姉は女王様

朝霧麗羅

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晴れ着デビュー

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 振袖の着付けは本当に恥ずかしくて、そして嬉しいことだった。
 姉の知り合いの女性が経営しているレンタル屋へ行くと、女主人と若い着付け師が待っていた。
 男の娘に着物を着せるという、初めてのそして珍しい体験ができることになり、二人の女は期待に目を輝かせていた。
 大女の姉と暮らす可愛い男の娘が居ることはすでに町の人の知るところとなっていて、今さら私が女の子の格好をすることは特に衝撃的なことでもなかった。
 しかし姉(女王様)以外の女性の手で女装させられるのは初めてであり、それはいよいよ私は世間が認める女の子という立位置に定着することであった。
 女経営者が見守る中、着付け師は手際よく私の身体を「女」に変えて行った。
 肌襦袢、裾よけ、長襦袢など和式の下着を身に着けさせられると、いつも着ているブラジャーやショーツやキャミソールなどとは異なる着心地を私は感じた。
 日本の女の一端を担うような伝統ある興奮と感動を感じた。
 紐や帯で華奢な身体を締め上げられると、私は自分の全身に日本女性の血が通っていることをまざまざと実感した。
 足袋を履き振袖を身に着けると、私はすっかり上気した。
 振袖を来た可愛い女の子を世界が待っているような気がした。
 草履を履いてバックを持つと、私は初美姉に手を引かれて街へ出た。
 私の「女の子デビュー」の瞬間であった。
 厳しくも優しい美人の姉にエスコートされ、私は元旦の晴れやかな空気の中を歩いた。
 私が男であることに気づいた人も気づかなかった人も私の可愛さに見惚れていた。
 そして元のワンピース姿になって、私は家へ帰った。

 きらびやかな外出から戻ると、姉は上機嫌だった。
 弟であり、「女」であり「妻」であり「召使」である私が世の中でその魅力を評価されたことが何よりうれしかったのだろう。
 私に夕食と肴の準備をさせると、姉は私にお酌をさせて、楽しそうに盃を重ねた。
 自分だけが酒に酔うのは悪いと思ったのか、姉は胸をはだけブラジャーをずらして私に乳首をしゃぶらせた。
 私は自分が男なのか女なのか、分からなくなったいた。
 しかし姉はいつも強く美しい女だった。
 私は初美姉に抱かれて、新年の至福の時を過ごした。

「お前は本当に可愛かったよ。姉として、女王として、誇らしかったよ。お店でお前が可愛く艶やかに変身するのを見るのは素晴らしい時間だった。
 ……同じサービス業といっても、その晴れやかさが天と地ほどに違うわね。SMクラブって本当に暗くて淫猥だわね……」そう言って、姉は小さくため息をついた。
「お姉様、いえ女王様、SMクラブには確かな魅力がありますよ」
「お前はSMクラブに来たことがないのに、そんなことがわかるの?」
「いつも女王様に躾けられているので、そこから推察しました」
「面白い子だね」
 すっかり姉は上機嫌だった。
 こうして姉と弟、女王様と召使の妖しい元旦の夜が過ぎて行った。
 
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