イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第三章

115「新屋敷ソラは何者だ?《Who is Sora Arayashiki?》」

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 王明凛によるメイベルへのマウント後、「とりあえず、しばらくは様子見で皆頼む。何か問題が起きれば追って指示を出す」と賢者ワイズマンが告げて会議終了となり解散となった。

 ちなみに、その後、この拡散された動画に『ある変化』が起こった。その変化とは『動画のタイトルが統一された』というものだったのだが、それが⋯⋯、

「な、何だよ、これ⋯⋯」

 ソラはその流出している動画の『タイトル』を見て愕然とする。


【新屋敷ソラは何者だ?《Who is Sora Arayashiki?》】


 そのタイトルははっきりとソラを名指ししていた。

 その後、この動画流出はテレビ・新聞・雑誌と既存のマスメディアにも波及していくこととなる。

『去年の秋ごろから年明けにかけ、この『新屋敷ソラ』という元高校生探索者シーカーのニュースが世間を騒がせており⋯⋯』
『レヴィアス・アークシュルトを一撃で沈める! 脅威の新人ルーキー探索者シーカー、新屋敷ソラとは一体何者なのか?!』
『【証言!】学生時代の新屋敷ソラさんと親しかった元同級生たち』

 そして、この騒ぎ⋯⋯⋯⋯『新屋敷ソラは何者だ?《Who is Sora Arayashiki?》』は一週間経った今も続いていた。


********************


「えらいこっちゃで~」


 そんな呑気な声を上げたのは当の本人⋯⋯⋯⋯新屋敷ソラ。

「呑気にも程があるっ!?」

 そんな呑気なセリフに的確なツッコミを入れるのは、彼の探索者集団シーカー・クランの仲間であり、さらに、この『並行世界線イフラインの地球』でできた初めての友達⋯⋯⋯⋯唐沢利樹。

「本当よ! 一体、何してくれちゃってくれちゃってんの⋯⋯ソラ君っ!!」

 そして、唐沢の横で『ぷんすこ!』して日本語がゲシュタルト崩壊しているのが、唐沢の次に友達となったこれまた同じ探索者集団シーカー・クランの仲間⋯⋯⋯⋯胡桃沢星蘭。

 現在、ソラと唐沢は正月に食事会をした胡桃沢邸に『避難』していた。しかも、

「すご~い! 本物の胡桃沢星蘭だぁ~!!」
「勝己さん! 相変わらずすごい家ね!」
「ほら見てごらん、セーラ。この展望台から見た景色すごいだろ? まるで人がゴミのようだ」

 ソラだけなく、新屋敷一家ごと避難している。ほかにも、

「す、すすす、すご~~~~~い! お庭が近所の公園より広いよぉぉ~~~っ!!!!」
「と、利樹っ!? ちょ、ちょっと、あんまり離れないでよっ!!」
「ふふふ⋯⋯テレビで観るお金持ちさんよりすごいわ。これが本物の金持ちなのね~」

 と、唐沢の家族もまた避難していた。初登場である。

 ちなみに、唐沢の家族は母と2つ下の14歳になる中学2年生の妹、そして、さらにその5つ下で小学4年生の妹と3人家族だ。父親は唐沢が小学校の時に病気で亡くなっているらしい。つまり、唐沢はこの歳で一家の大黒柱なのである。

 ソラは口には出さないがそんな唐沢を心から尊敬していた。


********************


 さて、ソラたちは前回とは比べものにもならないくらいの『有名人』となってしまい、家や事務所にいるとマスコミが押し寄せる状態となってしまった。しかも、その影響は本人たちだけでなく家族にも及んだため勝己指示のもと『胡桃沢邸』へ避難とあいなったのである。

「勝己さん、いろいろと本当にありがとうございます」

 と、何度も感謝を口にするソラ。

「はっはっは! 気にしないでくれ、ソラ君。しかし、それにしても、まさかあのレヴィアス・アークシュルトに勝つなんて⋯⋯⋯⋯さすがの私もあれにはビックリだよ!」

 と、勝己は『レヴィアス・アークシュルトを一撃で倒した』ということをいまだに驚いていて、何度もその話を口にしてはソラを「すごい! すごい!」と絶賛していた。

「そうね。あれを目の前で見た時には信じられなかったわ⋯⋯」
「全くだ。今改めて振り返っても信じられない⋯⋯」

 と、勝己の後に唐沢や胡桃沢も続けて当時の感想を話す。

「いや、だからあれはレヴィアスがワザと負けたんだって?! メイベルもそう言っていただろ!!」
「ま、まあ⋯⋯」
「たしかに、メイベルさんはそう言っていたけど⋯⋯」
「ええっ!? そうなのかっ?!」

 唐沢と胡桃沢はソラの言葉に納得するも、そんな事実を初めて聞かされた勝己だけ一人驚いている。

「で、でも、何のためにそんなことを⋯⋯?」
「それは俺たちもよくわからなくて⋯⋯。たぶんメイベルも⋯⋯。だから、帰国したらその辺キッチリと・・・・・事情聴取するようなこと言ってたし⋯⋯」

 あの時のメイベル・ホワイトを思い出し、軽く身震いするソラ。

「でも、結果的にはよかったんじゃないのかい? だって、ソラ君はチヤホヤされるのを今後の探索者シーカー活動では必要だと考えていたんだから⋯⋯」
「そうですね。ただ、俺自身、正直ここまでのことになるとは思ってませんでしたし、ここまで目立つつもりもありませんでした。だって、あくまで探索者シーカーを仕事としてやっていく上でダンジョン以外でも収入が得られるようにと考えていた程度ですから⋯⋯」

 そう。実際ソラが「チヤホヤされたい」というのはあくまでその程度のことである。

 しかし、今回の騒ぎは国内だけに留まらず、海を飛び越え、海外⋯⋯全世界へと波及したので、そもそもの規模が桁違いとなっているのが現状である。

「あ、あのさ、思ったんだけど、この今の状況って、もしかしたらレヴィアス・アークシュルトがその『絵』を描いたんじゃないか?」
「「えっ!!!!」」

 突然、唐沢がそんな突拍子のないことを言った。しかし、

「唐沢君のその話⋯⋯⋯⋯一理、あるやもしれん」
「勝己さんっ?!」
「レヴィアスはそういう奴だからな。正直、レヴィアスがこのシナリオを書いていたとしても俺は納得するよ」

 と、勝己の言葉を聞いて3人はいろいろと考える。

「まーとにかく! そろそろ賢者ワイズマンも来るだろう。その時にまたこの話をしよう」
「「「わかりました」」」



 その後、賢者ワイズマンが来るまで、皆、各々の家族へ挨拶をしたり、歓談などをして時間を潰した。
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