43 / 96
聖女時代
ソミールの選択
ソミールが選んだのは……
「あれぇ? レンスは、まだですか?」
談話室。
使用人にルードヴィックに挨拶したいと居場所を聞いて訪れた。
「……そうだな」
「レンスったら、いつものんびりさんなんだから。ルードヴィックさんはレンスのことどう思ってます? あ、大丈夫ですよ。レンスには秘密にするから」
会ったばかりのルードヴィックの近距離に座るソミール。
「どうって、フローレンス嬢は優秀な聖女候補だと思っている」
「それって、聖女候補としか見ていないってことですか?」
「聖女候補は聖女候補だ。君も聖女候補だろう?」
「ん~そういうことではなくてぇ、その……ルードヴィックさんは婚約者がいないでしょ? レンスも婚約者がいなくて……その……気になっているみたいなの、ルードヴィックさんのこと。私、相談されてて……レンスのことをどう思っているのか、それとなく聞いてほしいって……」
「それとなくじゃなく、普通に聞いちゃってるよね?」
「あれ? そうかな? えへ。私、こういうの上手じゃなくて。それで、レンスのことどう思ってるの? 私、レンスには幸せになってほしいの。安易な気持ちならレンスに近づくのは止めて」
「フローレンス嬢は真面目で聖女候補という立場に誇りを持っている。令嬢を見ていると、刺激を受けるよ」
「……そっかぁ、だけどそれって恋愛って意味じゃないってことですよね……レンスにどう伝えよう……」
「ソミール嬢は恋愛を重視するようだな」
「もちろんです。相手を思いやれない結婚はすぐに破断しちゃうじゃないですか? 恋愛のない結婚は考えられないですね」
「そういう考えなんだね。貴族で恋愛結婚は難しいからね。基本的には家と家の繋がり。信頼できるかどうかで、愛せるかどうかは別だと思うよ」
「そんな! それって政略結婚ということですよね? レンスを爵位でしか見てないんですか? 酷すぎる」
「俺はフローレンス嬢のことを信頼しているよ」
「信頼と愛情は違いますよ?」
「俺は愛情より信頼を取るかなぁ」
「……ルードヴィックさんは誰かを好きになったことないんですか?」
「俺は……フッ、どうだろうね?」
「えぇ~知りたぁい。教えてよぉ」
更に距離を詰め、ルードヴィックに触れるソミール。
「……お邪魔だったかしら?」
少し前からいたが、声をかけれないほど楽しく話すソミールに近付きたくなかった。
「あっ、レンス」
「……私はこれから教会へ挨拶に行きますが、ソミール様はどうなさいますか?」
「そうなんだ。私は……ルードヴィックさんは一緒なの?」
ソミールは隣のルードヴィックに視線を向ける。
「俺はこれから領地を回らなきゃならない」
「そうなんだぁ。私も領地見学させてもらおうかなぁ」
「そうですか。私は教会や孤児院に挨拶があるので帰りは遅くなるかもしれません」
「そうか分かった。俺も一緒に出るよ」
「私も一緒に行くぅ。領地を回るからルードヴィックさん一緒の馬車で良いですか?」
「申し訳ないが、領地を案内している余裕はないんだ。色々行かなきゃいけないところがあるから同じ馬車と言うのは難しい」
「そうなんですね、残念です」
「その代わり、使用人に観光地を案内させるよ。それと護衛騎士も付ける」
「えっ、護衛騎士だなんて。私に必要ないですよ」
「聖女候補を領地で危険な目に遭ったとなれば大問題。護衛騎士は必ずつける」
「ルードヴィックさんは、心配性なんですね。わかりました。ルードヴィックさんに従います」
「……聖女候補だからね」
「先に失礼する。夕食には、間に合うだろう」
先に出発したのはルードヴィック。
「ルードヴィックさん、いってらっしゃい」
嬉しそうに見送るソミール。
「それでは、私も教会へ向かいます」
「うん。気をつけてね」
私は教会へ向かい、ソミールはルードヴィックの指示を受けた使用人が観光地を案内する予定。
「あれぇ? レンスは、まだですか?」
談話室。
使用人にルードヴィックに挨拶したいと居場所を聞いて訪れた。
「……そうだな」
「レンスったら、いつものんびりさんなんだから。ルードヴィックさんはレンスのことどう思ってます? あ、大丈夫ですよ。レンスには秘密にするから」
会ったばかりのルードヴィックの近距離に座るソミール。
「どうって、フローレンス嬢は優秀な聖女候補だと思っている」
「それって、聖女候補としか見ていないってことですか?」
「聖女候補は聖女候補だ。君も聖女候補だろう?」
「ん~そういうことではなくてぇ、その……ルードヴィックさんは婚約者がいないでしょ? レンスも婚約者がいなくて……その……気になっているみたいなの、ルードヴィックさんのこと。私、相談されてて……レンスのことをどう思っているのか、それとなく聞いてほしいって……」
「それとなくじゃなく、普通に聞いちゃってるよね?」
「あれ? そうかな? えへ。私、こういうの上手じゃなくて。それで、レンスのことどう思ってるの? 私、レンスには幸せになってほしいの。安易な気持ちならレンスに近づくのは止めて」
