王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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聖女時代

失敗さえ楽しい二人

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 新たな聖女候補紹介の謁見は問題がなかったとは言えない出来にもかかわらず、王子は教会へやって来た。
 既存の聖女候補には目もくれず、新たな聖女候補にだけ会話を交わす。
 そんな二人に、聖女候補も司祭も何も言えずその場を離れた。

 自身の行動が、他の聖女候補から反感を買っているとは思っていない二人。
 ソミールは、コルネリウスと二人分の紅茶を淹れる。

「紅茶の準備まで手伝ってもらっちゃって、ありがとう」

「いや。短い時間だったにもかかわらず、よく勉強したんだな。素晴らしい受け答えだった」

「そうかな? 私、何か失敗してなかった?」

「問題ない」

「そっかぁ、良かった」

「聖女候補たちとは、最近どうだ?」

「……ん~……平気……かな? 心配しないで」

「以前、嫌がらせや厳しいこと言われていたようだったが?」

「あっ、ベッタちゃんね。小さい子が考える嫌がらせだもの、平気よ。それに彼女は教会で一番幼いから、必死なのよ。ここでは互いを励まし合うってことがないから、弱さを見せたくないんだと思う。だからね、彼女を追い詰めたくないからこのことは内緒にしてほしいの。私は平気だから」

「いくら幼いと言っても、徐々に過激さを増していく。ある日突然、取り返しのつかないことを仕出かすことだってある」

「やめて。ベッタちゃんは、そんなことしないわ。いつかわかってくれる。私はベッタちゃんのことを信じているもの」

「人を信じるのはいいが、疑うことを忘れてはいけない」

「私だって知らない人まで信じたりしないわ。ベッタちゃんだから、信じているの。同じ聖女候補だもの」

「……そうか……君みたいな人が聖女になるべきだな……」

「ん? 何か言った?」

「いや、なんでもない。茶葉、もう開いたんじゃないか?」

「あっ、そうだね」

 紅茶をカップに注ぐ。

「コルネリウスさんは、今度いつ来るの?」

「そうだな、早くて……三日後かな」

「そっか楽しみ」

 カップに紅茶を注ぎ、二人で口にする。

「「……ん゛っ……苦いっ……アハハハハハ」」

 甘い香りに惑わされ口に含んだ紅茶が、予想よりも苦いことに顔を顰める。
 互いが同じ反応したことが面白く、顔を見合わせて笑う二人。
 婚約者候補たちと過ごすお茶の時間とは比較にならない長い時間を、二人は過ごす。
 
 翌日、司祭からソミールに予定を告げる。

「陛下への謁見も終りましたので、次は国民への挨拶です」

「……国民にも挨拶するんですか?」

「もちろんです」
 
 国王への謁見が終わり、国民への挨拶となる。

「おぉー、聖女様ぁ」
「我らの希望の星だぁ」
「頼んだぞぉ」

 平民から聖女候補が誕生したのは、随分前のこと。
 その事実に平民が盛り上がらないはずがない。
 新たな聖女候補見たさに教会へ訪れた平民の数は、今までの比ではなかった。
 その事実が、聖女候補を刺激する。
 遠目からコルネリウスの姿も確認。
 ソミールに声をかけることなく、王宮へ戻って行った。
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