【完結】能力が無くても聖女ですか?

天冨 七緒

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 大聖堂へ到着するも普段と雰囲気が違うのを肌で感じる。

「聖女様、お待ちしておりました」

 大聖堂では司祭だけでなく、修道士が勢ぞろいし私を出迎えている。
 
「本日はよろしくお願いいたします」

 普段とは違う通路を通り、待機室へと向かう。
 待機室では本日の説明を受ける。 

「聖女様には光の輪の王冠と教会の国章が刻まれた指輪が贈られ、私が聖女様にお付けいたします。それから、大聖堂で聖女であることを教皇である私が宣言します。大聖堂には我が国の貴族が参加しております。その後、四階のバルコニーへ移動し大聖堂の前で聖女を待ち望んでいる国民に姿をお見せします」

「……はい」

「私が補佐いたします」

 過去に似たような経験があるので「大丈夫」と自分に言い聞かせるも、緊張しているのかもしれない。
 
「……ふぅ……」

 ゆっくり息を吐く。

「では、参りましょうか」

「はい」

 教皇の後ろを付いて行くのだが、緊張を紛らわせるように彼の背中の模様に集中した。
 今日が特別なのは私だけでなく、教皇も同じようで彼の服も初めて見る。
 大聖堂には既に『聖女』を待ち望んだ貴族で埋め尽くされている。
 まず初めに教皇が登場し、壇上から集まった人達に言葉を送る。
 何年ぶりかの『聖女』の存在に集まった人達は教皇の言葉を聞きつつ、この後登場してくる人物ばかり気を取られていた。
 
「この度、召喚儀式に成功し我が国に来てくれた聖女を紹介する……さぁ」

 会場は『召喚儀式』という言葉に歓声をあげるも、聖女が姿を現すと分かった瞬間静まりかえる。
 私は教皇に促され、待機していた場所から壇上へと姿を見せる。
 
「聖女様? 」
 
 沢山の人の前に出た経験は今までに沢山あった。
 だけど……思い出してしまう。
 皆初めは羨望の眼差しだった。
 次第に能力を発揮できないと分かると皆が離れていき悪意を向けるようになった……
 また私は繰り返すの……今なら……逃げられる?

「聖女様……聖女様……大丈夫かっ」

 誰かが何かを言っているのを脳が捕らえても、理解できず分かった時には誰かに肩を掴まれた。

「ひゃっ……マドリゲス様……それに、王子様も……」

「私も様子を見に来たんだ……それより、大丈夫なのか? 」

「……平気です」

 私が戸惑っていると壇上からも教皇の心配が伝わる。

「私がエスコートしよう」

「……いえ、王子様にエスコートを頼むわけには……」

 過去、聖女と公表し王子の婚約者発表も同時に行われた。
 王子と人前に出るのは正直怖い。
 何が起こるのかわからないから。

「俺がエスコートする」

「……マドリゲス様が? 」

 マドリゲスは王子の護衛。
 そんな人が一瞬でも王子の傍を離れるのはよくない。

「それがいい、私が先に出て聖女が登場しエスコートをジョシュアがすれば問題ない」

「……さぁ聖女様」

 差し出されたマドリゲスの手に手を重ねる。
 先に王子が登場すると聖女が現れると思っていた貴族は困惑するも、王族の登場で『聖女』が本物であると確証を得る。
 期待の眼差しの中、マドリゲスにエスコートをされ登壇する。
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