【完結】恋愛に向いていない女性の記録。婚約者との関係改善を目指して記憶喪失のフリをしたら……婚約解消になった編

天冨 七緒

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悩み事

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 彼にドレスを贈ドレスをられたのは初めて。
 正直なところ、嬉しい気持ちもある。
 本当に、私の事を思ってくれているのではないかと……
 だけど、彼を信じるには不安が拭えない。
 相手の令嬢は婚約者を失った。
 二人の関係は今も隠れて続いている可能性だってある。
 そこを確認せず届いたドレスを着用してしまえば、私が彼に未練があると社交界で噂にされるだろう。
 
「……どうするのが正解なのか……それより、私は彼と寄りを戻したいと思っているのだろうか? 」

 自分の気持ちが分からなくなってきた。
 蔑ろにされていた時期が長すぎて、今の尽くしてくれている彼に気分が良くなっているのかもしれない。
 
「私の気持ち……」

 いつまでもドレスを飾っておくわけにもいかないので、保管を支持する。
 使用人達は私達の関係に浮足立っていた。
 その光景に私も浮かれ始める。

「セラフィーナ、今度レオミュール公爵と食事をすることになった。同席しなさい」

「はい」

 レオミュール公爵は次回参加するパーティーの主催者。
 彼が我が家に訪れたことは今回が初めて。
 今後、共同事業などするのかもしれない。
 それから数日後。
 レオミュール公爵が訪れるという事で我が家総出で出迎える。
 侯爵家なので訪れる人は高位貴族でも格下となるので、今回のように爵位の上の方が訪れると緊張感が走る。
 掃除も念入りにし、食事も料理長が執事と相談し公爵に最終確認までしていた。
 そんな光景を目の当たりにしてしまうと、私も何も出来ないのに緊張していく。
 そして当日。

「ようこそ、レオミュール公爵様」

 父と私、それに執事と使用人で出迎える。
 こんな出迎えはあの人と婚約すると決まった時以来だったのを思い出してしまった。

「ギャスパル侯爵、本日はお招きいただき感謝いたします」

 レオミュールの勝色の髪と瞳は人によっては地味に見えてしまうのに、彼の雰囲気と相まって妖艶さを増している。
 彼を目撃した令嬢達が噂するのも頷ける美しさの持主。
 長年信じていた男性に裏切られていなければ、私も彼の容姿に色めき立っていたのかもしれない。

「こちらは娘のセラフィーナです」

「セラフィーナ・ギャスパルと申します」

「レオミュールと申します。侯爵から思慮深く、慎まし令嬢だと。伺っていた通りな方ですね」

 父は私をそんな風に紹介しているの?
 思慮深く……慎ましい…… 
 
「いえ、私はそんな……公爵様の噂はいつも耳にしております。大変有能な方だと」

「そんな風に仰っていただけて嬉しいですね」

 貴族として、完全に上辺だけの会話だと分かる。

「それでは応接室をご案内いたします」
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