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聖女時代
来る時は連絡してね
「コルネリウス王子殿下の馬車を見たけど、今日は誰の約束日だ?」
「いや、俺は聞いてない」
「そもそも今日は、約束日だったか? 連絡事項になかったと思うが……」
婚約者候補とコルネリウスのお茶会は見習いにも伝達されている。
以前までは約束日以外のコルネリウスの訪問はなかった。
最近はやたら頻繁に訪れるコルネリウス。
その目的は、教会に出入りする者は薄々気づいている。
噂の確認に来たわけではないが、偶然通りがかり私も目撃してしまう。
「こんなところの掃除も、聖女候補の仕事なのか?」
「あっ、コルネリウスさん。ここの掃除は聖女候補の担当じゃなく、教会の見習いさんの担当だよ。この時期は頻繁に掃除しないと、どうしても落ち葉が気になっちゃうの」
「それでソミールが掃除するように頼まれたのか?」
「頼まれたなんて、私が勝手にしてるだけだよ」
「自主的に掃除なんて、聖女候補に選ばれる者は違うな」
「皆は私みたいに考えなしで動いたりしないだけ。私と違って、聖女様のように洗練されているもの」
「令嬢は……確かに、掃除はしないな」
「あの……私が勝手に掃除しちゃったのを誰にも言わないでね。聖女らしくないって、また怒られちゃうから……」
「怒られる……この程度でか?」
「聖女様は常に気品? を持って行動しないといけないって……候補の私も『聖女の品位を陥れるような行動はしてはいけない』って言われてるの」
「……分かった、誰にも話したりはしない」
「ありがとう。今日は誰に会いに来たの?」
「司祭に色々と確認することがあってきた」
「そっか。遅れちゃうから、行って」
司祭に挨拶へと向かうコルネリウスを見送るソミール。
姿が見えなくなると、その場を離れ見習いに掃除道具を片付けるよう指示する。
「よくもまぁ、あんな嘘が次から次へと出てくるものね」
ソミールが自主的に掃除することはないし、掃除しても楽な場所ばかりを率先して行う。
確かに『聖女の品位を陥れるような行動をしてはいけない』と話はした。
それは、挨拶での仕草。
掃除をしてはいけないなんて意味ではない。
都合よく解釈し、コルネリウスへの評価を上げるために利用しないでほしい。
「神様は、私たちを見ていてくれていますよね?」
ソミールの行動に対して能力の高さを見せつけられると、信仰心が揺らいでいく。
これが、私たちに与えられた試練なのだろうか?
「負の感情に囚われてはいけない……ふぅ………」
負の感情を吐き出し、自身のやるべきことに集中する。
コルネリウスは婚約者候補で聖女候補たちとは対面せず、王宮へ戻ったと聞く。
『やはり』と思ったが、頭を振り払い忘れることにする。
「ソミール嬢と話していると、時間があっという間だな」
約束日で訪れたとしても、必ずソミールとの時間を得ている。
そんな二人を見せつけられ、候補としての時間を過ごしても穏やかさを取り繕うのが精いっぱい。
コルネリウスの心ここにあらずなのは、嫌でも分かる。
約束日の時間になっても訪れないのも、最近では日常に。
「申し訳ない。遅れてしまった」
「ごめんね。少し話してたら盛り上がっちゃって、約束の時間が過ぎているのに気つかなかった」
コルネリウスは約束の時間に遅刻して現れ、ソミールと共に二人で謝罪に訪れる。
その光景が、候補者たちの神経を避け撫でしているのが分かっていない。
彼は何しに教会へ訪れているのか、分かっているのだろうか?
「いえ。問題ありませんよ」
そんなことを思っていても、表情には出さない。
「では、ソミール嬢行ってくる」
「はい、行ってらっしゃい」
そこは、「フローレンス嬢、行こうか?」じゃないの?
どこまでも、ソミール優先なのね。
そんな始まりのお茶会なので、頼める雰囲気にはならず時間を確認すればソミールとの時間の方が長いのではないかと思えてならない。
教会関係者がいくら口を閉じても、偶然訪れた人間から噂は広まっていく。
聖女候補は、一般開放区の通路は使わないことになっている。
でないと、参拝客に声をかけられその日の予定が熟せなくなる。
見習いと聖女候補は、解放区にある通路は使わない。
「なぁ、君が最近の能力が発覚した聖女候補かな?」
「はい、そうです」
「私は侯爵のイリノエと申します。貴方の後見人になりたいと思っております」
「後見人ですか?」
「後見人と言っても、君を屋敷で囲い込み親戚筋と婚姻させるなどと思っているわけじゃないんだ」
「……では、何が目的ですか?」
「身分は平民だろう? 他の候補者と違い、なにかと不便があるんじゃないのか? 教会は平等に配給はするも、それは貴族前提だろう? 不都合があっても我慢しているのではないか? 我々のために祈ってくれているのに、困っているのなら何か支援が出来ないかと思って声を掛けさせてもらった。迷惑かな?」
「それは嬉しいです。平等に配給といっても、私は平民ですから……侯爵様の申し出は迷惑ではないです」
「私は君を支援したいと思っている。支援を必要とする時は、私を頼ってくれ」
「はい、ありがとうございます。イリノエ侯爵様」
「いつでもお待ちしておりますよ」
ソミールはイリノエとの会話をコルネリウスに報告。
今日のコルネリウスは、司祭に確認する話があるということで教会に訪問をしたはず。
今は、ソミールと二人でお茶会をしている。
「イリノエ侯爵様にお世話になってもいいのかな?」
