32 / 43
聖女時代
ヒロインの本領発揮
しおりを挟む
聖女候補同士で情報を共有すると、自然とソミールを警戒し始める。
次第に隙を見せない行動を心がける。
〈ファビオラ・アンギレーリの場合〉
「あっ、ファヴィちゃん!!」
「……どうして……あなたが、こちらに……いらっしゃるの?」
「私? 私は休みの日に孤児院や貧困街で奉仕活動しているの。それより、ファヴィちゃんはここで何しているの? ここは知らないかもしれないけど、あんまり……治安が……お買い物とかだったら、この道を戻って……」
「いえ、私はこの近くに用があって来たので……それでは、ごきげんよう」
「あっ……またねぇ~」
ファビオラは近くの教会に挨拶をし、貧困街で食事を配布する計画書を司祭に提出していた。
この日のために事前に教会へ何度も足を運び、当日の予定も打ち合わせ、滞在する教会の修繕も終わらせていた。
教会を拠点に、食料配布をする予定。
どんなに安全を確保しても司祭から危険と判断されているので、護衛騎士と共にファヴィオラ教会で報告を受ける。
食料配布が始まり一度目の報告。
「聖女候補様。報告させていただきます。食料配布は順調で、問題はありません」
「そうですか。遠くからでも状況を確認したいのですが、落ち着いた頃に教えていただけますか?」
「はい、畏まりました。しばらくは続くと思いますので、声を掛けさせていただきます」
こちらが統制をとろうとするも、一度崩れると一気に広まり危険地帯となってしまう。
相手が聖女候補であっても、どうなるか分からない。
なので、ファヴィオは様子を見ながらの参加となる。
その間、食料配布は教会に身を置く見習いがしている。
「聖女候補様、本日は大変ありがとうございます」
教会の司祭が挨拶に訪れる。
「いえ、私こそ教会の方には感謝しております」
貧困街が今、どのような状況なのか説明を聞く。
「貧困街は根本を変えなければ、これからも支援を必要とします。この状況をどう改善するべきか解決とはいえないでしょう」
「そうですか……」
「……ん? なんだ?」
司祭と会話していると、突然外が騒がしくなる。
「何かあったんでしょうか?」
「聖女候補様は、こちらでお待ちください。私が確認して参ります」
司祭が確認に行く間、ファヴィオに緊張が過る。
食料に何か不具合があったのではないか。
食料配布に不手際があり、暴動でも起きたのではないか。
……結局、聖女候補とはいえ施しは貴族の傲慢、不満を訴えられたのかもしれない。
善意からの支援でも、受け取る側にはそうとは限らない。
ファビオラは無事に司祭が戻ってくれるのを、両手を握り静かに祈る。
「聖女候補様!!」
司祭が戻る。
「……良かった……どうしました?」
「あの……外で……聖女候補様が……」
司祭はファビオラの様子を窺う。
「どうされたんですか? 食料に問題でも?」
「問題はないのですが……一度確認していただけないでしょうか?」
「はい」
外で何が起きているのか分からないファビオラは、不安に思いながら配布所へ向かう。
「皆さぁん、落ち着いて。ちゃんと準備してあるので、順番を守ってくださぁい」
配布所で配布している見習いの中に、ソミールの姿を発見。
「なぜ……ソミール様が?」
ソミールに食料配布するよう許可していない。
なのに、なぜ彼女が食料配布しているのか。
それだけではない。
「こんなところにまで聖女候補様が来てくださるなんて……」
「なんでも、あの方は平民出身らしい」
「ああ、あの噂になった」
「私たちの為に企画してくれたらしいぞ」
「それだけじゃなく、自ら食料を配ってくれるなんて……」
「ありがたや。ありがたや」
ファビオラが計画した食料配布は、ソミールが計画したものになっていた。
ファビオラはソミールの元へ急いで向かう。
「ソミール様、何をしているのですか?」
「あっ、ファビちゃん。今ね皆に食料を配ってるの。ファビちゃんも一度でもこういう経験した方がいいよ?」
「これは私が……」
「おっ、この嬢ちゃんも聖女候補様なのか?」
「そっちの聖女候補様も、この方を見習いなさい」
ファヴィオラとソミールの会話を聞いていた者たちが、食料を貰いながら会話に加わる。
「やだぁ、私なんて見習うとこないよ。ファビちゃんは貴族なんだもの。私とは違うの!」
