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エピローグ(3)
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「夫人、私と一曲願えますか?」
放っておかれた私へ白い手袋をはめた手が伸びた。
ルービックだ。鎧は無いが、式典用の騎士の正装をした彼はカッコ良さが三割増ししている。
「喜んで」
私は彼の手を取って踊りの輪に加わった。主役の私と聖騎士ルービックの登場で、出席者達から一際大きな歓声が上がった。
アルクナイトとマシューが目を吊り上げる。
「おいおいおい、明るい中年が抜け駆けしているぞ!」
「師団長~~!! やっぱあの人は油断ならない! ちゃっかり美味しい所を持っていったよ!!」
ルービックが華麗なワルツのステップで私をリードしてくれる。流石は騎士団の高官。所作の全てが様になる。かく言う私も軽快な足さばきで彼に追従している。
「ロックウィーナ、上手いじゃないか」
「えへへ。花嫁は結婚式に大勢からダンスを申し込まれるって聞いたから、リーベルトに特訓してもらったんです」
それならばと、ルービックが少し難しいステップを踏んだ。彼のリードで連続してスピンターンを決めた私達に盛大な拍手が贈られた。
「うわぁルービックさん、ハードル上げてくれんなよ。これじゃあ後に続きにくいだろうが」
「くそ、ダンスの修行もしておくんだった……」
ルパートとエンが恨み言を吐く横で、エリアス、アルクナイト、リーベルトは余裕の表情で席を立った。
「ふ。私なら大丈夫だ。こう見えて幼少期からダンスも叩き込まれている」
「俺も人間社会に居た頃は伯爵だからな。今は更に凄い魔王様だが」
「僕だって、社交界には慣れてますから」
三人がジャンケン勝負に入ったところで一曲が終わり、お辞儀をしたルービックは私の手を引いてエスコートした。キースの元へ。
「夫人のお相手を務める名誉をお返しします、キース殿」
「ありがとうございます。ルービック師団長」
男性二人は芝居がかったやり取りをした。そしてルービックは笑顔でその場を去り、キースが私へ手を差し伸べた。
「踊ろう、ロックウィーナ」
「はい。キース」
先輩ではなく夫となったキースの手を私は取った。しっかりと合わさる手と手。口笛と拍手が沸き上がった。楽団員達が新しい曲を奏でる。
踊る私とキースを出席者達が温かい目で見守り、ぶーたれていた男達も手拍子をしてくれている。何だかんだ言って笑っちゃうくらい気のいい彼らである。
まるで鈴音が用意したエンディングの一枚絵のような幸せな瞬間。
だけれど決してfinの文字は付かないんだ。
だって私達の物語はここで終わりじゃない。ここからまた始まるのだから。
見ていてね、女神様。あなたの手のかかる我儘な子供達を。
遠い空の下からあなたの友達、ロックウィーナより愛を込めて。
《完》
■■■■■■
『ギルド回収人は勇者をも背負う』、これにて完結です!
何年も執筆活動をしていると、「登場人物が作者の思惑から外れて勝手に動き出す」という現象が起こることが有ります。それを実際に小説にしたら面白いんじゃないかと思って始めた作品でした。
ただし設定がかなり複雑になってしまい、「読者様はちゃんとストーリーを追えているのかな?」と執筆中はとても不安でした。
途中脱落せず、この最終話までお付き合い下さった方々には大感謝です。
そして『ギルド回収人~』は、ストーリー自体は最後まで出来上がっていたのですが、主人公のロックウィーナと結ばれるヒーローを誰にするか、肝心な所を決めずに連載開始した作品でも有ります。
結果、作者は終盤までお相手を誰にするか迷う羽目に陥りました。
成長したルパートをロックウィーナの恋人にしようと決めかけて、いやいや世界の為に独り孤独に戦うアルクナイトこそヒーローに相応しいと考え直し、でも自爆したマキアを今度こそ幸せにしてあげたいなぁと思ったり……。(エリアスは鈴音のヒーローにしたかったので対象外でした)
本当に、『ギルド回収人~』の男性陣はみんな優しくて格好良くて、誰がヒーローになっても物語は破綻しなかったと思います。
最終的に作者はどうしてキースを選んだか。それは彼が、初期設定から最も変化したキャラクターだったからです。
連載開始時の彼は、「でしゃばらず陰で主人公を助ける優しい男」だったんです。でもそれだと他の濃ゆいキャラに存在を食われてしまう為、「魅了の瞳」と言う特殊能力を後から追加しました。
これが超強力な能力だったもので、保持者は絶対に歪むだろうとヤンデレ属性と毒舌が付き、そして自然に少年期のトラウマエピソードも生まれました。一度闇墜ちしているので即死闇魔法まで使えるように。
キースが初登場したガロン荒野へ行くミッションと比べると、後半の彼はまるで別人です(笑)。
登場人物がどんどん進化していく、『ギルド回収人~』のストーリーを正に体現するようなキャラと成った為、彼を主人公ロックウィーナの隣に立たせました。
惜しむらくは、ルービックとソルをあまり掘り下げられなかったことです。彼らもイケオジ枠のヒーロー候補だったんですよ。
でも終盤はキースと両想い&霧の巨人戦という大きなイベントが有ったので、ここにルービックとソルを挿し込むと展開がグダグダになるよねと考えて、泣く泣く彼らの恋愛エピソードをカットしました。
長い長い作品となった『ギルド回収人は勇者をも背負う』、挫けずに作者が最後まで執筆できたのは応援して下さった皆様のおかげです。☆やコメント、いいね等がいつも励みになっておりました。
最後にもう一度、最大限の感謝を皆様へ捧げます。
本当にありがとうございました!!!!!!
