王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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コルネリウス王子

教会

 教会に訪れると足が重くなる。

「司祭、ソミール嬢は毎日祈りを捧げている。どうして、結界の綻びが修復されないと思う?」

「私も調べましたが、一つの結論に辿り着きました」

「原因が分かったのか? それはなんだ?」

「聖女認定の儀式で、聖女と認められた者は相応しい能力を授かると言われています。ソミールさんは、聖女に選ばれ相応しい能力を授かったのではないかと」

「それは、どんな能力を授かったと?」

「正確には、相応しい能力になったのではないかと」

「どういう意味だ?」

「……あの方の信仰心は、高いとは言えませんでした。なので、能力の方も……」

「低くなったということか?」

「ではないかと……」

「そんな……では、どうしてソミール嬢が『聖女』に選ばれた?」

「それは、私にもわかりません。『聖女』はその時代に相応しい者が選ばれると言われております」

「その時代に相応しい……」

 今までの話を聞き、どうしてソミールが『聖女』と選ばれたのか理解できない。
 
「ソミールさんは、今どのくらい祈りを捧げているのですか?」

「……今は、礼儀作法の授業を受けてから、祈りを捧げている」

「礼儀作法の授業ですか……」

 ソミールは教会で礼儀作法は学び終え、習得したと話していた。
 それでも、ソミールは未だに礼儀作法を学んでいる。
 新たな講師にしたが不満を訴え、講師の方も不真面目な態度に辞職を願い出始めている。

「……司祭から、聖女補佐をしてくれるよう頼んでもらえないか?」

「ソミールさんを聖女任命したパーティーで、『聖女補佐は必要ない』と宣言したとお聞きしましたが」

「そうなんだが……今では、私の判断が間違っていたと気付いた」

「そうですか……」

「私から何名かに打診したのだが、全員事情があり断られてしまった」

「事情があるのであれば仕方がないですね。私は聖女候補に要請することはできますが、卒業された方へはお断りします。ほとんどの聖女候補は結婚したり出産と、王宮に滞在し聖女補佐は難しいでしょう。打診できる聖女候補は『聖女様』と面識のある方たち。私は、聖女候補時代のあの方たちに申し訳なく思っております。これ以上、彼女たちを苦しめたくありません」

 苦しめたく……。
 ソミールばかり見ていたが、他の聖女候補の方が苦しめられていたのか……。

「……申し訳ないと思っている。だが今は、そう言っている状況ではないんだ……」

 国のためと念を押すも、司祭から承諾は得られず王宮に戻る。
 ソミールでなかったら、一番聖女に近いとされる相手に手紙を認める。
 彼女が『聖女』を引き受けてくれたら、聖女候補だった者や貴族からの信頼も回復し国も安寧。
 彼女であれば、王妃に申し分ない。
 
「これで、私の立場もようやく落ち着く」

 ソミールは、間違いだった。
 やはり、国王となる私の隣に相応しいのは教養の身についた令嬢だ。

「行く行くは王妃になるのが決定している聖女。そんな打診を断るわけない」

 そんな思いで令嬢には早馬で手紙を送り、私は馬車で令嬢の滞在先に向かう。

「コルテーゼ領か……遠いな……」
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