王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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コルネリウス王子

司祭の話

「ソミールさんは、七年遅れで聖女候補として教会へ来ました。正直、残り一年での聖女活動であれば、教会で学ぶ必要はないのでは? という意見もありました。ですが、ソミールさんの能力は私が見た聖女候補の中で、随一でした」

「やはり、そうか」

「ですので、懸念事項はありましたが聖女候補として受け入れました。過去に一年遅れで発覚した聖女候補がおりましたが、その方と周囲と馴染むのは難しい様子でした」

「発見の遅れは教会の責任だろう?」

「その通りです。我々の責任。ですが、聖女候補たちはまだ未熟。受け入れる者もいれば、難しい者もいる。私たちが導きますが、教会外では何もできません。聖女候補の多くは貴族。貴族社会での常識を幼い頃から学んできた方たちです。ここでは、皆さん平等ですと言われても切り替えるのは難しいでしょう」

「だが、聖女候補は平民からも誕生するだろう。今後、この点を改善できないようであれば、司祭解任だぞ」

「私は、出来る限り彼女たちを守っていました……」

「不十分だったのではないか?」

「そうかもしれません。聖女候補には辛い思いをさせてしまいましたから……」

 司祭は申し訳なさそうにするも、ソミールは一人で耐えていた。
 反省が遅すぎる。

「それで、ソミール嬢はどうだったんだ?」

「ソミールさんは……聖女候補への挨拶の時点で問題を起こしました」

「問題?」

「教会内で『聖女候補は、同列』この言葉を間違った解釈をしておられました」

「間違った解釈?」

「ソミールさんは、聖女候補の方たちを許可なく愛称で呼びました」

 聖女候補を愛称で呼んでいるのは知っている。
 
「それが問題か?」

「教会では、互いに敬意を払い愛称ではなく『〇〇様』と呼ぶように統一しております。ですが、ソミールさんはいくら注意しても、正すことはありませんでした」

「それは、重要か?」

「教会では、身分を取り払うために統一しています。それなのに、ソミールさんは愛称で呼び続けました。多くの候補者が愛称は控えてほしいと訴えるも、おかしな呼び名で呼び続けました」

「それは、ソミール嬢の距離の縮め方なのではないのか?」

「だとしても、相手が嫌がっているのだから改めるべきです。ですが、彼女は『教会内は、皆平等』と言っては、失礼な発言を繰り返しました。貴族令嬢の候補者に姉妹発言をしたり、動物に例えたり、平民と同じように扱い、侮辱とも受け取れる発言を繰り返しました」

「それは……育ってきた環境の違いで、分からなかったのだろう」

「はい。環境が違います。候補者達は境遇を理解し対応しましたが、ソミールさんだけは相手を理解しようとはしませんでした」

「それは、はっきりと言ったのか? 教育も行っていたのだろう?」

「はい。こちらとしては講師を雇いました。ですが、ソミールさんは真面目に受けないどころか授業に遅刻してばかりでした。見兼ねた候補者が、彼女が授業を受けるよう見張っていました」

「大袈裟だろう。時間の変更についていけなかったり、勘違いだったのではないか?」

「ソミールさんのためだけの授業です。本人が把握するべきではありませんか?」

「それは……」

「それに、許可なく他人のお茶会に参加するのは相手に失礼ではありませんか?」

「お茶会に呼ばない方が失礼だろう」

「殿下は、聖女候補との対面をどのようにお考えでしたか?」

「あ……それとこれとは別だろう」

「別ではありません。思い出してください。殿下と候補者とのお茶会はどのような意味ですか?」

「……婚約者候補との対面でもある」

「はい。二人のお茶会に同席するのは、どうなのでしょう?」

「ソミール嬢は、あれが婚約者候補との対面と知らなかったのではないか?」

「何度も、注意されたそうです。ですが、彼女の返事は『私が平民だから、意地悪するの?』と身分も持ち出すそうです」

「それは……」
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