イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第四章

148「賢者《ワイズマン》の懸念(1)」

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「え? 炎呪が⋯⋯?」
「ええ」

 いつものようにSランクダンジョンの探索を終え帰る時に明凛の声をかけられた。

「あ、そうそう。私にも炎呪から連絡があったわ。これから探索者シーカーギルドに来てくれって」

 とは、メイベル。

「ふ~ん、何だろ? まさか⋯⋯何か無茶振り案件とかではっ!?」

 俺が警戒するようなことを言うと、

「大丈夫よ。もし、そうだったら私が一言物申すから」

 と、メイベルが不敵な笑みを浮かべながら淡々と告げる。

「何? 炎呪とメイベルって仲悪いの?」

 明凛にそっと聞いてみた。

「別に⋯⋯というわけでもないけど。何だろ⋯⋯まーいろいろとあの二人は因縁・・があるのよ」
「因縁?」
「あの二人って、探索者シーカーデビューも一緒だったし、その後のランク昇格や実績とか含めて何かと競っていたからね」
「へ~、そうなんだ」

 と、明凛と話していると、

「ちょっと! 何、勝手に人のこと話してんのよ!!」
「別に。ただ、あんたと炎呪の因縁について軽く説明してただけよ」
「やめてよ! 炎呪との因縁だなんて⋯⋯」
「何、メイベルって炎呪とはライバル関係とかなのか?」
「そんな良いものじゃないわよ」

 そう言って、メイベルが淡々と話し始めた。

「まー明凛が言った通り、探索者シーカーがデビューが一緒でね。それからは何かとあいつとはやり合っていたわ」
「へ~」
「あいつはね~⋯⋯炎呪はやることなすこと計算高いからむかつくのよ! あ、そう言えば⋯⋯!」

 そう言って、メイベルは何かを思い出したようだ。

「あいつ、私よりS級ランカーの昇格が早かったとか言っているらしいのよ!」
「そうなのか?」
「違うわよ! 私のほうが一日早いってのっ!! あいつ⋯⋯ちょうどいいわ。今から殴り込みに行くわよ!」
「「何でそうなんだよ(のよ)!」」

 と、メイベルが一人プリプリしながら、俺たちはインフィニティ日本本部へと向かった。


「やあ、久しぶりだね。ソラ君!」
「ども」

 ギルドマスターの部屋に入ると、炎呪が笑顔で迎えてくれた。

「あいかわらず、うっさんくさいわねー」
「やあ、メイベル。それに明凛も⋯⋯探索者世界会議シーカー・ワールド・フォーラム以来だね」

 そんな感じで、一通り挨拶を済ませるとすぐに炎呪が話し始めた。

「実は、今日ここにあるゲストが来ているんだ」
「「「ゲスト?」」」
「おーい」

 と、炎呪が部屋の外に向かって声をかけた。すると、ドアがギィーと開いて入ってきたのは、

「「「ワ、賢者ワイズマンっ!!!!」」」


********************


「久方ぶりだな、ソラ。王明凛にメイベル・ホワイトはかなり久しぶり⋯⋯といったところか」

 ドアを開けて現れたのは、まさかの賢者ワイズマンだった。

賢者ワイズマン⋯⋯お久しぶりです」
「ま、まさか賢者ワイズマンが来るなんて⋯⋯!」
「?」

 明凛とメイベルは、少し固い感じで挨拶をした。ていうか、緊張⋯⋯してる?

賢者ワイズマンは二人は面識はあまりないのか?」
「まーそうだな。基本、私は日本から出ることは少ないからな」
「へ~そうなんだ」

 などと、いつものように俺が賢者ワイズマンと話していると、

「ちょ、ちょっと?! ソラっ!!」
「ん?」

 突然、メイベルが話に入ってきた。ていうか、何か怒っている様子だ。

「あ、あんた、賢者ワイズマン相手に少し馴れ馴れしいんじゃなくてっ!?」
「え?」

 メイベルからまさかそんな指摘を受けるとは⋯⋯。

「い、いや、馴れ馴れしいって言われても、これくらい普通⋯⋯」
「普通じゃないですよ、ソラ」
「ええっ?!」

 ここで、まさかの明凛にも注意された。

 な、何だ? どゆこと?

「あははは⋯⋯。そっか、ソラは知らない・・・・からね」

 すると、俺たちのやり取りを見て炎呪がカラカラと笑う。

知らない・・・・? 何がだ?」

 さすがの俺も炎呪の態度に少しムッとする。

「ごめん、ごめん。えっとね⋯⋯」

 そう言って、炎呪が事の次第を説明した。

賢者ワイズマンは普段からあまり人前に姿を現さない⋯⋯いわゆる『SSRレアキャラ』なんだ」
「おい、炎呪。人をガチャのレアカードのような言い方をするな」

 ここで賢者ワイズマンが炎呪にツッコんだ。賢者ワイズマンのそんな姿もまた滅多にない珍しい光景だ。ていうか、この二人、意外と仲が良いのかもな。

「まあまあ。で、だから賢者ワイズマンに会えることって実は特別で滅多にないんだよ」
「え? そうなの?」
「うん。国内の探索者シーカーだってそうなんだから、海外の探索者シーカーなんて余計に会う機会なんてほとんどないからね。そして、それはこのS級ランカー二人も例外じゃない」
「えっ?!」

 俺は炎呪の説明を聞いて思わず二人に顔を向けた。

「炎呪の言う通りよ」
「ま、そう言うことよ」

 明凛とメイベルが即答する。

「だから、ソラ君がさも当たり前のように賢者ワイズマンと接しているのは、二人からしたらとんでもないことって感じで映っているんだよ」
「⋯⋯⋯⋯」



 マジでかー。
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