王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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ソミール・イリノエ 二

10

 パーティーから数日後。
 私の失態を侯爵は責めないが、一切口をきいていない。

「ソミール、国王から報せが届いた」

「……はい」

「『今後、王宮ではなく教会で祈りを捧げるように』とのことだ」

「どうして……」

「どうして? 隣国の王女を招いたパーティーで失態を犯したんだ、処刑を免れ聖女を剥奪されずそれだけの処罰に感謝するんだ。安心しろ、今後はコルネリウス様も一緒だ」

「コルネリウスさんも? なら、コルネリウスさんは隣国の王女とは婚約しないのね!」

「……あぁ、婚約はしない。詳しくは、本人に聞くと良い」

 王宮を歩くと、私を目撃した貴族に羨望の眼差しを向けられ好きだった。
 だけど、最近は結界に何らかの異常が発生し彼らの視線から逃げるようにしていた。
 見つかると『祈ってくれ』って、うるさいから。
 なので、王宮から教会への変更は正直安堵している。

「わぁ~懐かしい~」

 教会へ到着すると気分が変わる。
 それに、コルネリウスも一緒だと思うと安心する。
 彼が一緒ということは、私が彼の婚約者になるのは変わらない。

「あ! 司祭様。今日からまた、よろしくお願いしまぁす」

「……ええ」

「あれ? 聖女候補の皆はまだ来てないの?」

「……聖女候補たちは、こちらにはおりません」

「それは、どういうこと?」

「結界に綻びがあり、特に酷い地域には候補者が現地まで出向き何日も滞在し祈りを捧げています」

「そうなの? 卒業した皆は助けてくれないの? 皆、酷すぎる」

 国が大変なのに祈りに来ないなんて……薄情よ。

「……新たに聖女様が公表され、許可なく教会が卒業した候補者を呼び寄せることは出来ません」

「なら、私が許可します! なので、皆に私の世話係として手伝ってもらいましょう!!」

 私の頼みなら、皆すぐに来てくれるはず。
 あれだけ仲良しで、候補者時代には色々助けてあげたんだもの。
 私か『困ってる』って言えば、駆けつけてくれるはず。
 そうしたらすぐに結界も落ち着いて、コルネリウスと婚約できる。
 そうだ、この機会に皆を聖女補佐にしてあげよう。
 皆も王宮で働きたいはず。
 私が『提案した』って言ったら、喜ぶに違いない。
 私って優しい。

「それは出来ません」

「……え? どうしてですか? 皆、喜んでくれると思うのに」

「今後、卒業生を頼ることなくソミール様が結界の維持するようにとのことです」

「私一人で、ですか?」

「正確には、あまりにも酷い地域は候補者が直接出向き祈りを捧げます。王都の教会で国全体の強化を図るのが、聖女様の役割です」

「私一人で……候補者の時だって皆で祈っていたじゃないですか? その方が……」

「国王陛下の決定です」

「国王陛下は結界に綻びがあるのを知らないの? それなら、事実を報告した方がいいよ。私が伝えますよ」

 もしかして司祭様、王様に怒られるのが怖くて本当の事報告していないの?
 だから、王様も私一人にって言ったのよ。
 本当のことを教えてあげたら、私に感謝するわ。
 そうしたら、私はもっと信頼されて王宮での生活にすぐに戻れるはず。

「国王陛下は、すべてを把握しています。陛下の決定が覆ることはありません。それと今日から新しい人が……来たようですね」

「えっ、誰? ……コルネリウスさん? 今日は騎士みたいな恰好なのね! カッコいい!!」

「……この度、聖女様の護衛に任命されたコルネリウスです」

「私の騎士にコルネリウスさんが? わぁ、王子で聖女の騎士だなんて素敵!!」

「……聖女様、私は王位継承権を剥奪されました」

「ん? それって、どういう意味?」

「私は今後、王族と名乗ることはありません。聖女様の護衛騎士に任命されたのです」

「いつか私たちは結婚して、国王と王妃になるのよね?」

「……なりません。ソミール様は聖女として教会で祈りを捧げ、私は聖女の護衛騎士として生涯教会に滞在することが決定しました」

「コルネリウスさんは国王にならないの? なら、誰が国王になるの?」

「弟がなります」

「……弟って……なら、私は? 私は王妃になるのよね?」

「……ソミール嬢は、聖女様です。王妃にはなりません」

「どうして?! 今まで頑張って来たのに。酷い、酷い、酷すぎる。コルネリウスさんも、それでいいの? 司祭様、どうしてこんな酷いことになってるの?」

 私が必死に酷い現状を訴えているのに、何も言ってくれない。
 コルネリウスなんて、諦めた表情。
 
「どうして……どうして……どうして……」

 親友たちに手紙で現状を訴えるも、誰からも返事が来ない。
 
「どうして皆、私を助けてくれないの? 私、こんなに困っているのに……皆のこと、あんなに助けてあげたのに……」
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