「お貴族様は私たちに食料なんて配らないわよ」
「なら、なんでここに来た?」
計画者がファヴィオだとは知らない平民は、『貴族』と聞いた瞬間ファヴィオに鋭い視線を送る。
「わしは、あんたの方が聖女様になると信じとるよ」
「私が聖女様? そんなぁ。聖女候補の皆、私より素敵な人が沢山だからなぁ」
否定するも、自身が次代の聖女と言われ嬉しそうに笑顔を見せるソミール。
「着飾ってるだけで聖女様に成れるはずないだろ」
「聖女様になるには『心』が大事だ」
「貴方の方が綺麗よ」
食料配布の実績も平民の心も、すべてソミールに奪われた。
「これは私が計画したものです」
ファヴィオラが訴えたが、その声はソミールを支持する声にかき消される。
わずかな人間に届いたが、彼らの反応は……
「平民の手柄を奪うのが貴族か」
「やり方が汚いのよ」
「そんな人間が、聖女になれるわけないだろう」
その言葉がファヴィオラの耳に届く。
何を発言しても平民には届かないと判断し、ファヴィオラは静かに去った。
「聖女候補様……」
事実を知る司祭がファヴィオラに声をかけるも、見習いはソレーヌの親しみやすい性格と笑顔に魅了されていた。
「……私がいては却って迷惑になりそうですので、下がりますね」
心配する司祭に微笑みを見せ、静かに平民の前から立ち去るファヴィオラ。
その後、ファビオラの聖女候補としての活動は大教会に戻り報告書で提出する。
だが、おかしな噂が広まり始める。
「貧困街に聖女候補自ら食料を配布してくれた。笑顔が素敵な彼女はなんと、平民出身。彼女こそ、聖女に相応しい」
今回の食料配布は、ソミールの名前で広まっていた。
「どうして、アレの実績となっているんですか? 食料配布を計画しあそこまでやり遂げたのは、ファビオラ様ではありませんか!!」
誰よりも正義感が強く、貴族の功績を平民に奪われることを許さない聖女候補が司祭の部屋へ乗り込み怒鳴りつける。
「私はアンギレーリ様が準備し、当日の行動もあちらの司祭から報告を受けております。ですが、噂はなぜかそのようになってしまったんです……噂話は、私にはどうにもできません」
「教会が今まであの女を野放しにしてきたからではありませんか! 今後も私たちの功績を奪う気ですよ、アレは!!」
「……今回は、偶然でしょう。毎回都合よく候補者の奉仕活動場所に居合わせるのは難しいですから。それに彼女は平民。馬車を所持していないのですから、教会が手配しない限り移動手段はありません」
「そうやって楽観視していると、司祭様も利用されますよ」
エリベルタは不穏な言葉を残し、司祭の部屋を去って行く。
次第に隙を見せない行動を心がける。
〈ファビオラ・アンギレーリの場合〉
「あっ、ファヴィちゃん!!」
「……どうして……あなたが、こちらに……いらっしゃるの?」
「私? 私は休みの日に孤児院や貧困街で奉仕活動しているの。それより、ファヴィちゃんはここで何しているの? ここは知らないかもしれないけど、あんまり……治安が……お買い物とかだったら、この道を戻って……」
「いえ、私はこの近くに用があって来たので……それでは、ごきげんよう」
「あっ……またねぇ~」
ファビオラは近くの教会に挨拶をし、貧困街で食事を配布する計画書を司祭に提出していた。
この日のために事前に教会へ何度も足を運び、当日の予定も打ち合わせ、滞在する教会の修繕も終わらせていた。
教会を拠点に、食料配布をする予定。
どんなに安全を確保しても司祭から危険と判断されているので、護衛騎士と共にファヴィオラ教会で報告を受ける。
食料配布が始まり一度目の報告。
「聖女候補様。報告させていただきます。食料配布は順調で、問題はありません」
「そうですか。遠くからでも状況を確認したいのですが、落ち着いた頃に教えていただけますか?」
「はい、畏まりました。しばらくは続くと思いますので、声を掛けさせていただきます」
こちらが統制をとろうとするも、一度崩れると一気に広まり危険地帯となってしまう。
相手が聖女候補であっても、どうなるか分からない。
なので、ファヴィオは様子を見ながらの参加となる。
その間、食料配布は教会に身を置く見習いがしている。
「聖女候補様、本日は大変ありがとうございます」
教会の司祭が挨拶に訪れる。
「いえ、私こそ教会の方には感謝しております」
