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契約で相手を縛ったようで、私も縛られている
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契約については誰にも話していない。
同行したヴァローナや騎士だけでなく、父にも。
「セラフィーナ。報告を受けたが、今日フランツ様に会ったと聞く。強引に迫られているのか? 私が伯爵に抗議しておくか? 」
「いえ、その必要はありません」
「問題ないのか? 」
「はい……令息とは今後も会う予定です」
「何故だ? もしかして記憶が戻ったのか? 」
「……記憶……を、戻す為にです」
私から提示した事なので、契約の事は父にも話せない。
「無理に記憶を戻す必要はないんだぞ」
「……知りたいんです」
「……そうか。令息との対面は許可するが、二人きりになることは許可しない。使用人と騎士を必ず同行させる事……婚約の申し出があった場合は、必ず私に報告しなさい」
「……はい」
父との会話は想定済み。
婚約解消後、すぐにフランツが別の令嬢をエスコートした事は社交界で知れ渡っている。
それは父の耳にも入った事だろう。
そして令嬢がフランツ以外の別の方と婚約間近だったが、その相手には問題があったという話も……
令嬢の噂話とは違い、貴族に関わる事。
父の方が正確に情報を掴んでいる。
それでも、私の記憶喪失の改善を選んでくれた……
「ごめんさい、お父様」
この契約書を交わしたが、一年後私は彼と婚約するつもりは無い。
これは、私の……私を裏切り続けていた彼への復讐。
彼は今後、私との婚約を結ぶために誠心誠意……自身を殺して尽くすだろう。
「過去の私のように……」
どんなに蔑ろにされても文句を言わず、笑顔で対応し続ける。
不満や不快な感情から目を背けて、自分に嘘をつく日々が始まる。
その表情を一番近いところで見たい。
「そして一年後には……」
婚約は難しいと宣言する。
その日が今から待ち遠しい。
そして今日から月に一度、信頼関係を築く為の時間を互いに作る。
手紙でやり取りをして決定した事。
あちらの指定した時刻は以前と同じだが、拘束時間は三倍も要求された。
「記憶喪失の今、私にとって長時間一緒にいるのは困難です」
断り、最低限の手紙の回数で日程を決めた。
冷静になればなる程、気が付いてしまう。
今回私達が会う日は皮肉にも、婚約時代と同じ周期。
以前の彼は、私との時間の後には師匠の屋敷に出向き剣術の訓練をしていたと言っていた。
それなのに今回私との対面を三倍に増やすというのは、疑問が生じる。
「訓練は止めた……私との時間を引き延ばされたくない為の嘘……あの人に会っていた……」
どれが有力な真実なのかは分かっている。
だが、それを私が彼に追求することは出来ない。
過去は追及しないと契約してしまっている。
それ以前に、私が過去を覚えている事は記憶喪失という事が『嘘』である証拠になる。
契約書には記載していないが、相手に嘘を吐いている事は『信頼関係を破綻させる行為』に該当するだろう。
記憶が戻ったと話せば問題ないが、話すタイミングが重要となる。
出来るなら、最後まで隠し通したい。
同行したヴァローナや騎士だけでなく、父にも。
「セラフィーナ。報告を受けたが、今日フランツ様に会ったと聞く。強引に迫られているのか? 私が伯爵に抗議しておくか? 」
「いえ、その必要はありません」
「問題ないのか? 」
「はい……令息とは今後も会う予定です」
「何故だ? もしかして記憶が戻ったのか? 」
「……記憶……を、戻す為にです」
私から提示した事なので、契約の事は父にも話せない。
「無理に記憶を戻す必要はないんだぞ」
「……知りたいんです」
「……そうか。令息との対面は許可するが、二人きりになることは許可しない。使用人と騎士を必ず同行させる事……婚約の申し出があった場合は、必ず私に報告しなさい」
「……はい」
父との会話は想定済み。
婚約解消後、すぐにフランツが別の令嬢をエスコートした事は社交界で知れ渡っている。
それは父の耳にも入った事だろう。
そして令嬢がフランツ以外の別の方と婚約間近だったが、その相手には問題があったという話も……
令嬢の噂話とは違い、貴族に関わる事。
父の方が正確に情報を掴んでいる。
それでも、私の記憶喪失の改善を選んでくれた……
「ごめんさい、お父様」
この契約書を交わしたが、一年後私は彼と婚約するつもりは無い。
これは、私の……私を裏切り続けていた彼への復讐。
彼は今後、私との婚約を結ぶために誠心誠意……自身を殺して尽くすだろう。
「過去の私のように……」
どんなに蔑ろにされても文句を言わず、笑顔で対応し続ける。
不満や不快な感情から目を背けて、自分に嘘をつく日々が始まる。
その表情を一番近いところで見たい。
「そして一年後には……」
婚約は難しいと宣言する。
その日が今から待ち遠しい。
そして今日から月に一度、信頼関係を築く為の時間を互いに作る。
手紙でやり取りをして決定した事。
あちらの指定した時刻は以前と同じだが、拘束時間は三倍も要求された。
「記憶喪失の今、私にとって長時間一緒にいるのは困難です」
断り、最低限の手紙の回数で日程を決めた。
冷静になればなる程、気が付いてしまう。
今回私達が会う日は皮肉にも、婚約時代と同じ周期。
以前の彼は、私との時間の後には師匠の屋敷に出向き剣術の訓練をしていたと言っていた。
それなのに今回私との対面を三倍に増やすというのは、疑問が生じる。
「訓練は止めた……私との時間を引き延ばされたくない為の嘘……あの人に会っていた……」
どれが有力な真実なのかは分かっている。
だが、それを私が彼に追求することは出来ない。
過去は追及しないと契約してしまっている。
それ以前に、私が過去を覚えている事は記憶喪失という事が『嘘』である証拠になる。
契約書には記載していないが、相手に嘘を吐いている事は『信頼関係を破綻させる行為』に該当するだろう。
記憶が戻ったと話せば問題ないが、話すタイミングが重要となる。
出来るなら、最後まで隠し通したい。
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