王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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聖女時代

魔物より怖い存在

「フローレンス嬢」

「ルードヴィック様……彼女は? 」

 司祭に挨拶をしていると、ルードヴィックが現れる。

「一緒じゃない。多分見られてもいないと思う。それに使用人には教会に近づかない案内をするように言ってある」

「お気遣い感謝します」

「彼女は凄いな……色々。あんなに話が通じない女性は初めてだよ」

「はい。彼女は……そうなんです」

「それでどうする? 満月は明後日だ。あの様子からすると、興味を持った瞬間に付いて回るぞ」

「ですよね……教会や孤児院には興味ないようなので、三日間順番に通おうかと思っています。それに今の彼女は、私よりルードヴィック様の方に興味あるようです」

「君の友人で相談事をする仲だと。君に対しての気持ちを聞かれたり、近づくなと警告されたりした。婚約についても聞かれたな……」

「そうですか……用心して、私たちは一緒にいない方が良いかもしれませんね」

「そうだな。満月の日の夕食後、採取する一時間前に屋敷を出て向かうしかないな」

「はい」

「あの花が王妃に効くといいんだが……」

「そうですね。病状も悪化し、寝たきりだと聞いていますから……」

「回復してくれるといいんだがな」

「そう、願っています」

 花の採取について計画を立てていると、外が慌ただしくなる。

「お二人共、聖女候補の方がこちらに向かっております」

 ルードヴィックの騎士が慌てた様子で報告する。

「「聖女候補?」」

 今この領地にいる聖女候補は、私とソミールだけ。
 さらに別の聖女候補が現れるというのはないだろう。
 何名もの聖女候補に王都を離れ、訪問の許可を司祭がするとは思えない。
 だとすると、こちらに向かってくるのは……
 彼女は観光に気を取られ、教会には顔を見せないと思っていた。
 嵐の登場にルードヴィックと視線が合う。

「……俺は裏から出る」

「はい、私は……掃除をさせていただきます」

 ソミールが到着する前に、私はルードヴィックの痕跡を消す。
 ルードヴィックは裏から出て行き、私は掃除道具を手にして見習いと談笑を始める。

「レンスー、会いに来ちゃったぁ」

「……ソミール様」

「こんにちは、聖女候補のソミールです。レンスの友人です」

 明るく挨拶をする彼女。
 彼女の性格を知らなければ、天真爛漫な少女に見えるだろう。
 現に、見習いの何人かも彼女の可愛らしと無邪気さに心を奪われている。

「レンスは何しているの?」

「私はこれから掃除をさせていただこうと思っております」

「掃除? レンスが?」

「はい。教会には大変お世話になっておりますから。ソミール様はいかがなさいましたか?」 

「私はレンスが気になっちゃって。忙しいみたいだから、私は領地の見学の続きをさせてもらうね」

「そうですか、お気をつけて」

「ありがとう。見習いの皆もレンスにあんまり仕事させないでね。レンスは貴族なんだから、万が一の事があったら大変よ」

「ソミール様、おやめください」

「お礼なんていいよ。私たち、友だちでしょう」

 ソミールは良いことをしたと思って、教会を去り観光へと戻る。

「あの……聖女候補様……掃除は僕たちが……」

「いえ、掃除はさせていただきます」

「ですが……」

「私は、聖女候補です。教会を掃除させてください」

「はぃ……」

 ソミールの去り際の発言で、先ほどとは違い見習いは緊張し始める。
 聖女候補から貴族令嬢へと対応が変わってしまった。

「あの方は、本当に……」

 ろくなことをしない、と口に出そうになるもそこは我慢した。
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