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俺の おてがみ

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俺は

ただベッドに座って


この   時間を楽しむのだ。





窓は、閉じた。

君は まだ  眠っている。



ほんのりと森に朝日の気配がして

窓が閉じた後


そのまま明るくなってゆく 部屋




少しずつ 現れる 物の輪郭



      白く 光る 線のはこび



規則正しく 並ぶ本が 上から


     
     色彩いろが  解り


     色彩いろを  纏う



俺の髪にあたる ひかり も


     
     彼女を伴い 現れる 栗色



は 徐々に 木目も表し



     部屋の隅まで 届きはじめる






しかし 部屋の隅まで 届いても 尚 

存在はする 影


ひかりあれば            かげあり



若草あらば             窓もあり



俺あるならば        即ち 「僕」もある









俺は一人頷くと

「起こすなよ。」と 影にいい

ダイニングへ 行った。





…………………………………………………





甘いのの 机の上には

沢山のものが ある。


その   なんとなくごちゃごちゃしてるけど

その一つ一つが しっかりとそこに

     太く  鎮座している さま



それを見るのが俺は好きなんだ。



しかし今の俺の目的は

この 不思議な紙と  ペン



多分、不思議な紙とペンだと思うんだけど?



その見た事のない質感の紙は 厚いんだけど

綺麗に折り畳めて

その見た事のない色のペンとインクは

キラキラひかり 角度によっては読めない

全く見えない ものもある

もしかしたら 「見せたい」と思っていないものは

見えないのかもしれないな

うむ。



そうして俺は  一枚の紙と そのペンを拝借


         おてがみ



を 書き始めたんだ。










「背景」

ちょ   俺もう  真面目に なった筈

この     へ ん か ん  君め!



えっと



「拝啓        「僕」



俺は お前を受け入れることに 決めた。

森の 家にいる。

帰って来い。

時間がかかってもいいから、頑張って辿り着け。

、出来るだろう?

早くしないと


俺が一人で    ぜ    ん    ぶ


喰っちゃおうかな。


         待ってる。    俺より」






「よし。」



 締め が  テキトーだけど


 まぁいいだろ。  「僕」宛 だし。




俺はカチリと窓を開け

外を見る。

「   お前。」

「よう けっしんがついたの か」


そこにいたのは あの   カラス

なんでか 俺が 手紙を出す事を知っている

        なんで?


    カラスの     ストーカー??



「アホ  たのまれたんだ 」


ふうん?


やはり お見通しの窓の仕業かもしれん。

とりあえず俺は  お駄賃のビー玉

        最後のいっこ

それと  俺からの  おてがみ を

カラスに渡すと、ヤツはすぐに飛んで行った。




てか、あいつ

「僕」の  居所      知ってんの???




なら、連れてこないかな???





しかし

それもまた

きっと 難しいことは わかる。



きっと「僕」が   




        じ ぶ ん で





ここへ辿り着かねばならぬのだろう。










健闘を祈る。  「僕」よ。




俺は  甘いのに 朝ごはん♡

作るよ♡





      「僕」が来るまでは







            俺だけの君だからな。


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