王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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聖女時代

ヒロインの暴走は続く

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 〈アルテーア・マレンゴの場合〉

 アルテーアの奉仕活動は、チャリティーイベント。
 内容は、芸術品のオークション。
 目的は、売り上げを全額寄付するというもの。
 招待客は、貴族。
 ラヴィニアの時はコルネリウスが手助けしたようだが、王族へは報告したが招待はしていない。
 なので、平民のソミールが訪れることはないと、アルテーアは安心していた。 

「あちらを掃除している方って……」
「どちらです?」
「あの方は……ソミール様、ですわね」

 アルテーアのチャリティーイベントに、ソミールの姿を確認。
 彼女は、アルテーアの許可なく会場に侵入し、頼んでもいないのに掃除係を担当している。
 最近の噂もあり、貴族の間でも平民ソミールの顔は知られている。
 貴族社会に、突然現れたソミール。
 現状に変化を求める貴族にとって、ソミールは風向きを変える存在。
 次期聖女・王妃となれば、派閥が動くと考えられている。
 そんな彼らにソミールは発見され、あらぬ噂が経つ。

「平民出身の聖女候補のソミール様は、他の聖女候補から使用人のようにこき使われているのではないか?」

 チャリティーイベントの内容より、ソミールの待遇の方が噂になったいた。 
 ソミールのピンクの髪は貴族社会では珍しく、多くの人が集まる場所ではとてもよく目立っていた。
 彼女はピンクの髪を結んでいたが、隠したりはしていない。
 そのため、貴族もすぐに掃除をしているのが聖女候補のソミールだと判断できた。

「今回の落札金額は、すべて孤児院や医療施設に寄付したいと思います」

 アルテーアのチャリティーイベントの目的は、寄付。
 だが、噂になったのはソミール。

「聞いたか? 平民聖女候補は他の聖女候補のつかいっぱしりらしい」
「可哀想だよな」
「教会でも、平民は差別されるらしいな」
「もしここで何かあれば、俺が守ってやるのに……」

 ソミールだけが評価され、多額の寄付をしたアルテーアの名前は一切上がらなかった。
 アルテーアはその噂を耳にして、一人を除いた聖女候補に告げる。

「この度、私の行動で皆様の評価まで下げるようなことになり、大変申し訳ありませんでした」

 自身の失態を謝罪し、深々と頭を下げる。
 
「アルテーア様、頭をあげてください」
「そうです、あなたが謝罪することではありません」
「私たちは、あなたを責めたりしません」
「あれに何を言っても通じないので、仕方がないです」
「どうせ、あの女が許可なく乱入したのでしょう」

 集まった聖女候補は、誰一人アルテーアを責めることはなかった。
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