王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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ソミール・イリノエ

6

 手紙を出したのに、誰からも返事が来ない。

「どうしちゃったんだろう? 届いてないのかな?」

 あれから何通か手紙を送るも、誰からも返事がこない。
 一人で祈りを捧げるも時間は長引いて行く。
 今は、授業も受けていないのに……。

「ソミール嬢、聖女候補たちに確認した」

「良かった。みんなはいつから来ます?」

「……候補者は聖女の補佐は出来ないと返事が来た」

「どうして?!」

「多くの者が結婚し妊娠していたりと難しい状況にある。そうでない者も、王都を離れているために連絡が取れていない」

「そんなっ、私が困ってるのに……みんな、酷い……」

「心配ない。これから私が直接尋ねてみる」

「うん」

 コルネリウスは過去の聖女候補一人一人に直接確認を取ってくれている。
 その間の王宮では……。

『聖女様、大丈夫なんでしょうか?』
『結界が弱まって、各地で魔獣が目撃されているみたいね』
『祈りの時間も今では八時間超えているわ』
『王宮へ来た当初はもっと短かったらしいわよ』
『聖女の能力に何かあったのでは?』
 
 隠れてコソコソ噂しているようだが、私の耳にも届いている。
 
「私の能力に問題はないわよ……問題なんて……」

 王宮に通うようになって、定期的に会っていたコルネリウス。

「ソミール嬢……忙しくてお茶は難しい」

「ほんの少しも?」

「ソミール嬢。奉仕活動のことなんだが、一人で考え実行したのか?」

「どうしたの、急に?」

「答えてくれ。他の候補者の慈善活動だったんじゃないのか?」

「慈善活動っていうか……私が普段していることをしていただけで、そこにみんなもいたってだけ。特別なことはしてないよ」

「では、水晶にヒビが入った件について何か知っていることはないか? 」

「……水晶……あれは、たしか……フィーナちゃんが不注意で落としちゃって……もしかして、私が落としたってフィーナちゃんが話したの?」

 本当は掃除当番でフィーナが来る前に、水晶を移動させようと持ち上げた。 
 その際、不注意で落としてしまった。
 水晶を確認するとヒビが入っていて、誤魔化すために油を塗った。
 触ると分かるが、ヒビの間に油が入り込み見た目では自然に見えた。
 その後、知らないフリしてフィーナに水晶の浄化を頼んだ。 
 彼女は幼い頃の怪我の傷を隠すために、いつも長い手袋をしていたので水晶のヒビに触れても気づかないだろうと思った。
 そしたら、彼女も水晶を落とした。
 素手で持っていた私でも滑ったのに、手袋で持っていたら落とすのも仕方がない。
 二度目の衝撃に、水晶のヒビは大きく入った。
 それで、彼女は司祭に謝罪をした。
 彼女が謝罪をしたので、私が謝罪する必要はなくなった。

「いや、落としたことは認めている」

「そうなの? フィーナちゃん、今も気にしてるんだね……」

「では、あの花を発見したのは?」

「私だよ! だって、レンスはあの花を見ても『早く帰ろう』って興味なかったもの」

「……そうか……しばらく、仕事で王都を離れることになった」

「えっ、じゃあ次いつ会えるの?」

「……帰ってきたら……会いに来る」

「……わかった」

 コルネリウスが王宮を離れる。
 すると、噂する使用人の声が大きく耳に入る。

『他の聖女候補様にも祈ってもらった方が良いんじゃないの』
『王子の婚約者も難しいみたいよ、王妃教育どころか淑女教育もまともに熟せずに終わったらしいし』
『いつまでも、平民みたいだものね』
『私、聞いちゃったんですけど、王子の婚約者も撤回するって』
『それ、私も聞いた。隣国の第三王女が有力って』

「第三王女……なにそれ……私、知らない」

 私が必死に努力してるのに誰も助けてくれなくて、コルネリウスは私じゃない人と婚約?  

「信じらんない!!」

 その日から祈るのをやめた。

「私に意地悪するなら、みんな困ればいいのよ」

 それで、聖女のありがたみを知るべき。
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