王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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ソミール・イリノエ

2

 司祭に宣言され、私が聖女に選ばれたのだと理解する。
 
「ソミールさん、お話があります。部屋までいいですか?」

「はぁい」

 司祭から話があったが、正直よくわからなかった。
 分かったことは、王宮へ報告し喪に服している一年を終えると聖女と公表されるらしい。
 
「私が聖女か……」

 聖女になるなんて、考えたこともなかった。
 みんなは、聖女になりたかったみたいだけど。

「……ソミール」

「侯爵様」

「教会から報せがあった。儀式で『聖女』に選ばれたと聞くが本当か?」

「はぁい。私が祈ったら、水晶がキラキラ光り出したんです」

「……そうか。よくやった。これから一年後には、いくつものお茶会やパーティーに招待されるだろう。ドレスや宝石に靴など揃えておく必要がある」

「ドレスに宝石に靴?! 嬉しい!!」

「明後日から、デザイナーや宝石商との打ち合わせがある」

「はい!」

 私のために、デザイナーや宝石商が連日訪れる。
 聖女候補としてパーティーに参加した時は、聖女服。
 その時、初めて見た貴族のドレスはキラキラしていて私も着たいと思ってた。

「どんなドレスにしようかなぁ……ピンクかなぁ? 水色かなぁ? 大人っぽく紫もいいかもぉ」

 同席していたイリノエは、使用人に指示を出していた。

「それでは、どのようなドレスがお好みでしょうか?」

「ピンクでふんわりしてて、リボンも付けてほしい。会場で私がいっち番、可愛く見えるようにして!!」

「もちろんです。お嬢様は大変可愛らしいお方なので、どんなドレスでも可愛く着こなすでしょう」

「へえ、そうかなぁ」

「ピンクも素敵ですが、他のお色も見てみたいですね。赤はバラのように美しく、紫はアネモネのように神秘的です。形もエレガントから、キュートまでお似合いになるでしょう」

「そんなこと言われたら、たくさん欲しくなっちゃう……」

「お嬢様。旦那様よりパーティーでは派手なものは控え、淡い色が良いようです」

「ええ? 私はピンクとか赤とか可愛いものがいいなぁ」

「お嬢様は、ただの令嬢ではなく『聖女様』です。特別なものでないといけないと仰っておりました」

「……特別なもの……そうだよね。私はただの侯爵令嬢じゃなく『聖女様』だものね」

 使用人を交え特別なドレス、宝石、靴を依頼する。

「んふふ、楽しみ」

「お嬢様、お客様がいらっしゃっております」

「お客様?」

「はい。コルネリウス王子殿下です」

「コルネリウスさんが!!」

 急いで応接室へと向かう。

「コルネリウスさん」

「ソミール嬢。聞いたぞ、聖女に選ばれたと」

「はい。自分でも驚いてるの。私よりも聖女様に相応しい人はたくさんいるのに……」

「神は、確りみているってことだ。ソミール嬢、王族として聞く。聖女を引き受けてもらえるだろうか?」

「はい!! 精一杯がんばりまぁす」

「よかった。ソミール嬢なら、素晴らしい聖女様になってくれるだろう」

「ふふふ。頑張るね!」

「それで、今代の聖女はソミール嬢。聖女補佐についてだが、司祭に確認するとソミール嬢の能力は大変優れていたとか」

「あんまり実感ないんだけどね」

「聖女補佐は必要ないのではないかというのが、王族の見解だ」

「聖女補佐は……なし?」

「聖女の能力に不安があり、一人では難しいと判断された場合は複数人が聖女として紹介されることがある。今回はソミール嬢一人で十分と聞いている」

「私一人が聖女……んふっ。それなら頑張らないといけないね!」

「それで聖女が一人の場合、補佐や世話係として聖女候補から指名することが出来る。指名された令嬢は王宮に通うことになる。聖女補佐専用の部屋の準備もある」

「……皆に、私の世話をさせるなんて……」

「令嬢たちに世話係をすることに気が引けるのであれば、王宮の使用人を付けることもできる」

「王宮の使用人……私の世話だなんて申し訳なくて……」

「私としては、聖女候補より王宮の使用人の方が安心して任せられる」

「みんなを信じられないってこと?」

「……彼女たちは、私の婚約者候補であった。その者たちを補佐として王宮へ上がらせると、勘違いする者が現れる。私には弟がいるから、色々とある」

「そうなの? 私は皆の方が安心して頼めると思ったけど、コルネリウスさんがそう言うならそうする」

「ありがとう。ソミール嬢、これから聖女お披露目のパーティーなど開催する予定だ」

「パーティー?!」

「あぁ、そのつもりでいてくれ」

「はい!!」
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