王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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聖女時代

言えないから秘密

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「バルツァル公爵令嬢、おかえりなさい」

 コルテーゼの屋敷に戻ると、侯爵は私たちの帰りを待ってくれていた。

「ただいま戻りました」

「ご無事でなによりです。どうでしたか?」

「とても綺麗な光景でした……あの花は……時期を見て報告と仰った侯爵の判断は正しいです」

「管理や、こちらの調査が終わり次第と思っております」

「はい、それが良いかと」

「教会の方へはどうしますか?」

「そうですね。頻繁にコルテーゼ領を訪れるようになれば、司祭様に報告しなければなりませんが……今回は、侯爵の判断に従います」

「……ありがとうございます。司祭様には調査中のため、報告はお待ちくださいと連絡させていただきます」

「わかりました」

「バルツァル令嬢は、今後の予定は? 明日お戻りに?」

「はい。その予定です」

「そうですか。ルードヴィックも近々王都に向かいますので、調査結果や王宮への報告日など決まりましたら息子が教会を訪ねると思います」

「分かりました」

 私が王都に戻るというと、夫人から沢山の物を渡される。

「これはね、領地特産のワインよ。それでこれが、美味しいって言ってくれたクッキーよ。道中で食べて。それで、これがフローレンス様に似合いそうで購入してしまったアクセサリー。それと……」

 あまりの量の贈り物に困惑。
 領地のワインやクッキーまでは遠慮なくもらえるのだが、次第に高級なものが準備されていく。
 夫人にはルードヴィックしか子供はおらず、私を娘のように思ったのかもしれない。
 だけど、これは貰い過ぎだ。

「侯爵夫人、こんなには頂けません」

「気にしないで、今回の件はこれでも足りないくらいなんだから」

 『伝説の花』を発表すれば、かなりの価値を生むだろう。
 まだ、秘密の段階。

「フローラ、貰ってほしい。母はもう一度君が来ると聞いてから準備をしていたんだ」

「そうなんですか? それでは……ありがたく頂きたいと思います。大切にします」

 もう一台の馬車に夫人からの贈り物を運び入れている間、ルードヴィックが隣に立つ。
 
「俺も、もうすぐ王都に行くから」

「そうみたいですね」

「ん? 父に聞いたのか?」

「はい」

「父はなんて?」

「ルードヴィック様が調査結果を教えてくださると」

「それだけか?」

「はい」

「そうか……フローラは……聖女になるのか?」

「それは分かりません」

「なりたいのか?」

「……よくわかりません。ですが、指名されればお受けいたします」

「……そっか……」

 全ての荷物を運び終え準備が整う。

「本日も滞在させていただきありがとうございます」

「……またな」

「はい。また」

 王都に戻って数日後。
 ルードヴィックが教会に訪れた。
 
「もう、調査を終えたのですか?」

「いや、今日は王都に来た報告だ」

「そうですか。しばらくはこちらですか?」

「あぁ。そのつもりでいる」

 その後、彼はあの花の報告に何度か訪れる。
 彼が何度も教会に訪れるので、他の候補者に質問される。

「あの方、もしかしてフローレンス様の婚約者ですか?」

「違います」

「コルテーゼ侯爵令息ですよね?」

「スカルノ様は知り合いなんですか?」

「お話ししたことはありませんが、社交会では評判ですよね。あの方はまだ婚約しておりませんから、婚約が殺到していると聞きます」

「そうなんですね」

「それで……お二人はどういう関係ですか?」

「各地の教会訪問でお会いし挨拶しました」

「……各地の教会訪問……」

 聖女候補は休みの日に何をしているかなど話さない。
 お互い触れないでいる。
 聞けば教えてくれるのだろうが、私たちには『聖女』と『王妃』という立場が関わっているので互いの情報共有はほとんどない。
 伝説の花の存在を知られるより、各地の教会を訪問を知られる方が重要度は違う。
 それでも先輩二人がどんな慈善活動をしているのか噂などで耳に入る。
 スカルノは貧困層へ食料配布をしていて、デルフィーナは孤児院で子供たちに将来の就職先などの相談に乗っている。
 ファビオラは王都の景観をよくするために花壇を増やし掃除をする者を雇い、ラヴィニアは王都の騎士を激励している。
 一・二年目の聖女候補は、生活に慣れることを優先。
 三年目の聖女候補は、自身が何をすればいいのかを見つめる期間。
 四年目から活動を始める。
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