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一曲目の大役
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曲も終わりに近付き、胸の前で手を組むエストレヤの癖が再び出ていた。
生徒会との会話を聞いてしまったフロイントもエストレヤに声をかけ緊張を解こうとしているが会話が噛み合っていなかった。
エストレヤはフロイントの声が音として耳に入っているものの、言葉の意味を理解できなくなっている。
「エストレヤ」
「…ひっ」
「俺を見ろ。」
ゆっくり近付き唇が重なる。
あまりの緊張でエストレヤは今キスされていることにも気付いていないのか瞬きもせず俺と見つめ合っていた。
舌を絡め次第に激しくなりキスだと反応を示すので、頭を抑え逃げられないようにキスを続ける。
俺達のキスを間近で見せ付けられているフロイントの顔が茹で蛸のように真っ赤なのが視界に入ったが止めなかった。
これは見せつけているのではなく、エストレヤから緊張を忘れさせる為だ。
「んぁんっんんっふぁんんっん」
唇を離すとエストレヤの瞳には俺しか映らなくなった。
口で呼吸しながら息を整え、上目遣いで俺を見上げる。
俺達の周囲にいた人間は楽団より俺達に注目していた。
ダンスが始まる前から俺達は注目されてしまった。
曲が終わったので、俺はエストレヤの腰を抱き中央へと歩いていけば人混みが別れていく。
混雑しているはすなのにすんなりと中央まで辿り着き、着いた場所は別世界で俺達だけの空間だった。
一度離れ曲が始まるのを待った。
しんと静まり返る場内に、まるで俺達しかいないのかと錯覚する。
曲が始まりエストレヤを迎えに行き手を取った。
何度も注意された手の重ね方、一つ一つを思い出しながらエストレヤをリードしていく。
初めはお互い緊張し間違わないようにと硬かったが、次第に身体も解れていった。
笑顔も増え、エストレヤに語りかける余裕さえ生まれた。
曲も終盤に差し掛かり場内を視界にいれた時、扉付近にいる王子と人混みに紛れるよう存在するピンク頭、視線を一切逸らさず俺達を睨み付ける子爵の奴を捉えた。
全員の表情は険しく、俺達のダンスを祝福するようには見えなかったが俺はそんな奴らに引っ張られないよう、エストレヤに笑顔を向け続けた。
エストレヤにだけ微笑んだのだが、エストレヤの延長線上にいた奴らも色めき立っていた。
だが俺ではなくエストレヤに視線を向け、魅入られたように視線で追いかけている奴らも数多く視界に捉えた。
失敗することもなくダンスを終えれば、拍手が会場内に響き渡った。
エストレヤから一歩離れ最後の礼をし、エストレヤの腰に腕を絡め噛みつくようなキスをした。
場内の視線が一点に集中している中でのキスにエストレヤも驚き、抵抗を忘れている。
拍手に包まれていた場内は一瞬にして静寂となり、俺達のキスを強制的に見続けていた。
一曲目を任された緊張から解放され無事に終わった事への安堵、そして注目される中でのキスを体験し羞恥する感情にエストレヤは付いていけず膝に力が入らなくなったのか視線の位置が変わるも、条件反射で身体を支える事が出来た。
今の状態では歩くことが出来ないだろうと判断し膝裏に手を添え抱き抱えダンスホールを後にすると、呆然としているティエンダがまだ壁付近にいた。
「婚約者ダンスしないのか?」
「…あっ…行く…フロイント…行こうか。」
「…はいっ」
二人は俺達のキスに呆気にとられた足取りでホールに向かっていく。
「ティエンダ。」
「はいっ。」
名前を呼べば勢い良く振り向かれたのを見て、練習以上に緊張しているのが伝わる。
このままでは最悪な婚約者ダンスを迎えるのではと感じた。
何か緊張が解ける方法は無いのか?
