王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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聖女時代

ソミールの選択

 ソミールが選んだのは……

「あれぇ? レンスは、まだですか?」

 談話室。
 使用人にルードヴィックに挨拶したいと居場所を聞いて訪れた。

「……そうだな」

「レンスったら、いつものんびりさんなんだから。ルードヴィックさんはレンスのことどう思ってます? あ、大丈夫ですよ。レンスには秘密にするから」

 会ったばかりのルードヴィックの近距離に座るソミール。

「どうって、フローレンス嬢は優秀な聖女候補だと思っている」

「それって、聖女候補としか見ていないってことですか?」

「聖女候補は聖女候補だ。君も聖女候補だろう?」

「ん~そういうことではなくてぇ、その……ルードヴィックさんは婚約者がいないでしょ? レンスも婚約者がいなくて……その……気になっているみたいなの、ルードヴィックさんのこと。私、相談されてて……レンスのことをどう思っているのか、それとなく聞いてほしいって……」

「それとなくじゃなく、普通に聞いちゃってるよね?」

「あれ? そうかな? えへ。私、こういうの上手じゃなくて。それで、レンスのことどう思ってるの? 私、レンスには幸せになってほしいの。安易な気持ちならレンスに近づくのは止めて」

「フローレンス嬢は真面目で聖女候補という立場に誇りを持っている。令嬢を見ていると、刺激を受けるよ」

「……そっかぁ、だけどそれって恋愛って意味じゃないってことですよね……レンスにどう伝えよう……」

「ソミール嬢は恋愛を重視するようだな」

「もちろんです。相手を思いやれない結婚はすぐに破断しちゃうじゃないですか? 恋愛のない結婚は考えられないですね」

「そういう考えなんだね。貴族で恋愛結婚は難しいからね。基本的には家と家の繋がり。信頼できるかどうかで、愛せるかどうかは別だと思うよ」

「そんな! それって政略結婚ということですよね? レンスを爵位でしか見てないんですか? 酷すぎる」

「俺はフローレンス嬢のことを信頼しているよ」

「信頼と愛情は違いますよ?」

「俺は愛情より信頼を取るかなぁ」

「……ルードヴィックさんは誰かを好きになったことないんですか?」

「俺は……フッ、どうだろうね?」

「えぇ~知りたぁい。教えてよぉ」

 更に距離を詰め、ルードヴィックに触れるソミール。

「……お邪魔だったかしら?」

 少し前からいたが、声をかけれないほど楽しく話すソミールに近付きたくなかった。

「あっ、レンス」

「……私はこれから教会へ挨拶に行きますが、ソミール様はどうなさいますか?」

「そうなんだ。私は……ルードヴィックさんは一緒なの?」

 ソミールは隣のルードヴィックに視線を向ける。

「俺はこれから領地を回らなきゃならない」

「そうなんだぁ。私も領地見学させてもらおうかなぁ」

「そうですか。私は教会や孤児院に挨拶があるので帰りは遅くなるかもしれません」

「そうか分かった。俺も一緒に出るよ」

「私も一緒に行くぅ。領地を回るからルードヴィックさん一緒の馬車で良いですか?」

「申し訳ないが、領地を案内している余裕はないんだ。色々行かなきゃいけないところがあるから同じ馬車と言うのは難しい」

「そうなんですね、残念です」

「その代わり、使用人に観光地を案内させるよ。それと護衛騎士も付ける」

「えっ、護衛騎士だなんて。私に必要ないですよ」

「聖女候補を領地で危険な目に遭ったとなれば大問題。護衛騎士は必ずつける」

「ルードヴィックさんは、心配性なんですね。わかりました。ルードヴィックさんに従います」

「……聖女候補だからね」

「先に失礼する。夕食には、間に合うだろう」

 先に出発したのはルードヴィック。

「ルードヴィックさん、いってらっしゃい」

 嬉しそうに見送るソミール。

「それでは、私も教会へ向かいます」

「うん。気をつけてね」

 私は教会へ向かい、ソミールはルードヴィックの指示を受けた使用人が観光地を案内する予定。
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