「フローレンス嬢は真面目で聖女候補という立場に誇りを持っている。令嬢を見ていると、刺激を受けるよ」
「……そっかぁ、だけどそれって恋愛って意味じゃないってことですよね……レンスにどう伝えよう……」
「ソミール嬢は恋愛を重視するようだな」
「もちろんです。相手を思いやれない結婚はすぐに破断しちゃうじゃないですか? 恋愛のない結婚は考えられないですね」
「そういう考えなんだね。貴族で恋愛結婚は難しいからね。基本的には家と家の繋がり。信頼できるかどうかで、愛せるかどうかは別だと思うよ」
「そんな! それって政略結婚ということですよね? レンスを爵位でしか見てないんですか? 酷すぎる」
「俺はフローレンス嬢のことを信頼しているよ」
「信頼と愛情は違いますよ?」
「俺は愛情より信頼を取るかなぁ」
「……ルードヴィックさんは誰かを好きになったことないんですか?」
「俺は……フッ、どうだろうね?」
「えぇ~知りたぁい。教えてよぉ」
更に距離を詰め、ルードヴィックに触れるソミール。
「……お邪魔だったかしら?」
少し前からいたが、声をかけれないほど楽しく話すソミールに近付きたくなかった。
「あっ、レンス」
「……私はこれから教会へ挨拶に行きますが、ソミール様はどうなさいますか?」
「そうなんだ。私は……ルードヴィックさんは一緒なの?」
ソミールは隣のルードヴィックに視線を向ける。
「俺はこれから領地を回らなきゃならない」
「そうなんだぁ。私も領地見学させてもらおうかなぁ」
「そうですか。私は教会や孤児院に挨拶があるので帰りは遅くなるかもしれません」
「そうか分かった。俺も一緒に出るよ」
「私も一緒に行くぅ。領地を回るからルードヴィックさん一緒の馬車で良いですか?」
「申し訳ないが、領地を案内している余裕はないんだ。色々行かなきゃいけないところがあるから同じ馬車と言うのは難しい」
「そうなんですね、残念です」
「その代わり、使用人に観光地を案内させるよ。それと護衛騎士も付ける」
「えっ、護衛騎士だなんて。私に必要ないですよ」
「聖女候補を領地で危険な目に遭ったとなれば大問題。護衛騎士は必ずつける」
「ルードヴィックさんは、心配性なんですね。わかりました。ルードヴィックさんに従います」
「……聖女候補だからね」
「先に失礼する。夕食には、間に合うだろう」
先に出発したのはルードヴィック。
「ルードヴィックさん、いってらっしゃい」
嬉しそうに見送るソミール。
「それでは、私も教会へ向かいます」
「うん。気をつけてね」
私は教会へ向かい、ソミールはルードヴィックの指示を受けた使用人が観光地を案内する予定。
あなたにおすすめの小説
現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。
『愛人を連れて帰ってきた翌朝、名前すら呼ばれなかった私は離縁状を置いて旅に出ます。これからは幸せになります――そう思っていました。』
まさき
恋愛
夫に名前すら呼ばれず、冷たく扱われ続けた私は、ある朝、ついに限界を迎えた。
決定打は、夫が見知らぬ女性を連れて帰ってきたことだった。
――もういい。こんな場所に、私の居場所はない。
離縁状を残し、屋敷を飛び出す。
これからは自由に、幸せに生きるのだと信じて。
旅先で出会う優しい人々。
初めて名前を呼ばれ、笑い、温かい食事を囲む日々。
私は少しずつ、“普通の幸せ”を知っていく。
けれど、そのたびに――背中の痣は、静かに増えていた。
やがて知る、自らの家系にかけられた呪い。
それは「幸せを感じるほど、命を削る」という残酷なものだった。
一方その頃、私を追って旅に出た夫は、焦燥の中で彼女を探し続けていた。
あの冷たさも、あの女性も、すべては――。
けれど、すべてを知ったときには、もう遅くて。
これは、愛されていなかったと信じた私が、
最後にようやく“本当の愛”に気づくまでの物語。
婚約破棄された聖女は、愛する恋人との思い出を消すことにした。
石河 翠
恋愛
婚約者である王太子に興味がないと評判の聖女ダナは、冷たい女との結婚は無理だと婚約破棄されてしまう。国外追放となった彼女を助けたのは、美貌の魔術師サリバンだった。
やがて恋人同士になった二人。ある夜、改まったサリバンに呼び出され求婚かと期待したが、彼はダナに自分の願いを叶えてほしいと言ってきた。彼は、ダナが大事な思い出と引き換えに願いを叶えることができる聖女だと知っていたのだ。
失望したダナは思い出を捨てるためにサリバンの願いを叶えることにする。ところがサリバンの願いの内容を知った彼女は彼を幸せにするため賭けに出る。
愛するひとの幸せを願ったヒロインと、世界の平和を願ったヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:4463267)をお借りしています。
亡き姉の身代わりとして嫁いだ私ですが、離縁状を置いた翌朝、夫が私の「真実」に気づいたようです』