「婚約者なんだ、最後はキスで締め括れよ。」
「………。」
周囲に聞こえるようはっきりと声援を送れば、強ばった表情の二人と目があった。
婚約者ダンスに向かう他の奴らも俺の声が届いたのか、歩みを止め俺に視線を向けている。
そいつ等全員に笑顔で頷いといた。
「ちゃんと、見てるからな婚約者達見せつけてくれよ。」
返事の無いティエンダを他所に後押しをした。
「婚約者達」を強調した事で、今から婚約者だけが許されたダンスをする全員にそれとなく伝えておいた。
ホールにいるペア全員が今までに婚約者ダンスで感じた事の無い緊張に包まれていた。
お互いを見つめ頬を染めるペアが多数確認できた。
これであの場にいる全員が同じ緊張を味わっていた。
例え失敗しても婚約者達は気付くことはないだろう。
二人が失敗しても他の婚約者達は自分達に夢中、語り継がれても思い出すのは自分達の事だろうな。
「エストレヤ何組が終わった後キスすると思う?」
「ふぇっ…あっえっと…三組位?」
こちらも、まだ夢心地のように心ここに有らずだった。
「もっとするだろ?八組は行くんじゃねぇの?」
「そんなにっ?」
「近い方が相手の言うことを何でも一つ聞くってのはどうだ?」
「…ぅん、ぃぃよ。」
「楽しみだな…ティエンダ達のダンスも見ておかないとな。」
「ぅん…ァティ…。」
「どうした?」
「もう大丈夫だよ…。」
「ん?」
「下りるよ…、」
「このままがいいなぁ。」
「お願い…ちゅっ」
「………エストレヤ…それズルい。」
エストレヤからのキスにやられた単純な俺は、素直に今まで抱き上げていたエストレヤを下ろした。
だが、エストレヤに触れていたくて、後ろから抱き締めながら婚約者ダンスを見学することにした。
俺達の周囲にいた人間はダンスを見ながら俺達二人のこともチラチラと見て、どちらを見るべきか決めかねているようだ。
「もうすぐ終わるな。」
「…ぅん」
生徒会との会話を聞いてしまったフロイントもエストレヤに声をかけ緊張を解こうとしているが会話が噛み合っていなかった。
エストレヤはフロイントの声が音として耳に入っているものの、言葉の意味を理解できなくなっている。
「エストレヤ」
「…ひっ」
「俺を見ろ。」
ゆっくり近付き唇が重なる。
あまりの緊張でエストレヤは今キスされていることにも気付いていないのか瞬きもせず俺と見つめ合っていた。
舌を絡め次第に激しくなりキスだと反応を示すので、頭を抑え逃げられないようにキスを続ける。
俺達のキスを間近で見せ付けられているフロイントの顔が茹で蛸のように真っ赤なのが視界に入ったが止めなかった。
これは見せつけているのではなく、エストレヤから緊張を忘れさせる為だ。
「んぁんっんんっふぁんんっん」
唇を離すとエストレヤの瞳には俺しか映らなくなった。
口で呼吸しながら息を整え、上目遣いで俺を見上げる。
俺達の周囲にいた人間は楽団より俺達に注目していた。
ダンスが始まる前から俺達は注目されてしまった。
曲が終わったので、俺はエストレヤの腰を抱き中央へと歩いていけば人混みが別れていく。
混雑しているはすなのにすんなりと中央まで辿り着き、着いた場所は別世界で俺達だけの空間だった。
一度離れ曲が始まるのを待った。
しんと静まり返る場内に、まるで俺達しかいないのかと錯覚する。
曲が始まりエストレヤを迎えに行き手を取った。
何度も注意された手の重ね方、一つ一つを思い出しながらエストレヤをリードしていく。
初めはお互い緊張し間違わないようにと硬かったが、次第に身体も解れていった。
笑顔も増え、エストレヤに語りかける余裕さえ生まれた。
曲も終盤に差し掛かり場内を視界にいれた時、扉付近にいる王子と人混みに紛れるよう存在するピンク頭、視線を一切逸らさず俺達を睨み付ける子爵の奴を捉えた。