⇒次ページにおまけを用意しましたので、よろしければそちらもどうぞ。
放っておかれた私へ白い手袋をはめた手が伸びた。
ルービックだ。鎧は無いが、式典用の騎士の正装をした彼はカッコ良さが三割増ししている。
「喜んで」
私は彼の手を取って踊りの輪に加わった。主役の私と聖騎士ルービックの登場で、出席者達から一際大きな歓声が上がった。
アルクナイトとマシューが目を吊り上げる。
「おいおいおい、明るい中年が抜け駆けしているぞ!」
「師団長~~!! やっぱあの人は油断ならない! ちゃっかり美味しい所を持っていったよ!!」
ルービックが華麗なワルツのステップで私をリードしてくれる。流石は騎士団の高官。所作の全てが様になる。かく言う私も軽快な足さばきで彼に追従している。
「ロックウィーナ、上手いじゃないか」
「えへへ。花嫁は結婚式に大勢からダンスを申し込まれるって聞いたから、リーベルトに特訓してもらったんです」
それならばと、ルービックが少し難しいステップを踏んだ。彼のリードで連続してスピンターンを決めた私達に盛大な拍手が贈られた。
「うわぁルービックさん、ハードル上げてくれんなよ。これじゃあ後に続きにくいだろうが」
「くそ、ダンスの修行もしておくんだった……」
ルパートとエンが恨み言を吐く横で、エリアス、アルクナイト、リーベルトは余裕の表情で席を立った。
「ふ。私なら大丈夫だ。こう見えて幼少期からダンスも叩き込まれている」
「俺も人間社会に居た頃は伯爵だからな。今は更に凄い魔王様だが」
「僕だって、社交界には慣れてますから」
三人がジャンケン勝負に入ったところで一曲が終わり、お辞儀をしたルービックは私の手を引いてエスコートした。キースの元へ。
「夫人のお相手を務める名誉をお返しします、キース殿」
「ありがとうございます。ルービック師団長」
男性二人は芝居がかったやり取りをした。そしてルービックは笑顔でその場を去り、キースが私へ手を差し伸べた。
「踊ろう、ロックウィーナ」
「はい。キース」
先輩ではなく夫となったキースの手を私は取った。しっかりと合わさる手と手。口笛と拍手が沸き上がった。楽団員達が新しい曲を奏でる。
踊る私とキースを出席者達が温かい目で見守り、ぶーたれていた男達も手拍子をしてくれている。何だかんだ言って笑っちゃうくらい気のいい彼らである。
まるで鈴音が用意したエンディングの一枚絵のような幸せな瞬間。
だけれど決してfinの文字は付かないんだ。
だって私達の物語はここで終わりじゃない。ここからまた始まるのだから。
見ていてね、女神様。あなたの手のかかる我儘な子供達を。
遠い空の下からあなたの友達、ロックウィーナより愛を込めて。
《完》
■■■■■■
『ギルド回収人は勇者をも背負う』、これにて完結です!
何年も執筆活動をしていると、「登場人物が作者の思惑から外れて勝手に動き出す」という現象が起こることが有ります。それを実際に小説にしたら面白いんじゃないかと思って始めた作品でした。
ただし設定がかなり複雑になってしまい、「読者様はちゃんとストーリーを追えているのかな?」と執筆中はとても不安でした。
途中脱落せず、この最終話までお付き合い下さった方々には大感謝です。
そして『ギルド回収人~』は、ストーリー自体は最後まで出来上がっていたのですが、主人公のロックウィーナと結ばれるヒーローを誰にするか、肝心な所を決めずに連載開始した作品でも有ります。
結果、作者は終盤までお相手を誰にするか迷う羽目に陥りました。
成長したルパートをロックウィーナの恋人にしようと決めかけて、いやいや世界の為に独り孤独に戦うアルクナイトこそヒーローに相応しいと考え直し、でも自爆したマキアを今度こそ幸せにしてあげたいなぁと思ったり……。(エリアスは鈴音のヒーローにしたかったので対象外でした)
本当に、『ギルド回収人~』の男性陣はみんな優しくて格好良くて、誰がヒーローになっても物語は破綻しなかったと思います。
最終的に作者はどうしてキースを選んだか。それは彼が、初期設定から最も変化したキャラクターだったからです。
連載開始時の彼は、「でしゃばらず陰で主人公を助ける優しい男」だったんです。でもそれだと他の濃ゆいキャラに存在を食われてしまう為、「魅了の瞳」と言う特殊能力を後から追加しました。
これが超強力な能力だったもので、保持者は絶対に歪むだろうとヤンデレ属性と毒舌が付き、そして自然に少年期のトラウマエピソードも生まれました。一度闇墜ちしているので即死闇魔法まで使えるように。
キースが初登場したガロン荒野へ行くミッションと比べると、後半の彼はまるで別人です(笑)。
登場人物がどんどん進化していく、『ギルド回収人~』のストーリーを正に体現するようなキャラと成った為、彼を主人公ロックウィーナの隣に立たせました。
惜しむらくは、ルービックとソルをあまり掘り下げられなかったことです。彼らもイケオジ枠のヒーロー候補だったんですよ。
でも終盤はキースと両想い&霧の巨人戦という大きなイベントが有ったので、ここにルービックとソルを挿し込むと展開がグダグダになるよねと考えて、泣く泣く彼らの恋愛エピソードをカットしました。
長い長い作品となった『ギルド回収人は勇者をも背負う』、挫けずに作者が最後まで執筆できたのは応援して下さった皆様のおかげです。☆やコメント、いいね等がいつも励みになっておりました。
最後にもう一度、最大限の感謝を皆様へ捧げます。
本当にありがとうございました!!!!!!
⇒次ページにおまけを用意しましたので、よろしければそちらもどうぞ。
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