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コルネリウス王子
コルテーゼ侯爵
司祭の話はあまりに衝撃的で、一度にすべてを受け入れることは出来なかった。
それでも、一つ一つ確認を取ることにした。
「コルテーゼ侯爵。この度は訪問を受け入れてくれて、ありがとう」
「構いません。本日は聖女様の発見された花について話を聞きたいようですが、手紙でお伝えした通り私からお話できるようなことはありませんよ?」
「いいや。以前提出した報告書を確認に来た」
「……報告書には不備があったようですね。訂正し、再度提出させていただきます。私の失態により、このような辺境まで殿下自ら足を運ばせてしまい大変申し訳ありませんでした」
「謝罪は必要ない。報告書の信憑性を伺いたい」
「聖女候補様がブルニーマ・クラウトを発見し、王家へ持参しました。これが事実です」
「もっと詳しく教えてくれない? その聖女候補とやらは、誰のことだ?」
「……持参したのは、ソミール様だと聞いております」
「発見したのは?」
「……ソミール様……なのですよね?」
王家はコルテーゼの報告書を跳ねのけ、発見者はソミールと発表した。
その後も、コルテーゼ侯爵や令息から追加報告書が届いたが、私はすべて処分した。
「……コルテーゼ侯爵が以前提出した報告書を伺いたい」
「私の勘違いだったのでしょう。聖女様は大変素晴らしい方だと、辺境にも届いております」
「……噂ではなく、コルテーゼに訪れた時のソミール嬢について率直に教えてくれ」
「私の言葉が、誰かの運命を左右されるようなことは避けたいです」
「報告を聞くだけだ」
「本当でしょうか?」
「ああ。なので、事実を教えてくれ」
「聖女候補であるバルツァル様は、各地の教会を訪問なさっているということでコルテーゼ領の教会を訪問したいと申請がありました。我々は教会だけでなく、領地を知ってもらおうと色んな場所を案内しました。裏山に咲く珍しい花を紹介したときに、興味を惹かれていたと聞きました。その後、資料持参でその花が伝説の『ブルニーマ・クラウト』ではないかと報告をいただきました」
「その時、すぐに王家に報告するべきだったのではないか?」
「突然、この花は『伝説の花です』といわれても俄かに信じられず、私の方で調査機関に依頼しました。結果を確認してから、教会と王家に報告予定にしたいと令嬢にも了承していただきました」
コルテーゼの判断は正しい。
曖昧な状態で報告され、結果は『違いました』では時間の浪費。
王家には、毎日のように様々な報告が上がる。
「王妃様の容態を聞き、調査報告書を待たず予定を早め王宮への報告に動きました。本による情報では『満月の日に収穫した方が効能も上がる』とありましたので、満月まで待ちました。採取の数日前になり、来客予定のない聖女候補が現れました」
「来客予定のない聖女候補……」
ソミールのことか……。
司祭も、ソミールは『家族に会いに』と言って、王都を離れている。
事前に相手側に申請する、というのを知らないのだろう。
「どこから嗅ぎつけたのかわかりませんが、もう一人の聖女候補は採取するバルツァル様の後を付け『自身が発見した』と宣言なさいました。貴重な花を許可なく採取し、持っていかれました。なんの知識もなく花を強引に引き抜き踏み荒らしたため、悲惨な状態です。今は、バルツァル様が領地に滞在し、世話をしてくださっています」
コルテーゼの許可なく採取……それは、窃盗だ。
王宮に持参した花は王妃の容態を回復させたが、苗の方は庭師に託したが育たなかった。
そんな貴重な花を踏み荒らした……。
私は、ソミールを天真爛漫な子とみていたが、実際は周囲を気に掛けられない自分勝手な人間なのではないかと思い始めた。
「……そうだったのか……」
「お疑いにはならないのですか?」
「え?」
「我々は何度も、報告書持参で事実をお伝えしました。ですが、我々を否定なさいましたよね?」
「それは……すまなかった」
「殿下の中で心境の変化があったのかもしれませんが、私の話でバルツァル様にご迷惑が掛からないといいのですが」
「もちろんだ。事実を知り、訂正するつもりだ」
「……判断は王家が決めることですが、その前にバルツァル様に確認をお取りください。あの方は、自身の名声より国を思っております。私としては事実が明るみになるまで、諦めるつもりはありませんでした。ですが、あの方は『聖女』が決定すると、その必要はないと仰いました」
「どうしてだ?」
「あの方が言うには『聖女は国の宝であり、人々の心の支え。不信感を与えるようなことはしたくはない』と……あの方は素晴らしい方だ。どうして、あの方のような人が『聖女』に選ばれなかったのか……私には納得できません」
コルテーゼの言う通り。
どうして……
「話してくれてありがとう」
コルテーゼ領を後にし、別の場所へ向かった。
ブルニーマ・クラウトの調査を依頼された機関。
「はい。コルテーゼ侯爵から、花の調査を依頼されました。サンプルがなく、断定するのに数週間と時間が掛かってしまいました」
