イフライン・レコード ファンタジー地球に転移した俺は恩寵(ギフト)というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!

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第四章

152「5人目の転移者の捜索」

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 賢者ワイズマンとの話が終わってから3日後——俺、明凛、メイベルは事務所に集まっていた。

「さて、賢者ワイズマンに言われた最後の転移者⋯⋯5人目の転移者の捜索なんだが、どうっすべ~?」
「『どうっすべぇ~』って⋯⋯弛んでるわよ、ソラ君」
「そうだ! 弛みすぎだぞ、ソラ!」
「はいはい、すみませんねぇ~」
「「はい、は1回!」」
「⋯⋯」

 ということで、やる気のない俺にゴリゴリつっこんでくる二人に尻を叩かれ、重い腰を上げた俺は5人目の転移者の捜索をスタートさせた。


「で、どこから行くんだ?」
「そうね。まずは賢者ワイズマンが言っていた捜索ポイントを探しましょ」

 そう言って、明凛が持っていたタブレットを見せる。すると、それを横から見ていたメイベルが、

「結構、近場が多いのね? それって、つまり、最初に魔力放出が確認されたポイントがこの辺ってことなの?」
「恐らく、そうでしょうね」

 今回、賢者ワイズマンから捜索活動に役立つものとして、事前に『天罰ラース』のほうで5人目の転移者が魔力放出した地点から捜索ポイントを割り出したデータをタブレットごと渡されていた。

「随分、事務所の近いところに捜索ポイントがあるんだな~⋯⋯偶然か?」

 俺はその捜索ポイントの分布図を見て、少し疑問に思う。すると、

「さあ、どうでしょうね。ただ、いずれにしても私が5人目の転移者なら東京にいるのが一番だと思うから、私個人としては東京の23区内のどこかに潜んでいるんじゃないかと思っているけどね」

 と、明凛が自分なりの推論を話す。

「⋯⋯なるほど。一理あるな」
「あ、たしかにー! 明凛やるじゃない」

 それを聞いた俺とメイベルが感心を示す。実際、明凛の言うことはかなり信憑性はあると思う。俺も明凛と同意見だ。

「じゃあ、意外とその5人目の転移者にバッタリ会うことだってあり得るかもね?」
「まーそうなんだけど⋯⋯。でも、そう単純な話じゃないと思うわよ? 何せ、『天罰ラース』がこれまで探して発見できていないんだから」
「まー、そうだろうな」

 その5人目の転移者はよっぽど姿を隠すのがうまいんだろうな。

「というわけで、捜索ポイントを1件1件しらみつぶしに調べていくわよ」
「うわ~⋯⋯絶対面倒臭いやつ~」
「ちょっと、ソラ。やる気出しなさいよ」
「え~~~⋯⋯面倒くさそう⋯⋯」
「ちょ⋯⋯メイベルまで!?」
「うむ、そうだろ、メイベル。だから俺は朝やる気なかったのも頷けるだろ?」
「なるほど~、そっか~。ソラの気持ちわかったわ~」
「コラコラ、メイベルを悪の道に誘うんじゃないわよ、ソラ。メイベルもそんな簡単に影響受けないでよ! さあ、さっさと今日の分の捜索ポイントに向かうわよ、二人ともっ!!」
「「へ~い」」

 と、明凛に尻を叩かれた俺とメイベルは、しぶしぶ動き始めた。


********************


——2時間後

「やっぱり、全部ハズレ⋯⋯だったわね」
「知ってた」
「知ってた」

 明凛の言葉に、俺とメイベルが即座に反応する。

「⋯⋯二人からのその言葉、何だかムカつくわね」
「まーまー、アイスコーヒーでも飲む?」
「まーまー、スープ入れてこよっか?」

 明凛が俺とメイベルの妙な連帯感にイラつきを覚えた様子。それを宥めるように俺とメイベルは合わせたように明凛にゴマをする。

「(イラっ!?)」

 そして、その二人の態度に今度は明確にイラついた表情を見せる明凛。

「まー冗談はそのくらいにして⋯⋯。しかし、捜索ポイントをあれだけ探して何も手がかりがないとか⋯⋯厳しいな」

 そう言って、俺はホットコーヒーをグビッと口に含む。

 ちなみに、現在俺たちは午前の捜索を終えて、ファミレスで昼ごはんを食べていた。今は一通りご飯を食べ終え、デザートがてらケーキを注文してしばしの休息を取っている。

「そうねよー。正直、これなら5人目の転移者の捜索よりも、関東A12の竜ヶ崎真司を止めるほうに参加すればよかったんじゃないかと思うわ」

 と、メイベルもまた俺の意見に乗っかってくる。

「で、でも、賢者ワイズマンからの指示だし⋯⋯。実際、優先順位でいえば5人目の転移者の発見が高いんでしょ?」
「まあ、そうだけど⋯⋯。でもな~、これだけ探しても手がかりを全く掴めなかったしなぁ⋯⋯」

 明凛の言っていることはもっともではある⋯⋯あるのだが⋯⋯、しかし、こうして2時間捜索ポイントを回っても見事に全空振りだと⋯⋯ねぇ⋯⋯。

「せめて、もっと可能性の高い捜索方法とかあればいいんだがな~⋯⋯」

 そんな、都合の良いことを口にする俺。まー、それくらい、やさぐれていたので仕方がない。だが、その俺の一言に、

「良いこと思いついたわ!」

 何かピンときたのか、突然明凛が前のめりでそんなことを言ってきた。

「捜索ポイントを足で稼ぐんじゃなくて、デジタルを活用しましょう!」
「デジタルで?」
「どゆこと?」

 俺とメイベルが胡散臭げに明凛を見据える。

探索者シーカーの話題で盛り上がっている掲示板で直接聞くのよ!」
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