貧困街が今、どのような状況なのか説明を聞く。
「貧困街は根本を変えなければ、これからも支援を必要とします。この状況をどう改善するべきか解決とはいえないでしょう」
「そうですか……」
「……ん? なんだ?」
司祭と会話していると、突然外が騒がしくなる。
「何かあったんでしょうか?」
「聖女候補様は、こちらでお待ちください。私が確認して参ります」
司祭が確認に行く間、ファヴィオに緊張が過る。
食料に何か不具合があったのではないか。
食料配布に不手際があり、暴動でも起きたのではないか。
……結局、聖女候補とはいえ施しは貴族の傲慢、不満を訴えられたのかもしれない。
善意からの支援でも、受け取る側にはそうとは限らない。
ファビオラは無事に司祭が戻ってくれるのを、両手を握り静かに祈る。
「聖女候補様!!」
司祭が戻る。
「……良かった……どうしました?」
「あの……外で……聖女候補様が……」
司祭はファビオラの様子を窺う。
「どうされたんですか? 食料に問題でも?」
「問題はないのですが……一度確認していただけないでしょうか?」
「はい」
外で何が起きているのか分からないファビオラは、不安に思いながら配布所へ向かう。
「皆さぁん、落ち着いて。ちゃんと準備してあるので、順番を守ってくださぁい」
配布所で配布している見習いの中に、ソミールの姿を発見。
「なぜ……ソミール様が?」
ソミールに食料配布するよう許可していない。
なのに、なぜ彼女が食料配布しているのか。
それだけではない。
「こんなところにまで聖女候補様が来てくださるなんて……」
「なんでも、あの方は平民出身らしい」
「ああ、あの噂になった」
「私たちの為に企画してくれたらしいぞ」
「それだけじゃなく、自ら食料を配ってくれるなんて……」
「ありがたや。ありがたや」
ファビオラが計画した食料配布は、ソミールが計画したものになっていた。
ファビオラはソミールの元へ急いで向かう。
「ソミール様、何をしているのですか?」
「あっ、ファビちゃん。今ね皆に食料を配ってるの。ファビちゃんも一度でもこういう経験した方がいいよ?」
「これは私が……」
「おっ、この嬢ちゃんも聖女候補様なのか?」
「そっちの聖女候補様も、この方を見習いなさい」
ファヴィオラとソミールの会話を聞いていた者たちが、食料を貰いながら会話に加わる。
「やだぁ、私なんて見習うとこないよ。ファビちゃんは貴族なんだもの。私とは違うの!」
「お貴族様は私たちに食料なんて配らないわよ」
「なら、なんでここに来た?」
計画者がファヴィオだとは知らない平民は、『貴族』と聞いた瞬間ファヴィオに鋭い視線を送る。
「わしは、あんたの方が聖女様になると信じとるよ」
「私が聖女様? そんなぁ。聖女候補の皆、私より素敵な人が沢山だからなぁ」
否定するも、自身が次代の聖女と言われ嬉しそうに笑顔を見せるソミール。
「着飾ってるだけで聖女様に成れるはずないだろ」
「聖女様になるには『心』が大事だ」
「貴方の方が綺麗よ」
食料配布の実績も平民の心も、すべてソミールに奪われた。
「これは私が計画したものです」
ファヴィオラが訴えたが、その声はソミールを支持する声にかき消される。
わずかな人間に届いたが、彼らの反応は……
「平民の手柄を奪うのが貴族か」
「やり方が汚いのよ」
「そんな人間が、聖女になれるわけないだろう」
その言葉がファヴィオラの耳に届く。
何を発言しても平民には届かないと判断し、ファヴィオラは静かに去った。
「聖女候補様……」
事実を知る司祭がファヴィオラに声をかけるも、見習いはソレーヌの親しみやすい性格と笑顔に魅了されていた。
「……私がいては却って迷惑になりそうですので、下がりますね」
心配する司祭に微笑みを見せ、静かに平民の前から立ち去るファヴィオラ。
その後、ファビオラの聖女候補としての活動は大教会に戻り報告書で提出する。
だが、おかしな噂が広まり始める。
「貧困街に聖女候補自ら食料を配布してくれた。笑顔が素敵な彼女はなんと、平民出身。彼女こそ、聖女に相応しい」
今回の食料配布は、ソミールの名前で広まっていた。
「どうして、アレの実績となっているんですか? 食料配布を計画しあそこまでやり遂げたのは、ファビオラ様ではありませんか!!」