「イリノエ侯爵か……彼は、これまで犯罪に関わったことはない。過去に聖女候補を何名か引き入れたことはあるが、聖女候補を輩出していないだろう。野心はあるが、悪意ある人間ではない。聖女を強く欲する貴族ではある。なので、支援が必要だった時は彼を頼っても問題ないだろう。彼に不審な動きがあった場合は言ってくれ、私が対処するし支援も王宮から拠出するから安心してくれ」
「相談に乗ってくれて、ありがとう」
「いや、俺は聞いてない」
「そもそも今日は、約束日だったか? 連絡事項になかったと思うが……」
婚約者候補とコルネリウスのお茶会は見習いにも伝達されている。
以前までは約束日以外のコルネリウスの訪問はなかった。
最近はやたら頻繁に訪れるコルネリウス。
その目的は、教会に出入りする者は薄々気づいている。
噂の確認に来たわけではないが、偶然通りがかり私も目撃してしまう。
「こんなところの掃除も、聖女候補の仕事なのか?」
「あっ、コルネリウスさん。ここの掃除は聖女候補の担当じゃなく、教会の見習いさんの担当だよ。この時期は頻繁に掃除しないと、どうしても落ち葉が気になっちゃうの」
「それでソミールが掃除するように頼まれたのか?」
「頼まれたなんて、私が勝手にしてるだけだよ」
「自主的に掃除なんて、聖女候補に選ばれる者は違うな」
「皆は私みたいに考えなしで動いたりしないだけ。私と違って、聖女様のように洗練されているもの」
「令嬢は……確かに、掃除はしないな」
「あの……私が勝手に掃除しちゃったのを誰にも言わないでね。聖女らしくないって、また怒られちゃうから……」
「怒られる……この程度でか?」
「聖女様は常に気品? を持って行動しないといけないって……候補の私も『聖女の品位を陥れるような行動はしてはいけない』って言われてるの」
「……分かった、誰にも話したりはしない」
「ありがとう。今日は誰に会いに来たの?」
「司祭に色々と確認することがあってきた」
「そっか。遅れちゃうから、行って」
司祭に挨拶へと向かうコルネリウスを見送るソミール。
姿が見えなくなると、その場を離れ見習いに掃除道具を片付けるよう指示する。
「よくもまぁ、あんな嘘が次から次へと出てくるものね」
ソミールが自主的に掃除することはないし、掃除しても楽な場所ばかりを率先して行う。
確かに『聖女の品位を陥れるような行動をしてはいけない』と話はした。
それは、挨拶での仕草。
掃除をしてはいけないなんて意味ではない。
都合よく解釈し、コルネリウスへの評価を上げるために利用しないでほしい。
「神様は、私たちを見ていてくれていますよね?」
ソミールの行動に対して能力の高さを見せつけられると、信仰心が揺らいでいく。
これが、私たちに与えられた試練なのだろうか?
「負の感情に囚われてはいけない……ふぅ………」
負の感情を吐き出し、自身のやるべきことに集中する。
コルネリウスは婚約者候補で聖女候補たちとは対面せず、王宮へ戻ったと聞く。
『やはり』と思ったが、頭を振り払い忘れることにする。
「ソミール嬢と話していると、時間があっという間だな」
約束日で訪れたとしても、必ずソミールとの時間を得ている。
そんな二人を見せつけられ、候補としての時間を過ごしても穏やかさを取り繕うのが精いっぱい。
コルネリウスの心ここにあらずなのは、嫌でも分かる。
約束日の時間になっても訪れないのも、最近では日常に。
「申し訳ない。遅れてしまった」
「ごめんね。少し話してたら盛り上がっちゃって、約束の時間が過ぎているのに気つかなかった」
コルネリウスは約束の時間に遅刻して現れ、ソミールと共に二人で謝罪に訪れる。
その光景が、候補者たちの神経を避け撫でしているのが分かっていない。
彼は何しに教会へ訪れているのか、分かっているのだろうか?
「いえ。問題ありませんよ」
そんなことを思っていても、表情には出さない。
「では、ソミール嬢行ってくる」
「はい、行ってらっしゃい」
そこは、「フローレンス嬢、行こうか?」じゃないの?
どこまでも、ソミール優先なのね。
そんな始まりのお茶会なので、頼める雰囲気にはならず時間を確認すればソミールとの時間の方が長いのではないかと思えてならない。
教会関係者がいくら口を閉じても、偶然訪れた人間から噂は広まっていく。
聖女候補は、一般開放区の通路は使わないことになっている。
でないと、参拝客に声をかけられその日の予定が熟せなくなる。
見習いと聖女候補は、解放区にある通路は使わない。
「なぁ、君が最近の能力が発覚した聖女候補かな?」
「はい、そうです」
「私は侯爵のイリノエと申します。貴方の後見人になりたいと思っております」
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「……では、何が目的ですか?」
「身分は平民だろう? 他の候補者と違い、なにかと不便があるんじゃないのか? 教会は平等に配給はするも、それは貴族前提だろう? 不都合があっても我慢しているのではないか? 我々のために祈ってくれているのに、困っているのなら何か支援が出来ないかと思って声を掛けさせてもらった。迷惑かな?」
「それは嬉しいです。平等に配給といっても、私は平民ですから……侯爵様の申し出は迷惑ではないです」
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「はい、ありがとうございます。イリノエ侯爵様」
「いつでもお待ちしておりますよ」
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