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止まった秒針は壊すに限る6
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ソリエを殴り続けて。そのくらい時間が経過したのかわからない。
手についた血は、時間の経過を教えるには不十分であった。
ケレは、持っていた長剣で動かなくなったソリエを、何度も突き刺して、ソリアミとソリエの家だった場所を出た。
次にケレが目指したのは、エルガシリアの外だった。
特にあてはないが、歩き続ければ外に出れるだろうと足を進めた。
ちょうど、ケレが都市部を離れたところだろう、大きな爆発音がした。
後ろを振り向けば、煙が上がっていた。
それがなんだと言わんばかりに、ケレは歩みを進めていた。
どのくらい歩き続けたのかはわからない。
疲れたのでその場に座り込んだところで、人の気配がしないことに気が付いた。
幸か不幸か、周囲には死体がないので、状況を把握はできなかった。
俯き、長い溜息を吐いた。
溜息を吐き終わったのを見計らったかのように、人影が現れた。
ソリアミの弟だ。
特に、聞くことはない。
都心部を大規模破壊できるのは、ケレの中では彼しかいなかった。
「俺の、俺の国の目的は、エルガシリアの人間を吸収することなんです」
懺悔か、という問いも出ないままソリアミの弟の言葉を聞いていた。
「姉の友人であるあなたを、俺の国のための道具にしたくはないんです」
「嘘かもしれない」
彼女の弟かどうかも分からないケレに対して、ソリアミの弟は否定する。
「母を殺したのはあなたでしょう?」
ケレは、それは事実だと返答はした。
「だからです。あの家で、姉である証拠は見つかりましたから」
「だからって、なんで慈悲をかけるようなことを言うの?」
「姉のために、貴女は怒ってくれたから」
ソリアミの弟は、今まさにケレに死刑宣告を告げている。
現に、彼はケレの命を奪う選択肢を止めてはいない。
それでも、ケレにとっては、最善の道を与える慈悲の言葉だった。
「あなたを人として殺す。死んでもなお、道具としては扱わない」
その言葉の裏は、彼自身の行く道を示したいたのだ。
彼は道具として、生きていく。
動力確保のために、殺める。
そして、彼よりも利便性の高い何かが産まれた際には、人として死ねないのだ。
道具として生きていく彼は、おそらくは道具として恐れられる。
しかし、憎悪などのやり場のない感情は、人間としての彼自身を踏みにじるだろう。
誰かにとって都合よく彼は、道具になり人になる。
それは、人として死ねないようなものだ。
少なくとも、ケレにはそう思えた。
「わかった」
ケレは、立ち上がり、ソリアミの弟の顔を見つめる。
彼にかける言葉が見つからなかった。
だからこそ、目を閉じて伝えた。
「頼む」
その言葉を合図に、ケレの体が裂けた。
確実に死んだと見て取れる損傷具合だった。
男は、続けざまにケレに油を開けて火をつけた。
燃え盛る炎を見て、男はただ静かに黙祷を捧げた。
追手が来る瞬間まで、冥福を祈り続けた。
手についた血は、時間の経過を教えるには不十分であった。
ケレは、持っていた長剣で動かなくなったソリエを、何度も突き刺して、ソリアミとソリエの家だった場所を出た。
次にケレが目指したのは、エルガシリアの外だった。
特にあてはないが、歩き続ければ外に出れるだろうと足を進めた。
ちょうど、ケレが都市部を離れたところだろう、大きな爆発音がした。
後ろを振り向けば、煙が上がっていた。
それがなんだと言わんばかりに、ケレは歩みを進めていた。
どのくらい歩き続けたのかはわからない。
疲れたのでその場に座り込んだところで、人の気配がしないことに気が付いた。
幸か不幸か、周囲には死体がないので、状況を把握はできなかった。
俯き、長い溜息を吐いた。
溜息を吐き終わったのを見計らったかのように、人影が現れた。
ソリアミの弟だ。
特に、聞くことはない。
都心部を大規模破壊できるのは、ケレの中では彼しかいなかった。
「俺の、俺の国の目的は、エルガシリアの人間を吸収することなんです」
懺悔か、という問いも出ないままソリアミの弟の言葉を聞いていた。
「姉の友人であるあなたを、俺の国のための道具にしたくはないんです」
「嘘かもしれない」
彼女の弟かどうかも分からないケレに対して、ソリアミの弟は否定する。
「母を殺したのはあなたでしょう?」
ケレは、それは事実だと返答はした。
「だからです。あの家で、姉である証拠は見つかりましたから」
「だからって、なんで慈悲をかけるようなことを言うの?」
「姉のために、貴女は怒ってくれたから」
ソリアミの弟は、今まさにケレに死刑宣告を告げている。
現に、彼はケレの命を奪う選択肢を止めてはいない。
それでも、ケレにとっては、最善の道を与える慈悲の言葉だった。
「あなたを人として殺す。死んでもなお、道具としては扱わない」
その言葉の裏は、彼自身の行く道を示したいたのだ。
彼は道具として、生きていく。
動力確保のために、殺める。
そして、彼よりも利便性の高い何かが産まれた際には、人として死ねないのだ。
道具として生きていく彼は、おそらくは道具として恐れられる。
しかし、憎悪などのやり場のない感情は、人間としての彼自身を踏みにじるだろう。
誰かにとって都合よく彼は、道具になり人になる。
それは、人として死ねないようなものだ。
少なくとも、ケレにはそう思えた。
「わかった」
ケレは、立ち上がり、ソリアミの弟の顔を見つめる。
彼にかける言葉が見つからなかった。
だからこそ、目を閉じて伝えた。
「頼む」
その言葉を合図に、ケレの体が裂けた。
確実に死んだと見て取れる損傷具合だった。
男は、続けざまにケレに油を開けて火をつけた。
燃え盛る炎を見て、男はただ静かに黙祷を捧げた。
追手が来る瞬間まで、冥福を祈り続けた。
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