まさき
恋愛
「サインはもう、いただきました。あとは私がこの屋敷を出るだけです」
五年間の結婚生活。侯爵令嬢エルゼが演じ続けたのは、亡き姉・ロザリーの「身代わり」という配役だった。
夫であるカイル公爵が愛していたのは、かつて雪の中で自分を救ってくれた初恋の少女・ロザリー。
生き写しの妹であるエルゼを娶りながらも、彼は一度も彼女を「エルゼ」と呼ぶことはなかった。
冷淡な視線、姉と比較される日々。
「君はどこまでいっても、ロザリーの代わりにはなれない」
その言葉を最後に、エルゼは静かに離縁状を置き、屋敷を去る決意をする。
しかし、彼女が消えた翌朝。
カイルは、エルゼが大切に遺していった古い小箱を見つける。
そこにあったのは、十五年前のあの日、彼が「命の恩人」に預けたはずの片方のカフスボタン。
そして、幼いエルゼが綴った、あまりにも切ない真実の日記だった。
――「あの日、雪の中で貴方を抱きしめていたのは、お姉様ではなく、私だったのです」
真実を知り、絶望の中でエルゼを追うカイル。
だが、すべてを捨てて「自分」を取り戻したエルゼは、もう二度と、彼の隣で微笑む仮面の妻には戻らない。
これは、名前を奪われた女が自由を掴み、愚かな夫が真実の愛を失うまでの、静かで鮮やかな再生の物語。
皆さん勘違いなさっているようですが、この家の当主はわたしです。
和泉 凪紗
恋愛
侯爵家の後継者であるリアーネは父親に呼びされる。
「次期当主はエリザベスにしようと思う」
父親は腹違いの姉であるエリザベスを次期当主に指名してきた。理由はリアーネの婚約者であるリンハルトがエリザベスと結婚するから。
リンハルトは侯爵家に婿に入ることになっていた。
「エリザベスとリンハルト殿が一緒になりたいそうだ。エリザベスはちょうど適齢期だし、二人が思い合っているなら結婚させたい。急に婚約者がいなくなってリアーネも不安だろうが、適齢期までまだ時間はある。お前にふさわしい結婚相手を見つけるから安心しなさい。エリザベスの結婚が決まったのだ。こんなにめでたいことはないだろう?」
破談になってめでたいことなんてないと思いますけど?
婚約破棄になるのは構いませんが、この家を渡すつもりはありません。
自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?
長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。
王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、
「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」
あることないこと言われて、我慢の限界!
絶対にあなたなんかに王子様は渡さない!
これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー!
*旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。
*小説家になろうでも掲載しています。
聖女の妹、『灰色女』の私
ルーシャオ
恋愛
オールヴァン公爵家令嬢かつ聖女アリシアを妹に持つ『私』は、魔力を持たない『灰色女(グレイッシュ)』として蔑まれていた。醜聞を避けるため仕方なく出席した妹の就任式から早々に帰宅しようとしたところ、道に座り込む老婆を見つける。その老婆は同じ『灰色女』であり、『私』の運命を変える呪文をつぶやいた。
『私』は次第にマナの流れが見えるようになり、知らなかったことをどんどんと知っていく。そして、聖女へ、オールヴァン公爵家へ、この国へ、差別する人々へ——復讐を決意した。
一方で、なぜか縁談の来なかった『私』と結婚したいという王城騎士団副団長アイメルが現れる。拒否できない結婚だと思っていたが、妙にアイメルは親身になってくれる。一体なぜ?
【完結】次期聖女として育てられてきましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!
林 真帆
恋愛
マリアは聖女の血を受け継ぐ家系に生まれ、次期聖女として大切に育てられてきた。
マリア自身も、自分が聖女になり、全てを国と民に捧げるものと信じて疑わなかった。
そんなマリアの前に、異父妹のカタリナが突然現れる。
そして、カタリナが現れたことで、マリアの生活は一変する。
どうやら現聖女である母親のエリザベートが、マリアを追い出し、カタリナを次期聖女にしようと企んでいるようで……。
2022.6.22 第一章完結しました。
2022.7.5 第二章完結しました。
第一章は、主人公が理不尽な目に遭い、追放されるまでのお話です。
第二章は、主人公が国を追放された後の生活。まだまだ不幸は続きます。
第三章から徐々に主人公が報われる展開となる予定です。