「そうか……」
全員の話が一致。
嘘は誰一人吐いていなかった。
それでも、一つ一つ確認を取ることにした。
「コルテーゼ侯爵。この度は訪問を受け入れてくれて、ありがとう」
「構いません。本日は聖女様の発見された花について話を聞きたいようですが、手紙でお伝えした通り私からお話できるようなことはありませんよ?」
「いいや。以前提出した報告書を確認に来た」
「……報告書には不備があったようですね。訂正し、再度提出させていただきます。私の失態により、このような辺境まで殿下自ら足を運ばせてしまい大変申し訳ありませんでした」
「謝罪は必要ない。報告書の信憑性を伺いたい」
「聖女候補様がブルニーマ・クラウトを発見し、王家へ持参しました。これが事実です」
「もっと詳しく教えてくれない? その聖女候補とやらは、誰のことだ?」
「……持参したのは、ソミール様だと聞いております」
「発見したのは?」
「……ソミール様……なのですよね?」
王家はコルテーゼの報告書を跳ねのけ、発見者はソミールと発表した。
その後も、コルテーゼ侯爵や令息から追加報告書が届いたが、私はすべて処分した。
「……コルテーゼ侯爵が以前提出した報告書を伺いたい」
「私の勘違いだったのでしょう。聖女様は大変素晴らしい方だと、辺境にも届いております」
「……噂ではなく、コルテーゼに訪れた時のソミール嬢について率直に教えてくれ」
「私の言葉が、誰かの運命を左右されるようなことは避けたいです」
「報告を聞くだけだ」
「本当でしょうか?」
「ああ。なので、事実を教えてくれ」
「聖女候補であるバルツァル様は、各地の教会を訪問なさっているということでコルテーゼ領の教会を訪問したいと申請がありました。我々は教会だけでなく、領地を知ってもらおうと色んな場所を案内しました。裏山に咲く珍しい花を紹介したときに、興味を惹かれていたと聞きました。その後、資料持参でその花が伝説の『ブルニーマ・クラウト』ではないかと報告をいただきました」
「その時、すぐに王家に報告するべきだったのではないか?」
「突然、この花は『伝説の花です』といわれても俄かに信じられず、私の方で調査機関に依頼しました。結果を確認してから、教会と王家に報告予定にしたいと令嬢にも了承していただきました」
コルテーゼの判断は正しい。
曖昧な状態で報告され、結果は『違いました』では時間の浪費。
王家には、毎日のように様々な報告が上がる。
「王妃様の容態を聞き、調査報告書を待たず予定を早め王宮への報告に動きました。本による情報では『満月の日に収穫した方が効能も上がる』とありましたので、満月まで待ちました。採取の数日前になり、来客予定のない聖女候補が現れました」
「来客予定のない聖女候補……」
ソミールのことか……。
司祭も、ソミールは『家族に会いに』と言って、王都を離れている。
事前に相手側に申請する、というのを知らないのだろう。
「どこから嗅ぎつけたのかわかりませんが、もう一人の聖女候補は採取するバルツァル様の後を付け『自身が発見した』と宣言なさいました。貴重な花を許可なく採取し、持っていかれました。なんの知識もなく花を強引に引き抜き踏み荒らしたため、悲惨な状態です。今は、バルツァル様が領地に滞在し、世話をしてくださっています」
コルテーゼの許可なく採取……それは、窃盗だ。
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そんな貴重な花を踏み荒らした……。
私は、ソミールを天真爛漫な子とみていたが、実際は周囲を気に掛けられない自分勝手な人間なのではないかと思い始めた。
「……そうだったのか……」
「お疑いにはならないのですか?」
「え?」
「我々は何度も、報告書持参で事実をお伝えしました。ですが、我々を否定なさいましたよね?」
「それは……すまなかった」
「殿下の中で心境の変化があったのかもしれませんが、私の話でバルツァル様にご迷惑が掛からないといいのですが」
「もちろんだ。事実を知り、訂正するつもりだ」
「……判断は王家が決めることですが、その前にバルツァル様に確認をお取りください。あの方は、自身の名声より国を思っております。私としては事実が明るみになるまで、諦めるつもりはありませんでした。ですが、あの方は『聖女』が決定すると、その必要はないと仰いました」
「どうしてだ?」
「あの方が言うには『聖女は国の宝であり、人々の心の支え。不信感を与えるようなことはしたくはない』と……あの方は素晴らしい方だ。どうして、あの方のような人が『聖女』に選ばれなかったのか……私には納得できません」
コルテーゼの言う通り。
どうして……
「話してくれてありがとう」
コルテーゼ領を後にし、別の場所へ向かった。
ブルニーマ・クラウトの調査を依頼された機関。
「はい。コルテーゼ侯爵から、花の調査を依頼されました。サンプルがなく、断定するのに数週間と時間が掛かってしまいました」
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