【完結】全ては王子の手のひらの上

天冨 七緒

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本題

まさかの

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 母の待つ談話室に到着する。

「スカーレットッ」

 怖いほどの笑みでお母様が近寄り私を抱き締めた。

「…お…お母様?」

「レオナルド王子から贈り物が届いたわよ~早く開けて頂戴」

 私達の関係を考えると、王子からの贈り物は信じられなかった。

「…贈り…物?」

 いくつものサイズの違う箱がテーブルの上に置かれていた。
 これ全部王子からの贈り物なの? いずれ婚約解消する私に対して贈り物する意図が分からない。

「さぁ、早く開けて」

 お母様は興奮を隠せず、私以上に楽しみにしている。
 私は恐る恐る丁寧に箱を開けた。

「まぁ、素敵」

 お母様の感想通り、とても綺麗な色のドレスが現れた。
 箱から取り出し全体を確認すると、繊細でいて美しくまるで夜空のような刺繍のされたドレスが現れた。

「…凄い」

 贈られたドレスは以前お母様がアイデアを出した青い生地に金の刺繍が施され、まさに王子色のドレスだった。
 これは、本当に私に贈られたのだろうか? もしかして想い人に送るはずが手違いで私に届いてしまったのではないだろうか?

「まさかレオナルド王子からドレスが贈られるなんて…」

 お母様は感動し目に涙を溜めていた。
 そんな表情を見てしまうと、このドレスを着ないという選択肢は私にはなかった。
 それでも王子の事を考えると気の毒で仕方ない。
 明日王子に確認し、こっそり本命に渡るようにしてあげないと…

「お母様…」

「あらっそうよね。こっちの箱も確認しないとね」

 ドレスは間違いかもしれないと伝えたかったが、お母様の意識は開けられていない箱に移ってしまった。
 私を見る目が「早く次の箱を開けて頂戴」と言っていた。
 お母様の期待に負けて小さな箱に手を伸ばした。

「えっ?」

 小さな箱は過去の人生を含め見たこともないような豪華な宝石だった。
 声には出さなかったが「これは本物ですか?」と確認してしまいたくなる。
 喩え嫌われている婚約者だったとしても、王族が偽物を贈るとは思えない。

「…なんて素晴らしいのぉ~」

 お母様の反応からして、やはり…本物? 
 混乱する私とは裏腹にお母様は踊りだすのではないかと思うくらい喜んでいる。

「お嬢様、こちらも一緒に預かりました。どうぞ」

 使用人に手渡されたのは手紙だった。
 私が手紙を手にすると、お母様が「早く読みなさい」と力強い念波が送られてきた。
 声には出さず手紙を読むと、視界の角でお母様が「なんて書いてあるの?」と表情が煩かった。

「…えっと…卒業パーティーは…このドレスを着て参加してほしい…と…」

「あぁん、当たり前じゃない。エスコートは?エスコート。我が家まで迎えにくるのよね?」

「…えっと…馬車を送るそうです」

 手紙には「贈ったドレスと宝石を着用してほしい事と、当日は馬車を送ります」とだけ書かれていた。

「あらぁ、そうなの?」

 お母様は少し不服そうだけど、私は王子の対応が怖かった。
 何故そんなことをするのか。
 当日婚約解消するために私が逃げないように拘束するのは分かるが、ドレスや宝石を贈る意味は? お金が勿体ないと思うのは私の前世が庶民だからだろうか?もしかして王子としては、この宝石は手切れ金なのかもしれない。
 そう考えると納得してしまう。

 あの日、王子の本音を知らなければ私もお母様のように喜んでいたに違いない。
 当日は浮かれて王子にエスコートされ、その後に婚約解消されたら私は滑稽よね。
 本当にあの日王子の本音を知る事が出来て良かった。
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