1 / 26
あの女に出会う前の私は順風満帆
しおりを挟む
「バラエティー……女王?」
とあるアンケート結果。
「『年間出演数』第一位……スタッフに聞く、『バラエティー番組にいて安心するタレント』……第一位……」
確かにどの局のバラエティー番組を見ても、彼女が出演している。
ネットの評価は男性からの指示が高く、女性は低い……なのに……
「どうして……」
数年前。
「次の企画は……」
某テレビ局の番組スタッフになり数年。
企画も通り、キャストの人選にも拘ることが出来るようになった。
「ご挨拶をよろしいでしょうか?」
最近では新人を引き攣れたマネージャーの対応をすることもある。
マネージャーは、見た目三十代。
男性。
彼の隣にいるのが今回紹介を受ける新人。
「はい」
「私、〇〇〇芸能事務所の神原と申します。アイドルグループを卒業し、個人活動になった島上です。何でもやりますので、是非使ってやってください」
挨拶と同時にプロフィールの書類を手渡される。
「私、島上麻美です。よろしくお願いします」
確りと目を合わせ、ハキハキと笑顔で挨拶をする島上。
童顔で身長も低く、自然と上目遣いに。
少し頭を傾ける仕草……
「……どうも、山本です……」
彼女の挨拶に私も笑顔で対応するが、口角が引き攣ってしまう。
「本日はお時間頂きありがとうございます」
挨拶を終え、去って行く二人の後姿を見送る。
「私の事……覚えてないのね……」
私は島内の事を知っている。
小学生の時の同級生。
忘れたくても忘れられない存在。
『私達、ずっと友達だよ……』
そう言った彼女は、私を無視し始めた。
理由は、クラスのリーダー格の子に気に入られる為。
それは中学でも続いた。
島上はリーダー格の子がいると目立たないが、いなくなると豹変。
「誤解しないでね? これ以上辛い目に合わないよう、私が守ってあげてるんだよ?」
八方美人。
「皆がいないところで、優しくしてあげるから」
彼女はそれが本当に優しさだと思っている。
彼女は両親と祖父母に溺愛されて育ち、家も裕福。
幼い頃から色んな習い事をしていたので、親しかった頃の私は
「遊べないなんて、毎日大変そうだな……」
そんな風に思っていた。
成長すると分かる。
彼女がお金をかけられて育てられたのだと。
彼女への溺愛に利用された事もある。
「この子の荷物、学校まで持っていってくれる」
私達の関係を知らない彼女の母親に、彼女の荷物持ちをさせられたことがあった。
「あっ……はい」
突然の提案に私は受け入れてしまった。
『持って行ってくれる? 』と言いながら、差し出すので私に拒否権なんてなかった。
大人に言われ反論できず、後に何故私が彼女の荷物を教室まで持たなければならなかったのか不満が込み上げる。
自然と使われ、あの親子にとって他人は『利用するもの』と思っているのだろう。
振り返れば大人たちの間でも、彼女の家が地主ということで待遇が違う。
学校にも何かしらの影響力があるようで、イベントなどで学校に訪れては貴賓として挨拶をしていた。
彼女からの私への嫌がらせも、無視や悪口、物が盗まれ壊されるなどだった。
次第に行動はエスカレートしていき確実な証拠得た時。
学年問題になる事件だったが、犯人が彼女だと分かると教師達は態度を一変。
私としては警察へ被害届をと考えていた時。
教師に呼び出された。
「受験もあるし、ここは大事にしない方が貴方の為よ。後片付けは先生達がしておくから気にしなくていいわよ」
被害届は出さないよう言いくるめられた。
そして証拠も、教師達により処分。
彼女の家への忖度と、彼女自身が私立の高校に推薦で合格の取り消しにならないようにだ。
私達の通う中学は近隣の中でも優秀でないと評判だったので、教師も彼女に肩入れしていた。
彼女に比べ私の成績は、平凡。
目立った特徴もない。
彼女と天秤にかけられ、私は教師に見捨てられた。
彼女はクラスの女子全員を支配する側。
彼女達に目を付けられたくない女子生徒は、事件の犯人が誰なのか勘付きながらも彼女達の私への扱いを見て見ぬフリを続ける。
次の標的になりたくないから。
私にとって唯一の救いは、男子がいると彼女達の嫌がらせが鳴りを潜める。
その時だけは、私は安心できた。
学校を休んだら親に心配をかけてしまうと思い、普通に振る舞う。
現実を思い出したくない私はテレビの世界に逃げた。
ドラマや映画、アニメにバラエティーにニュース。
そこが私の救いの場。
テレビを付けない時間が無いほど。
そんな私だったので、就職もテレビ関係に進んだ。
テレビの仕事に関われる事で楽しかったし、自分の好みの番組を作れることにも喜びを感じていた。
いつか、視聴率トップの番組を作りたいと目標に。
出る側にも正直、憧れはあった。
だけど過去が邪魔をし、選択出来なかった。
そんな私の前に、彼女が再び現れた。
私を蔑むような笑顔ではなく、人当たりの良い笑みを浮かべながら。
もう二度と関わる事がないと思っていたのに……
私の事など一切忘れて……
「あんたなんかと一緒に仕事するわけ……ないじゃない……」
私が一生懸命携わった作品を、あんな女に汚されたくない。
そんなの、私の作品が可哀想。
彼女のプロフィールの書類を処分する事は出来ず、誰の目にも振れないよう仕舞いこむ。
とあるアンケート結果。
「『年間出演数』第一位……スタッフに聞く、『バラエティー番組にいて安心するタレント』……第一位……」
確かにどの局のバラエティー番組を見ても、彼女が出演している。
ネットの評価は男性からの指示が高く、女性は低い……なのに……
「どうして……」
数年前。
「次の企画は……」
