王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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ソミール・イリノエ

3

 コルネリウスを見送り一人部屋に戻る。

「私をお披露目するために、王宮でパーティーだなんて。んふふっ。あぁ~楽しみぃ。みんなに申し訳ないなぁ……聖女になるためにあんなに頑張ってたのに。私一人が聖女だなんて……世話係でみんなを従えるのも気持ちいいけど、コルネリウスさんがみんなのことあんまりよく思ってないから仕方がないよね。その代わり私が王宮を案内してあげたら、みんなも喜ぶだろうなぁ……あっ、延期になったお茶会も開催してあげないと!!」

 しばらくすると、待ちに待った来客。

「こちらが完成品になります」

「わぁ、綺麗なドレス」

 依頼したドレスが届く。

「最終確認のため、ご試着をお願いできますでしょうか?」

「はぁい」

 使用人数人でドレスの試着を行う。

「どうかな?」

「大変よくお似合いです」

「んふっ、皆はどう思う?」

 ドレス姿を使用人にも見せ感想を聞く。

『素晴らしいです』
『お綺麗です』
『よくお似合いです』

「本当? 良かったぁ」

 ドレスの試着を終え、靴と宝石も届く。
 すべての確認を終え、パーティー当日を待つ。

「お嬢様。こちらが届きました」

「ドレス? 誰から?」

「コルネリウス王子からです」

「コルネリウスさんから、私にドレス?」

「はい。それにこちらも」

 コルネリウスから届いたのはドレス以外に宝石。
 そして手紙。

『ソミール嬢。
 聖女お披露目パーティーでは、私にエスコートをさせてもらえないだろうか?
 それと、当日はこちらのドレスを着用してほしい。
 贈ったドレスを着るソミール嬢を見られることを祈っている。
 コルネリウス』 

「こちらのドレスは王家御用達のデザイナーですね」

「そうなの?」

 私が準備した物とは、形の違うドレス。

「こちらはコルネリウス王子の瞳の色ですね」

「言われると、そうだね。何か、意味があるの?」

「貴族の方に自身の瞳や髪の色の物を贈るのは、婚約者か相手を慕っているという意味です」

「なら、今度のパーティーはこれにする!!」

 聖女お披露目パーティーでは、コルネリウスからのドレス一式を選んだ。

「ソミール。ダンスは出来るのか?」

 侯爵にダンスができるのか確認を受けた。
 侯爵が言っているダンスは、お祭りで平民がその場の雰囲気に合わせて踊るダンスのことではないよね?

「ダンスは……ないです」

「そうか。講師を雇う。聖女お披露目パーティーまでにできるようにしておきなさい」

「はぁい」

 私のパーティーまでの時間、ダンス練習が始まった。 
 侯爵が雇った講師も意地悪な人だったけど、我慢した。
 パーティーまで時間がなかったから。
 終わってから、侯爵に伝えるつもり。

 そして、パーティー当日。

「次代の聖女は、ソミール・イリノエ侯爵令嬢だ。令嬢は能力だけでなく、聖女としての人格も申し分ないと判断した。今代の聖女ソミール・イリノエ侯爵令嬢だが歴代の聖女を凌ぐ能力を所持している為、聖女補佐を必要としない事を宣言する」

 会場にいるみんなが、私を羨望の眼差しで見ている。
 聖女候補のみんなも、私の姿に魅入っている。
 私のために開催されたパーティー。
 これが貴族で、聖女様。

「ソミール嬢」

 コルネリウスに手を差し出される。
 一番初めに私たちのダンスを披露する。

「はい」

 コルネリウスのエスコートでダンスが始まる。
 練習したけど、少し足がバタバタしてしまったがドレスで見えなかったはず。
 ダンスを終えれば、みんなからの拍手を受ける。
 
「多くの貴族が挨拶に訪れる。ソミールは私の隣に」

「はい」

 教会で顔を合わせたことのある貴族もいれば、面識のない貴族からも挨拶を受ける。
 
「ソミール・イリノエ侯爵令嬢、聖女就任おめでとうございます」

 知らない貴族が挨拶に訪れるも、みんなはなかなか来てくれない。
 どこにいるのか探していると、壁際にレンスの姿を見つけた。
 隣には、ルードヴィックの姿。
 もしかして、私がコルネリウスのエスコートを受けたことで悲しむルードヴィックをレンスが慰めていたのかもしれない。
 レンスは、以前からルードヴィックを慕っていた。
 私が気を遣うと余計気まずくなっちゃうよね?
 明るく振る舞わなきゃ。

「レンス、ここにいたの! もう、気づかないところだったよ」

 レンスに声をかけると、ルードヴィックから縋るような切ない視線を受ける。
 レンスと会話している最中も、ルードヴィックの視線が気になって仕方がない。
 彼のためにも、はっきりさせなくては。

「……ルードヴィックさん。あの……あなたと婚約は、できそうにありません。ごめんなさい。それじゃぁ」

「ソミール嬢。彼と婚約とは、どういうことだ?」

 すぐにその場から離れたかったのに、コルネリウスに引き止められる。
 コルネリウスと一緒にいる私を見たら、ルードヴィックが悲しんでしまうのに……。
 
「婚約を申し込まれていたのか?」

 コルネリウスに確認を取られる。
 なんて答えたらいい?

「聖女様に婚約を申し込んだことはございません。何か誤解されているのではありませんか?」

「はっ、はい。分かりました。そういうことにしておきます」

 聖女でコルネリウスのエスコートを受けている私に婚約を申し込んだとなれば、彼の立場が危うくなってしまう。
 私も、彼の嘘に同調した。
 私が彼にできることは、このくらいしかない。

「君、名前は?」

「私は、ルードヴィック・コルテーゼと申します。フローレンス嬢があの花を発見したのは、我が領地です」

「……あの頃はソミール嬢は、平民だった。今後はそうはいかないからな」

「コルネリウスさん! 私は、大丈夫だから。レンス、またね」

 コルネリウスは、私が発見した花をレンスも一緒に発見したことにしてほしいとお願いしたのをまだ怒っている。
 私はもう、いいのに。
 レンスとはいつまでも友だちでいたいと思ってるから、険悪になりたくない。
 そうなる前に、急いでコルネリウスと共に立ち去る。
 レンスには隠したかった。
 すべては、あの提案を受け入れた私が悪い。
 その後も、聖女候補で一緒だったみんなに挨拶をするも、隣に立つコルネリウスが鋭い視線を向ける。
 私のためなのはわかるけど、私はみんなを許した。
 だから、コルネリウスにもみんなを許してほしい。

「みんなからの手紙はないのか……」

 パーティーが終わり多数の貴族からお茶会の招待状が届くも、聖女候補のみんなから連絡はない。
 
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