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オマケの続き

手紙

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 結婚の証明書類を提出し、もうすぐ一年。
 結婚式をするには大分時間が経ち過ぎている。私達は互いに良くない噂があるので、周囲の貴族は結婚式を挙げないことに疑問を持つことはなかった。
 どうせ離縁する人間だ結婚式を挙げるのは金と時間の無駄。喩え私達が結婚式を行い彼らが参加しても縁起が悪いだけと考え、酔った時の笑い話くらいにしかならないと思っているのだろう。
 なので、私の事をランクーベ公爵夫人と呼ぶ者は少ない。
 令嬢や夫人達は嫌みもあったかもしれないが、紳士達は個人的な感情ではなく短期間で何度も呼び方を変えることになるだろうと思い戸惑いがあったようだ。「王妃選定に落選したワガママ令嬢が王命により呪われた公爵に嫁ぐ」となれば、誰もが一年持たず離縁すると考えていた。

 私としては身内のみでも構わなかったのだが、公爵家同士の結婚式に「小規模など許されない」と優しいお母様に丁寧に諭され考えを改めた。結婚式の招待状は三ヶ月から半年前には送るものだが、私達は一ヶ月前に送る事になった。なので招待状にも出席できなくても問題ないと記しておいた。

 結婚式の招待状はかなりの人数で夫人の管轄らしく、こんなにも字を書いたのは久しぶりで苦痛とも言える時間を乗り越える事が出来たのは、あの日の事を思い出していたからだ。あの日と言うのは…ねぇ…んふっ…んふふふ。思い出すだけでにやけてしまうのは許してほしい。愛する素敵な男性からその…キス…をされたんだもの…んふっ。

 招待状以外にも結婚式用のドレスが間に合うのか不安ではあったが店の従業員を一ヶ月間雇い、私のドレスだけに集中する契約が結ばれていた。それは強引にも思える契約だが、従業員の対応は「問題ございません」と笑顔だった。話を聞くと、貴族の方はもっと横柄に依頼する方もいらっしゃるので、公爵の依頼はとても丁寧だったと。

「公爵様の依頼は「一ヶ月間妻だけのドレスを集中し製作してほしい、依頼料は言い値で払う。なので、いつ頃可能か知りたい」でした。夫人への愛を感じ、私達への配慮も感じられました。貴族の方は大抵「誰よりも私を優先しろ、私を誰だと思っているんだ」と、そしてこちらが「その依頼は難しいかと…」と、お断りすると大抵は「お前の代わりなどいくらでもいる、断ったことを後悔するがいい」と仰いますから」

 オルフレッドがいつそんな依頼をしていたのか私は知らなかった。彼は私以上に忙しくしていたから…従業員の方は私の知らない彼の事を話ながらも手際よく採寸を終えていく。

 こんなに幸せで良いのかと思いながら流されていくと、やはり良いことだけではないんだと思い知らされた。
 何故なら、私が知る数少ない家紋からの手紙がマークから渡された。

「これって…もしや…」

「はい、王室からです」
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