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長期休暇明けは……
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長期休暇明けは授業と言うより礼儀作法に近い。
女子生徒には刺繍の授業が入り、男子生徒には剣術の授業が始まる。
真剣に望むも人生で刺繍なんてしたことのない私には無残な物が出来上がっていく。
芸術祭の絵画なんて可愛い部類。
あまりにも酷い作品だったので、周囲の生徒をそれとなく確認する。
「すごっ……」
授業なので当然なのだが、皆真剣で作品も花や鳥・家門など様々。
どれも販売されていても不思議ではない作品。
私の手の中にあるハンカチは……
刺繍がない方が確実に販売できる代物……
このハンカチは教師以外見ることは無いだろう。
『ハンカチ誰に贈るか決めましたの? 』
『私はまだ……もしかして、決めたですか? 』
『もちろん。本人にも伝えて完成したら受け取って貰えそうよ』
『早いですね』
『早くないわよ。悠長にしていたら貰ってくれる相手いなくなるわよ』
『そんなの困ります』
『これでパーティーのパートナーが決定するから、皆さん躍起になってるわよ』
『相手が……』
『どうかされたの? 』
『婚約者がいらっしゃるから……』
『関係ありませんわ、パーティーは仮面ですし。これは学園行事。必ずしも婚約者を誘わなければならないルールもないわ。当日パートナーが婚約者でない人であっても、追及されることはない。それが『仮面』パーティーの暗黙のルール。守れない人は貴族社会では、生きていけないわ』
『……いい……のかな? 』
『学園での最後の思い出よ』
『そう……よね』
女子生徒の立ち聞きするつもりはなかったが、今回の刺繍ハンカチには何かしらの意味があることを話していたので自然と聞いてしまった。
「テレンシオールパーティー? このハンカチがパートナー契約? そんなの聞いてない」
刺繍の先生はそんなことは一言も言っていない。
もしかしたら、生徒間で広まったイベントなのかもしれない。
けど、気になる……
「テレンシオールパーティー……こんなハンカチ……誰にも渡せない」
何度見返してもすごい作品。
誰かに受け取って貰えそうな仕上がりではない。
「パーティーって強制参加なの? 」
ハンカチの意味を理解すると、女子生徒がいつになく真剣に取り組んでいるのが分かる。
廊下を歩く男子生徒もなんだが浮かれている者と、挙動不審で落ち着きがない者が多い。
女子生徒がハンカチを渡すのだが、男子生徒の方も受け身ではなく自分から声を掛ける者もいる。
男子生徒の方も選ばれる為の一つとして、もうすぐ行われる剣術大会で優秀な成績を残そうと必死。
平民の生徒も、大会で優勝すれば女子生徒からハンカチを貰えパーティーに堂々と参加できる。
女子生徒の方はハンカチを贈った相手が優勝すれば大きな顔ができるし、大会の結果前に焦って行動するなんて優雅さに欠けて『はしたない』と言って、牽制している。
「そんなこともあったのですか? 」
ハンカチの話で盛り上がっている女子生徒の話を盗み聞きしたいわけではないが、気になってしまい耳を澄ませていた。
「前年卒業されたバランドープ令息は剣術大会前にハンカチを贈られたのですが、予選敗退した途端『ハンカチを返却してほしい』と宣言されたそうですよ」
残酷すぎる。
大会に負けてハンカチも『返せ』だなて……
それからは、剣術大会後にハンカチ合戦に突入する。
だが、高位貴族令息相手では話が変わってくる。
そこだけは勝敗関係なく、早い者勝ち。
貰えない者や貰ってもらえなかった者はパーティーに不参加してしまう者が多い。
パートナー同伴が絶対条件ではないが、一人で参加するくらいなら欠席の方が傷は浅いと考えられていた。
女子生徒には刺繍の授業が入り、男子生徒には剣術の授業が始まる。
真剣に望むも人生で刺繍なんてしたことのない私には無残な物が出来上がっていく。
芸術祭の絵画なんて可愛い部類。
あまりにも酷い作品だったので、周囲の生徒をそれとなく確認する。
「すごっ……」
授業なので当然なのだが、皆真剣で作品も花や鳥・家門など様々。
どれも販売されていても不思議ではない作品。
私の手の中にあるハンカチは……
刺繍がない方が確実に販売できる代物……
このハンカチは教師以外見ることは無いだろう。
『ハンカチ誰に贈るか決めましたの? 』
『私はまだ……もしかして、決めたですか? 』
『もちろん。本人にも伝えて完成したら受け取って貰えそうよ』
『早いですね』
『早くないわよ。悠長にしていたら貰ってくれる相手いなくなるわよ』
『そんなの困ります』
『これでパーティーのパートナーが決定するから、皆さん躍起になってるわよ』
『相手が……』
『どうかされたの? 』
『婚約者がいらっしゃるから……』
『関係ありませんわ、パーティーは仮面ですし。これは学園行事。必ずしも婚約者を誘わなければならないルールもないわ。当日パートナーが婚約者でない人であっても、追及されることはない。それが『仮面』パーティーの暗黙のルール。守れない人は貴族社会では、生きていけないわ』
『……いい……のかな? 』
『学園での最後の思い出よ』
『そう……よね』
女子生徒の立ち聞きするつもりはなかったが、今回の刺繍ハンカチには何かしらの意味があることを話していたので自然と聞いてしまった。
「テレンシオールパーティー? このハンカチがパートナー契約? そんなの聞いてない」
刺繍の先生はそんなことは一言も言っていない。
もしかしたら、生徒間で広まったイベントなのかもしれない。
けど、気になる……
「テレンシオールパーティー……こんなハンカチ……誰にも渡せない」
何度見返してもすごい作品。
誰かに受け取って貰えそうな仕上がりではない。
「パーティーって強制参加なの? 」
ハンカチの意味を理解すると、女子生徒がいつになく真剣に取り組んでいるのが分かる。
廊下を歩く男子生徒もなんだが浮かれている者と、挙動不審で落ち着きがない者が多い。
女子生徒がハンカチを渡すのだが、男子生徒の方も受け身ではなく自分から声を掛ける者もいる。
男子生徒の方も選ばれる為の一つとして、もうすぐ行われる剣術大会で優秀な成績を残そうと必死。
平民の生徒も、大会で優勝すれば女子生徒からハンカチを貰えパーティーに堂々と参加できる。
女子生徒の方はハンカチを贈った相手が優勝すれば大きな顔ができるし、大会の結果前に焦って行動するなんて優雅さに欠けて『はしたない』と言って、牽制している。
「そんなこともあったのですか? 」
ハンカチの話で盛り上がっている女子生徒の話を盗み聞きしたいわけではないが、気になってしまい耳を澄ませていた。
「前年卒業されたバランドープ令息は剣術大会前にハンカチを贈られたのですが、予選敗退した途端『ハンカチを返却してほしい』と宣言されたそうですよ」
残酷すぎる。
大会に負けてハンカチも『返せ』だなて……
それからは、剣術大会後にハンカチ合戦に突入する。
だが、高位貴族令息相手では話が変わってくる。
そこだけは勝敗関係なく、早い者勝ち。
貰えない者や貰ってもらえなかった者はパーティーに不参加してしまう者が多い。
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