この気持ちに気づくまで

猫谷 一禾

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そして回る

《47》 ♡

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 テスト期間が終わり、皇輝は緋縁を部屋に連れ込んでいた。このまま、また逃げられでもしたらたまらない。洗いざらい話してもらうつもりだ。緋縁は何に心を囚われているのか。

(どう切り出すべきか…)

緋縁はソワソワしていた。最近の優しい雰囲気の皇輝と少し違っていた。

「緋縁、何か悩んでるのか?」
「…………」

なんと答えたら良いか、先送りにしたぐちゃぐちゃの気持ちをどう言葉で伝えれば良いのか、歯がゆいのに伝えられない。

「なんとか、言ってくれ…」
「俺、お…れ…」
「緋縁!」

皇輝の必死な顔なんて初めて見た。

「お前を…緋縁をやっと手に入れたと思ってたのに…こんなに傍にいるのに…手に入れた感じがしない……思い悩んでいるようだし…何なんだ?」
「そう……言われても…なんて言ったら…」
「俺は、俺は緋縁の事となると…今までの俺とはまるで違くなるんだ。余裕がなくなる。傍に繋ぎ止めておきたくてたまらない!自分じゃどうしようもないんだよ!」
「コウ……」
「俺のこと、好きなんだろ?好きなんだよな?
認めたんだろ!?」
「っ!……好きだよ……」
「緋縁が掴めなくて…俺も苦しい」

皇輝の弱気がヒシヒシと伝わって来る。

「……好きってなに?」

(あ、これ聞いちゃいけないこと聞いた気がする)

「……は?…何だって?」
「あ、あ~…えと……」
「緋縁、俺はお前が好きだ。何度も言ってるよな。分かるだろ!?好きなんだよ…理屈じゃないんだ」

ストンと緋縁の心の奥深くに皇輝の言葉が入ってきた。

「理屈……じゃ、ないの?」
「頭でいくら考えたって心が言うことが聞かなくなるだろ。あんな事件もあったし、困った顔よくしてる…もっとゆっくり歩んでいくべきなのは分かってる。でも止まらないんだよ。困った顔も笑った顔も怒った顔も…緋縁の涙も……全部、全部愛おしくて可愛くて…触れたくて仕方ない」

緋縁の鼓動がドンドン大きくなる。皇輝に聞こえてしまいそうだ。両腕を強い力で握りしめられる。緋縁の肩に皇輝が頭をつけて切実に訴えてくる。

「何か……言ってくれ、緋縁」
「コ……ウ……」

泣きそうだ。

「コ、コウを見てると……独り占めしたく…なって……独占欲?っていうの?……ずっと、傍にいればいいのにって…依存してんじゃないかって…」

皇輝がゆっくりと頭を上げて緋縁を正面から見る。

「誰にも取られたくないし……」

(ヤバい、これ……めっちゃ恥ずかしい……)

「傍にいると……こぅ……ぽかぽかする気持ちっていうか……」

(でも、伝えないと……ダメなんだよな…)

「きゅぅって……お腹の…中……とか……胸?
とか、えっと……心…が……なって」

見つめてくる皇輝の瞳が揺れる。

「理屈じゃなくて、これ……これが、好きって……恋してる好きってこと?」
「あぁもうっ……緋縁!」

キツく抱きしめられる。今はその少し苦しいくらいのキツさが嬉しいと思ってしまう。

「そっか……そうなんだ……
これが好きってことなんだ…俺の」

皇輝は無性に緋縁の顔が見たくなって少し離れて両頬を掌で包み込むように上向かせる。
瞳と瞳が絡み合う。

「でも…………これ…って……は、恥ずかしい…」

ほんのり赤くなってくる頬、その移り変わりを目の当たりにした皇輝は

「う"っ……くそ…………今すぐ食いてぇ…」

熱い熱いキス。触れるだけのキスが濃密なものに思える。

「ダメか?」

(今すぐ!?)

今まで見た中で一番熱く、強く見つめられる。
緋縁はその瞳を見返すことしか出来ない。

「…時間切れ……」

今度は深い、とろけるキス。
口内を余すことなく舐められる。舌と舌とが絡み合い強く吸われてしまう。皇輝の手が緋縁の後頭部と腰に回り抱きすくめる。緋縁は顔を上げ、腰を反らすようにしてなんとかキスに応える。

「んっ……ふぅ……」
「はぁ……緋縁…緋縁…」
「コ、ウ…」

息苦しさと込み上げる何かで涙ぐむ緋縁。腰に回った手が服を避けて素肌の背中を撫でる。ぴくりと反応する素直な身体。皇輝の唇が首筋を通って鎖骨に行く。唇で愛撫をしながらソファーまで誘導する。あっと思うまでも無く押し倒され、のしかかられている。一気に服をたくし上げ一度上から眺めると、胸の小さな突起を口に含む。

(本当に、食べられちゃいそう……)

「あっ……あ、コウ……」

胸元にある皇輝の顔、髪の中に指を入れるように皇輝の頭を抱きしめる。皇輝の舌は止まらず舐めたり吸ったり緋縁の身体をどんどん熱くする。腰を撫でていた手はズボンの前を緩め中に侵入して来た。

(ぅわっ……なんだ…これ……なんか…今までと)

緋縁は戸惑っていた、皇輝に触れられる場所がぞわりぞわり、としてじっとしていられなくなる。

「はっ……ん……コウ……待って、なんか……」
「待てない、時間切れだって言った」
「やっ……だって……んんっ……あっ」

モゾリとくねりだす身体。執拗に舐めてくる皇輝の舌、ズボンを軽くずり下げ足の内側を撫で回してくる手。緋縁は足を撫でられる度、胸の突起を吸われる度、ぴくぴくとしてしまう。

「あっ……あぁ……なんか、変。今日、変だ」
「緋縁……可愛い……」

ふと顔を上げて緋縁の顔を見る皇輝。

「はっ……えっろい顔……煽ってんの?」
「えぇ?……はっ……んぅ…」

皇輝に触られると、蕩けてしまう。もっと触って欲しくなる。身体をひらいてしまいたくなる。

(どうしよ……前、触って欲しい……)

恥ずかしくて、片手で顔を半分隠す。

「隠すな、見せろよ……全部」
「やだよ……変、だし……恥ずかしいって…」
「我慢したかいがあったな。トロトロ、ここ」

きゅっと緋縁の下半身の中心を握られてしまう。そこは既にパンツも濡れていて握られると湿った感触がした。

「ああっ……ふぅん……だめ…動かしちゃ……」

緋縁の指に指を絡ませてくる皇輝。その指をぎゅっと握って皇輝の手の甲にキスをする緋縁。自分も皇輝に触れたくなったのだ。

「ばかっ…そんな可愛いことすんな…」
「俺も……触れたい……」
「優しくしたいんだよ……」

皇輝もズボンの前を寛げ、中心を出す。緋縁のパンツもずらしお互いの分身を重ね合わせる。

「一度、一緒に……」
「あっあっ……んっんっふぁ……」

気持ちが高まっている2人はすぐに快感の頂点に到達し、緋縁の腹を濡らした。
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