誰よりも正義感が強く、貴族の功績を平民に奪われることを許さない聖女候補が司祭の部屋へ乗り込み怒鳴りつける。
「私はアンギレーリ様が準備し、当日の行動もあちらの司祭から報告を受けております。ですが、噂はなぜかそのようになってしまったんです……噂話は、私にはどうにもできません」
「教会が今まであの女を野放しにしてきたからではありませんか! 今後も私たちの功績を奪う気ですよ、アレは!!」
「……今回は、偶然でしょう。毎回都合よく候補者の奉仕活動場所に居合わせるのは難しいですから。それに彼女は平民。馬車を所持していないのですから、教会が手配しない限り移動手段はありません」
「そうやって楽観視していると、司祭様も利用されますよ」
エリベルタは不穏な言葉を残し、司祭の部屋を去って行く。
89
あなたにおすすめの小説
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
居候と婚約者が手を組んでいた!
すみ 小桜(sumitan)
恋愛
グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!
って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!
父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。
アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。
最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。
【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか契約聖女になってしまいました
As-me.com
恋愛
完結しました。
番外編(編集済み)と、外伝(新作)アップしました。
とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。
なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
満場一致で削除されましたが、世界は問題なく回っております』
鷹 綾
恋愛
王太子アルベルトは、ある日、貴族全会の満場一致によって廃嫡された。
断罪もなければ、処刑もない。
血も流れず、罪状も曖昧。
ただ「順序を飛ばした」という一点だけで、彼は王位継承の座から静かに削除される。
婚約者だった公爵令嬢エリシアは、婚約破棄の時点で王都の構造から距離を取り、隣国との長期協定を進めていく。
彼女の世界は合理で動き、感情に振り回されることはない。
一方、王太子が選んだ“新たな聖女”は、どこまでも従順で、どこまでも寄り添う存在だった。
「殿下に従わない者は、私が処理しておきます」
その甘い囁きの裏で、王都では“偶然”が重なり始める。
だが真実は語られない。
急病も、辞任も、転任も、すべては記録上の出来事。
証拠はない。
ただ王太子だけが、血に濡れた笑顔の悪夢を見る。
そして気づく。
自分のざまあは、罰ではない。
「中心ではなくなること」だと。
王都は安定し、新王は即位し、歴史は何事もなかったかのように進む。
旧王太子の名は、ただ一行の記録として残るのみ。
婚約破棄のその後に始まる、静かな因果応報。
激情ではなく“構造”が裁く、最強レベルの心理ざまあ。
これは――
満場一致で削除された男と、最初から無関係な位置に立っていた令嬢の物語。
結婚式をボイコットした王女
椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。
しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。
※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※
1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。
1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる