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認めたくないきもち
《39》
しおりを挟む緋縁の上半身を這い回る手と舌。手を押えている男が顔を覗き込んでくる。必死に横を向いて見られないようにする。
(いやだいやだ!気持ち悪い…触んなよっ)
顔を覗き込んできた男が緋縁の顔を舐める。信じられないことに緋縁は目を見開く。
「はぁっ可愛い顔…最近ちょっと気になってたんだよなぁこの子」
「見てみろよ乳首立ってる。そろそろ下も見るか」
(鳥肌が見えないのかよ!)
「ふざけっ……やだっ気持ち悪いっ!」
「ねぇ、早く突っ込んで泣き叫ばせてよ」
「焦んなよ、もうちょっといいだろ?堪能したくなんだよ、この子」
舐められる度、触られる度に気持ちが悪くてゾワゾワと鳥肌が立って寒気すらしてきている。ズボンに手をかけられ、膝下まで下げられる。足を押さえていた男が腿を撫でてくる。パンツ越しに尻を揉まれる。
「やだやだやだ!どけっ触んなっ」
「気持ちぃ~どこも白いな全部舐めたくなる」
「お前変態臭いよっ」
自然と涙が込み上げてくる緋縁。
「可愛い~泣いちゃった~」
(違う、全然違うっ!コウと違う!!)
「もぅ、やだっ助けてっ」
「はい、ちゅうしよっか?」
顔中にキスをされ頬を舐められる。唇にもキスやら男の舌やら触れてくる。目と口をしっかり閉じて抵抗する。ボロボロと涙が流れてくる。泣きたくないけれど止められない。
「コウ……やだ……たすけ……うっうぅ」
「やべっ興奮する。下全部剥こうぜっ」
「うそっやだ!」
パシンッ
緋縁の頬が叩かれた、匠だ。
「うるっさい!見てるとイラつく!こんな奴さっさっとヤッてよ!僕のコウキ様に色目なんて使いやがって…コウキ様は僕のものなんだよっ!」
「分かったって、匠ちゃん。今いい所だからさぁ」
匠を宥めながらも興奮している3人の男たちは、ついに緋縁の分身まで直接触ってきた。
「あれぇ?全然じゃん。反応ないね…」
「パンツも早く取れよ」
「今やるって」
「うっ……きもちわる……」
緋縁が苦しげな顔で胃の方から何か込み上げて来た様子だった。下半身さえも直に触られて吐きそうになっていた。その間も男たちの手は止まらず、尻がパンツから出されてしまった。
「可愛いっ小さいっ白いぃ~マジ良いねこの子」
「やぁっ……」
(冗談じゃない!こんなの嫌だっ!)
「早くしろよ!この子のなら俺咥えられるって」
ガチャガチャ
部屋の全員の動きが止まった。
ドアには鍵がかかっている、すぐには開けられないはずだ。緋縁の口が塞がれた。
「んんっ」
「しっ黙れ…」
ガツンッガツンッ
ドア自体が揺れて大きな音を出している。
「お、おいマジかよ」
「ヤバい…」
ガコンッ
遂にドアが壊されて開いた。
「緋縁……」
そこには皇輝が立っていた。
「コ……ウ………」
弱々しい緋縁の声が聞こえた途端に上に乗っていた男が横に吹っ飛んでいった。手と足を押さえていた男たちがアタフタと緋縁から離れて逃げようとしている。皇輝が無言で1人に蹴りを入れ、もう1人の腹に拳をめり込ませていた。
「緋縁っ」
邪魔のものを排除した皇輝が緋縁の元へ飛んでいき、グッタリ倒れている身体を包み込むように抱きしめる。
「コ、ウ……コウ……うっうぇ…う~~」
皇輝の胸に顔を押し付けて泣き出す緋縁。皇輝の顔を見てホッと安心したのだ。緋縁は皇輝に必死でしがみつき、泣きじゃくる。皇輝は痛々しい顔でギュッと抱きしめる腕に力を込める。
「お、れ……俺……きもち…悪くてっ」
「分かった、遅くなってすまなかった…俺がもっと早く……俺のせいだ……」
「うそ…うそ…コウキ様…あ、あぁ……」
「緋縁、悪い。ちょっと待ってろ」
皇輝は自分のブレザーを脱ぐと緋縁の肩に掛けてすっぽりと包み込み素肌を隠す。そしておもむろに立ち上がり、殺気の籠った視線で親衛隊隊長をとらえる。
「ひっ!コウキ様…僕、僕は…ただ、コウキ様の周りの害虫をっ……」
匠の首が皇輝の手によって締められる。
「黙れ、害虫はお前だっ!」
「ぐぐっ……うっ」
「殺してやる」
「っコウ!だめっ!」
皇輝を止めようと必死で立ち上がろうとする緋縁だが、足が痛くて上手く立ち上がれない。
「コウっ!!」
バタバタっ走り込んできた弥菜が叫ぶ。
「バカっ!本気で殺ったらどうすんだっ」
匠と皇輝を引き離す。
「こいつより緋縁くんだろっ!俺に任せろ」
もう1人の足音も聞こえてきた。
「弥菜さーん待ってくださいぃ~」
「修次も来たから、伸びてる奴ら全員処分する」
「ちっくそっ……」
悔しそうに匠を睨みつけて、呻き声を上げている3人を殴り足りなさそうに見てから緋縁の元に行く。
緋縁はこの隙に何とかパンツは上げたが、ズボンを履けなくて苦戦していた。
「俺がやる」
緋縁は急に恥ずかしくなってしまった。あんな場面を見られてしまった。
「いいっ俺自分でやるから」
皇輝の顔を見れない。俯いたまま力の入らない手でどうにかしようとしている。その姿がより一層痛々しく見えた皇輝は堪らず緋縁を力の限り抱きしめた。
「ぐっ」
「緋縁、本気で心臓が止まるかと思った…」
(苦しい…ばか力…)
緋縁は何も言えずそっと皇輝の腕に触れる。皇輝がピクリと反応し、緋縁の頬に手を添えて顔を覗き込んでくる。
「ここ、早く出たい…」
「そうだな」
「あとは任せて、くれぐれも優しくね」
弥菜が呻いている3人を更に蹴りながら顔だけ向けて言う。匠は修次によってカメラの没収、逃げられないように押さえ込まれていた。
「動くなよ」
一声かけると皇輝は緋縁をまた横抱きで抱き上げて寮に向かう。部屋を出る時に背の高い生徒とすれ違う。
「弥菜さぁん!危ないからダメですってぇ!」
「マジか、お前か…修次、こいつに知らせたのか」
「仕方ないじゃないですか…こいつ風紀ですよ」
「こーゆー事は俺たち風紀に任せて下さいって」
「お前らが遅いからだろ無能風紀!」
「会長~直ぐに風紀の委員長と副委員長も来ますのでここはご安心を~今日はごゆっくり~」
「勝手にしろっ」
すれ違った背の高い生徒は皇輝たちの背中に呼びかけた。緋縁は皇輝の腕の中で言葉に出来ない気持ちでいた。
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