですか?」
「えーと⋯⋯」
「いや、直接ここでその動画を確認するのが早いだろう」
「そうだね。じゃ、石川さん⋯⋯準備お願いね」
「はい!」

 炎呪の指示により、琴音さんはプロジェクターを出すとノートPCにつなぐと、『Yo!Tube』に上がっている問題の動画を流した。


********************


「ああ⋯⋯こりゃ~、がっつりだな~」
「ええ。モザイクなしの、ね」

 と、ランスとメイベルが「はぁ~」と大きなため息と一緒に言葉を吐く。

 その動画は、まず『探索者世界会議シーカー・ワールド・フォーラム』でレヴィアス・アークシュルトとソラのいざこざから始まり、その後の王明凛やゲオルグ・シェフチェンコとのやり取りと続き、その後に『腕試し大会』から『おぼろ襲撃』までがっつり・・・・と映っていた。

「すげ~、メッチャ見やすく編集されてるな~」
「何、呑気なこと言ってんのよ!」
「い、一体、誰がこんなことを⋯⋯」

 さすがにこの場にいる全員がこの動画にかなり動揺していた。無理もない。

 基本、『探索者世界会議シーカー・ワールド・フォーラム』の動画は公式でも全内容を配信するので問題ないが、問題はその後の『腕試し大会』の動画だった。

「はぁぁあぁああぁぁ~~~⋯⋯一体誰がこんな真似をっ!!」

 ダン!

 大きなため息と共にテーブルを叩くのはジョー・ウェイン。

「落ち着け、ジョー」
「ゲオルグ⋯⋯⋯⋯⋯⋯すまねえ」

 カッとなるジョーを嗜めるゲオルグ。

 そんな、重い空気の中、炎呪がサラッとこの動画流出の目的につながる発見を呟く。

「ところでさ~、『腕試し大会』の動画なんだけど~、あれって何で⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ソラ君中心の動画なんだろうね?」
「「「「「っ!!!!!!!!」」」」」

 炎呪の言葉に皆がハッとした表情を浮かべ、すぐにその部分を動画で確認する。

「た、たしかに⋯⋯たしかに、この『腕試し大会』の動画は新屋敷ソラメインだ⋯⋯」

 実際、『腕試し大会』の映像はレヴィアス・アークシュルトとの対決や、その後のゲオルグ・シェフチェンコとの対決の動画。そして、その後の朧亥や朧戌といった『おぼろ』の連中との戦い、さらには『転移者』である鏑木と早乙女の出現までも映像に編集・・されて流れていた。

「編集して流しているな⋯⋯」
「ああ。つまりは『意図的』ということだろう」
「間違いないわね。ということは、狙いは『新屋敷ソラ』君ってことね」

 と言うと、皆が俺に視線を向ける。

「え? いや、そんな見られても⋯⋯」
「どうすんだ、炎呪? 賢者ワイズマン?」

 ゲオルグが二人に尋ねる。

「まー、とりあえずは様子見でしょ?」

 とは炎呪。

「何?」
「だって、動画はもう流れてしまったからね。ぶっちゃけ削除は追いつかないの仕方ない。どうしようもない。だから、これはもう『そういうもの』として考えたほうがいい」
「まーそうだな。幸い、『腕試し大会』の動画に関しては⋯⋯⋯⋯特に『朧の襲撃部分』からは混乱していたこともあって、ソラや朧の連中、それに『転移者』の二人とのやり取りは音声は聞き取れないから問題ない」
「⋯⋯ふむ。確かにそうだな」
「でも、腕試し大会で新屋敷ソラがウチの大将を倒した動画は思いっきり流れているんですけどぉ?」

 ゲオルグは炎呪や賢者ワイズマンの話を聞いて「問題ないな」と納得したが、その横から物言いをつけてきたのはイギリス総本部副ギルドマスターのメイベル・ホワイト。

「あのレヴィアスバカが勝手にやったこととはいえ⋯⋯⋯⋯これじゃあ『総本部ウチ』の評判ガタ落ちなんですけどぉ?」

 メイベルの眉間には、すでにビキビキと青筋が立てまくりマクリスティである。

「いいじゃない。それこそ、あんたたちの大将であるあのレヴィアスバカが勝手にやったことなんだから、メイベルたちも一蓮托生でしょ?」
「ぐっ!? ぐぬぬ⋯⋯⋯⋯王明凛~っ!!!!」

 王明凛の混じりっけなし100%のど正論をぶつけられたメイベル。しかし、腹が立つも何も言い返せないため、地団駄を踏んでいる。地団駄踏む奴、初めて見た。

「おほほほ。いい気味ね、メイベル~。ま、しばらく総本部そっちは『レヴィアスの件』でいろいろと大騒ぎでしょうね。ご愁傷様~」
「きぃぃぃぃぃぃ~~~っ!!!! レヴィアス・アークシュルト、マジ許すまじっ!!!!」
「「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」」

 お、恐ろしい⋯⋯。

 この後のレヴィアスの身柄がどうなるのか考えるだけでも恐ろしい。

 明凛とメイベル以外の皆がそう思ったのは言うまでもない。
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