【完結】全ては王子の手のひらの上

天冨 七緒

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本題

メイリー

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 幼い頃から私は近所の人に「可愛いね」「将来が楽しみね」と言われることが多かった。
 成長してからは男の子達が誰よりも私を優先しくしてくれるようになった。
 私が皆に優しくすると評判が上がり、優しさ以上のものが帰ってくるのを知った。
 そんな風に振る舞っていると、たまに女の子達からの鋭い視線や酷い言葉を送られることがあった。
 傷ついてないけど、悲しげな表情でいると男の子が気付いてくれる。
 彼女達が私の悪評て盛り上がっている現場を一緒に目撃し「私は平気」「きっと、私が気付かないところで彼女達を傷付けてしまったんだと思うの」と健気に振る舞うと「そんなこと無い」「あいつらが勝手に言っているだけだ気にするな」と味方になってくれ、私の知らないところでこっそり彼女達に注意してくれている。
 私が醜くならずとも、周囲が解決してくれる。
 それから女の子達は私を悪く言わなくなり、私は優しく彼女達に「あの事は気にしてないから」と許してあげた。

 私はセントルクレチア学園に入学するために必死に勉強している。
 セントルクレチア学園はガランディオール王国で一番大きく、貴族が通う学園。
 平民で入学が出来るのは高額な入学金が支払える裕福な家庭が主で、後は成績優秀な特待生枠が数名。
 その数名に入るにはかなりの勉強が必要となる。
 いくら必死になっても基準まで辿り着くのは至難の技だった。
 いつも私に優しく贈り物をくれる男爵家の男の子を頼ることにした。
 彼は既に寄付金も納めているので入学が決まっている。
 貴族の彼に勉強を教わるのは、学園入学を目指している周囲から卑怯者と噂されていた。
 もし勉強が進まないのなら一緒に聞きに行けば良いのに、教えてくれる彼が許可をすれば私としては一緒に学ぶことに問題はない。
 他人を批判するくらいなら自ら動けばいいだけ。
 それをしないで文句を言う彼女達はとても醜いと感じた。私はそんな女にはなりたくない。

 それと最近、男爵夫人の目が厳しく感じる。
 私が夫人の息子と関係があると思われているのだろうか? 私達はそんな関係ではないと断言できる。
 夫人とは違って男爵も優しく、夕食をご馳走していただいたり「今日は遅いから泊まっていきなさい」と心配される。
 食事はご馳走になっても、泊まることはいつもお断りしていた。
 そこまで厚かましくは出来ないのもあるが、一応貴族の屋敷に泊まったと周囲に噂されると今以上に悪意を持たれてしまうのが分かっていたので、誤解を受けるような行動は避けるべきだと私なりにちゃんと気を付けている。

 その甲斐もあり私は学園入学が決まった。
 入学後、彼は友人に囲まれていたが勉強を教えてくれた事のお礼だけを言いその場を離れた。
 彼が優しくても、私が平民と知れ渡れば貴族社会での彼の立場が危ぶまれる可能性がある。
 勉強を教えてくれた人に恩を仇で返す訳にはいかないので、感謝だけを伝えた。

 それから、彼の友人達に声をかけられるようになった。
 やっぱり優しい人の周りには優しい人が集うようで、皆私が平民でも優しく声をかけてくれる。
 そんな日常が続くと貴族令嬢から鋭い視線と嫌みを言われ、同じ平民からは媚を売っていると囁かれ出した。
 会話をしているだけなのに、どうして皆そんなに怒るのか不思議でならない。
 落ち込んでいると「噂は気にするな、皆メイリーが可愛いから嫉妬してるんだよ」と教えてくれた。
 昔から女性にはよく分からない因縁を付けられることがあり、私に問題があるのかと悩むこともあったが彼の言葉で府に落ちた。
 皆、私が可愛いから嫉妬して酷い言葉を向けていたことを知った。
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