全員の表情は険しく、俺達のダンスを祝福するようには見えなかったが俺はそんな奴らに引っ張られないよう、エストレヤに笑顔を向け続けた。
エストレヤにだけ微笑んだのだが、エストレヤの延長線上にいた奴らも色めき立っていた。
だが俺ではなくエストレヤに視線を向け、魅入られたように視線で追いかけている奴らも数多く視界に捉えた。
失敗することもなくダンスを終えれば、拍手が会場内に響き渡った。
エストレヤから一歩離れ最後の礼をし、エストレヤの腰に腕を絡め噛みつくようなキスをした。
場内の視線が一点に集中している中でのキスにエストレヤも驚き、抵抗を忘れている。
拍手に包まれていた場内は一瞬にして静寂となり、俺達のキスを強制的に見続けていた。
一曲目を任された緊張から解放され無事に終わった事への安堵、そして注目される中でのキスを体験し羞恥する感情にエストレヤは付いていけず膝に力が入らなくなったのか視線の位置が変わるも、条件反射で身体を支える事が出来た。
今の状態では歩くことが出来ないだろうと判断し膝裏に手を添え抱き抱えダンスホールを後にすると、呆然としているティエンダがまだ壁付近にいた。
「婚約者ダンスしないのか?」
「…あっ…行く…フロイント…行こうか。」
「…はいっ」
二人は俺達のキスに呆気にとられた足取りでホールに向かっていく。
「ティエンダ。」
「はいっ。」
名前を呼べば勢い良く振り向かれたのを見て、練習以上に緊張しているのが伝わる。
このままでは最悪な婚約者ダンスを迎えるのではと感じた。
何か緊張が解ける方法は無いのか?
「婚約者なんだ、最後はキスで締め括れよ。」
「………。」
周囲に聞こえるようはっきりと声援を送れば、強ばった表情の二人と目があった。
婚約者ダンスに向かう他の奴らも俺の声が届いたのか、歩みを止め俺に視線を向けている。
そいつ等全員に笑顔で頷いといた。
「ちゃんと、見てるからな婚約者達見せつけてくれよ。」
返事の無いティエンダを他所に後押しをした。
「婚約者達」を強調した事で、今から婚約者だけが許されたダンスをする全員にそれとなく伝えておいた。
ホールにいるペア全員が今までに婚約者ダンスで感じた事の無い緊張に包まれていた。
お互いを見つめ頬を染めるペアが多数確認できた。
これであの場にいる全員が同じ緊張を味わっていた。
例え失敗しても婚約者達は気付くことはないだろう。
二人が失敗しても他の婚約者達は自分達に夢中、語り継がれても思い出すのは自分達の事だろうな。
「エストレヤ何組が終わった後キスすると思う?」
「ふぇっ…あっえっと…三組位?」
こちらも、まだ夢心地のように心ここに有らずだった。
「もっとするだろ?八組は行くんじゃねぇの?」
「そんなにっ?」
「近い方が相手の言うことを何でも一つ聞くってのはどうだ?」
「…ぅん、ぃぃよ。」
「楽しみだな…ティエンダ達のダンスも見ておかないとな。」
「ぅん…ァティ…。」
「どうした?」
「もう大丈夫だよ…。」
「ん?」
「下りるよ…、」
「このままがいいなぁ。」
「お願い…ちゅっ」
「………エストレヤ…それズルい。」
エストレヤからのキスにやられた単純な俺は、素直に今まで抱き上げていたエストレヤを下ろした。
だが、エストレヤに触れていたくて、後ろから抱き締めながら婚約者ダンスを見学することにした。
俺達の周囲にいた人間はダンスを見ながら俺達二人のこともチラチラと見て、どちらを見るべきか決めかねているようだ。
「もうすぐ終わるな。」
「…ぅん」
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