某テレビ局の番組スタッフになり数年。
企画も通り、キャストの人選にも拘ることが出来るようになった。
「ご挨拶をよろしいでしょうか?」
最近では新人を引き攣れたマネージャーの対応をすることもある。
マネージャーは、見た目三十代。
男性。
彼の隣にいるのが今回紹介を受ける新人。
「はい」
「私、〇〇〇芸能事務所の神原と申します。アイドルグループを卒業し、個人活動になった島上です。何でもやりますので、是非使ってやってください」
挨拶と同時にプロフィールの書類を手渡される。
「私、島上麻美です。よろしくお願いします」
確りと目を合わせ、ハキハキと笑顔で挨拶をする島上。
童顔で身長も低く、自然と上目遣いに。
少し頭を傾ける仕草……
「……どうも、山本です……」
彼女の挨拶に私も笑顔で対応するが、口角が引き攣ってしまう。
「本日はお時間頂きありがとうございます」
挨拶を終え、去って行く二人の後姿を見送る。
「私の事……覚えてないのね……」
私は島内の事を知っている。
小学生の時の同級生。
忘れたくても忘れられない存在。
『私達、ずっと友達だよ……』
そう言った彼女は、私を無視し始めた。
理由は、クラスのリーダー格の子に気に入られる為。
それは中学でも続いた。
島上はリーダー格の子がいると目立たないが、いなくなると豹変。
「誤解しないでね? これ以上辛い目に合わないよう、私が守ってあげてるんだよ?」
八方美人。
「皆がいないところで、優しくしてあげるから」
彼女はそれが本当に優しさだと思っている。
彼女は両親と祖父母に溺愛されて育ち、家も裕福。
幼い頃から色んな習い事をしていたので、親しかった頃の私は
「遊べないなんて、毎日大変そうだな……」
そんな風に思っていた。
成長すると分かる。
彼女がお金をかけられて育てられたのだと。
彼女への溺愛に利用された事もある。
「この子の荷物、学校まで持っていってくれる」
私達の関係を知らない彼女の母親に、彼女の荷物持ちをさせられたことがあった。
「あっ……はい」
突然の提案に私は受け入れてしまった。
『持って行ってくれる? 』と言いながら、差し出すので私に拒否権なんてなかった。
大人に言われ反論できず、後に何故私が彼女の荷物を教室まで持たなければならなかったのか不満が込み上げる。
自然と使われ、あの親子にとって他人は『利用するもの』と思っているのだろう。
振り返れば大人たちの間でも、彼女の家が地主ということで待遇が違う。
学校にも何かしらの影響力があるようで、イベントなどで学校に訪れては貴賓として挨拶をしていた。
彼女からの私への嫌がらせも、無視や悪口、物が盗まれ壊されるなどだった。
次第に行動はエスカレートしていき確実な証拠得た時。
学年問題になる事件だったが、犯人が彼女だと分かると教師達は態度を一変。
私としては警察へ被害届をと考えていた時。
教師に呼び出された。
「受験もあるし、ここは大事にしない方が貴方の為よ。後片付けは先生達がしておくから気にしなくていいわよ」
被害届は出さないよう言いくるめられた。
そして証拠も、教師達により処分。
彼女の家への忖度と、彼女自身が私立の高校に推薦で合格の取り消しにならないようにだ。
私達の通う中学は近隣の中でも優秀でないと評判だったので、教師も彼女に肩入れしていた。
彼女に比べ私の成績は、平凡。
目立った特徴もない。
彼女と天秤にかけられ、私は教師に見捨てられた。
彼女はクラスの女子全員を支配する側。
彼女達に目を付けられたくない女子生徒は、事件の犯人が誰なのか勘付きながらも彼女達の私への扱いを見て見ぬフリを続ける。
次の標的になりたくないから。
私にとって唯一の救いは、男子がいると彼女達の嫌がらせが鳴りを潜める。
その時だけは、私は安心できた。
学校を休んだら親に心配をかけてしまうと思い、普通に振る舞う。
現実を思い出したくない私はテレビの世界に逃げた。
ドラマや映画、アニメにバラエティーにニュース。
そこが私の救いの場。
テレビを付けない時間が無いほど。
そんな私だったので、就職もテレビ関係に進んだ。
テレビの仕事に関われる事で楽しかったし、自分の好みの番組を作れることにも喜びを感じていた。
いつか、視聴率トップの番組を作りたいと目標に。
出る側にも正直、憧れはあった。
だけど過去が邪魔をし、選択出来なかった。
そんな私の前に、彼女が再び現れた。
私を蔑むような笑顔ではなく、人当たりの良い笑みを浮かべながら。
もう二度と関わる事がないと思っていたのに……
私の事など一切忘れて……
「あんたなんかと一緒に仕事するわけ……ないじゃない……」
私が一生懸命携わった作品を、あんな女に汚されたくない。
そんなの、私の作品が可哀想。
彼女のプロフィールの書類を処分する事は出来ず、誰の目にも振れないよう仕舞いこむ。
34
あなたにおすすめの小説
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
婚約者の心の声が聞こえるようになったが手遅れだった
神々廻
恋愛
《めんどー、何その嫌そうな顔。うっざ》
「殿下、ご機嫌麗しゅうございます」
婚約者の声が聞こえるようになったら.........婚約者に罵倒されてた.....怖い。
全3話完結
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり
鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。
でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる