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余談
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〈余談〉
「婚約しているなんて聞いてない……」
男はパーティーで一人、存在を消していた。
だが、それも続かず友人たちに囲まれる。
「おい、話が違うじゃないか」
「何が、『あいつは今も、俺に惚れている』だ」
「お前のせいで、卒業後の俺の計画が台無しじゃないか」
「どうしてくれるんだ」
周囲の目を盗んで、逃げるように屋敷に戻った。
だが数日後には、さらにばつの悪さを感じることになる。
「お前、この手紙に書いてあることは事実なのか?」
「な、なんのことでしょう?」
震えながらとぼける。
理解していても、認めてはいけないと誤魔化し続ける男。
だが、自身が贈ったドレス一式が返却され公爵と侯爵の連名で手紙を渡される。
男の父は、抗議の手紙の内容を見て息子の今までの愚行を知り震えていた。
「もう一度聞く。公爵と侯爵からの手紙に書いてあることは事実なのか?」
「……はい」
父親の鬼気迫る表情に、ようやく認めた。
「……なんて事をしてくれたんだ!」
父親はすぐさま謝罪の手紙を両家に送り許しを請う。
当然ながら、その間は謹慎を言い渡され扉の前には騎士まで配置されていた。
「婚約してるなら、さっさと言えよ……くそっ」
送られた手紙を確認すると、一つだけ知られていない悪事もあった。
仮面パーティーに参加した際、金髪の女性と一緒にいたことだ。
あれはわざと勘違いされるように、仕組んだのだ。
外堀から埋めてしまえば、アイツも逃げられないだろうと計画した。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ」
盛大な溜息をついた。
だが、男の落とし前はそれだけで終わらない。
漸く新規の契約を掴み伯爵家は立て直そうとしていた時の、今回の事件。
再び貴族達は離れていき、没落まで首の皮一枚となった。
「お前の結婚が決まった」
突然、父から結婚の提案に目を丸くする。
この状況の男と結婚したい令嬢がいることが信じられないというのが正直な感想だ。
「まぁ、俺程の男なら肩書き関係なく寄ってくるものだよな」
男は公爵令嬢に婚約を迫られたのも、自身の顔の美しさだとしっている。
未だに過去の美しかった自身の姿から抜け出せないでいた。
「この際、爵位が下でも構わない。見た目がそこそこでも我慢してやる。少し歳が離れていても受け入れてやる」
……そんな思いを抱いていた。
「今の俺は寛大だからな」
男は父に釣書を手渡され、確認する。
「えっ……この方は……」
記されている女性の釣書に衝撃を受ける。
男の父は『令嬢』と言った。
だが、相手を確認をすれば、そこに記載されているのは令嬢と呼ぶには難しい年齢の女性。
「父上、これは誰の結婚相手ですか?」
「お前のだ」
「俺の……いや……だって……この方は……」
「お前に相手を選べる権利はない。明日にでも相手に婿入りしろ」
それから、騎士に引きずられ部屋に監禁。
逃げださないよう厳重に見張られている。
「どうして、俺があんな相手と……他にもっといるだろう。俺と結婚したい女が……俺には選べる権利がないのかよ……」
枕を投げてみたり、布団を叩いてみる。
机や椅子が相手では自身が傷つき、花瓶やカップは割れるとお金が掛かると理性で除外。
問題のない相手を選び暴れていたが次第に体力を奪われ、現実を受け入れる。
「俺はいつでも、権利がないんだな……」
現実を知り逃げる気力もなくなり、男は素直に相手の元へと出向く。
その後、社交界で男の噂を聞くことは無くなるも、誰も気にしない。
男が婿入りした先では、数年後に夫人は亡くなる。
夫人が体調を悪くしているのを目の当たりにしていた男は……
「妻が死ねば自身が当主になれる」
期待していた。
そして、夫人が無くなり葬儀を終えて微笑んでいると……
「男娼は出て行きなさい、汚らわしい」
夫人亡き後。
今まで疎遠だった『親戚』という人間達が集結。
「俺が、妻の意志を継ぎ当主に……」
「貴方、何を言っているの? ここに遺言書があるのよ」
「遺言書?」
親戚たちは、遺言書の存在を明かす。
内容は、『全ての遺産は親戚に均等に分配してほしい』だった。
事細かにリスト分けもされており、男が手に出来る遺産は僅かな金額。
妻との間に子供はおらず、男が当主補佐に収まることも出来ず。
「その遺言書は、偽物だ」
遺言書の存在を聞いていなかった男は、自身に遺産を残していない事実を認めなかった。
「いえ。これは弁護士先生立ち合いの元、認められた正式なものよ」
勝ち誇ったように宣言する女。
「お前達、一度も見舞いに来なかったじゃないかっ」
夫人が晩年、病気で苦しんでも一度も見舞いに来なかった親戚たち。
「それとこれは関係ないのよ。これが叔母様の意志なのよ」
「……そんな……」
弁護士も同席し、遺言書が正式な物と認められ男は引き下がるしかなかった。
遺言と夫人の親戚達により、男はお払い箱に。
そして平民となっていた。
実際に遺言書は、夫人本人が認めたものだがそれは男と結婚する前のもの。
男はそこに気付かなかった。
弁護士も貴族社会で問題を起こした男に、告げる事はしない。
質問されれば答えるつもりでいたが、黙っている。
「さっさと出て行きなさい」
男ははした金で屋敷を追い出され、行き場を失う。
伯爵家に戻ることも頭を過るが、踏みとどまった。
男のいた伯爵家は婿入りした先の援助により没落だけは免れるも、信頼回復するのに十数年もかかった。
婚約が破談となった兄も弟程ではないが歳の離れた令嬢と結婚し、家門を持ち直す為に尽力。
ひっそりと真面目に生きてきた伯爵家。
ようやく持ち直している最中に、原因の男が戻れば水の泡。
遠くから屋敷を眺めるも、近付くことはしなかった。
その後、伯爵家は孫の代で男が負った不名誉を払拭。
男の存在は綺麗に消え去った。
<もう一人>
「ここは……どこですか? 何故、私がここに?」
公爵令嬢の婚約を解消させた男の恋人は、卒業式の後日には婚姻を結んでいた。
誰にも祝われることなくひっそりと。
相手は父親よりも年上の、気に入った女性には強引な手段を使ってでも手に入れるといわれている有名な男。
男に目を付けれた女性は逃げ切ることは出来ず、その後の消息は絶たれ一切の情報がなくなると囁かれている人物。
男との結婚は、問題を起こした令嬢や全財産を失っただけでなく多額の負債のある家門の令嬢が行きつく最後の場所……
墓場とも言われている。
婚約解消に追い込んだ令嬢は伯爵家だったが、公爵家の婚約を破談にさせた悪評が出回り伯爵家が関わる契約は続々と打ち切られていたそうだ。
実際は愛人や恋人の存在に苦しめられていた、夫人や婚約者の母親が日々の苦しみの捌け口として契約打ち切りなど実行していた。
「令嬢との結婚を認めてくれたら、この金額を支援しよう」
「これは……ありがとうございます。娘をよろしくお願いいたします」
伯爵家は困窮し元凶である娘を高く買い取ると言った男に厄介払いとして売り払ったのだ。
「卒業おめでとう、祝い酒だ」
相手がどんな男なのか知っていたが、夫妻は娘にお酒を飲ませ眠らせる。
眠っている間に相手の屋敷に娘を送り届け、婚姻を成立させ大金を手にした。
その後、夫妻は細々と生活するも貴族を維持できず爵位を返納。
どこで何をしているのかは不明。
彼らの行方を調査する者はいない。
「婚約しているなんて聞いてない……」
男はパーティーで一人、存在を消していた。
だが、それも続かず友人たちに囲まれる。
「おい、話が違うじゃないか」
「何が、『あいつは今も、俺に惚れている』だ」
「お前のせいで、卒業後の俺の計画が台無しじゃないか」
「どうしてくれるんだ」
周囲の目を盗んで、逃げるように屋敷に戻った。
だが数日後には、さらにばつの悪さを感じることになる。
「お前、この手紙に書いてあることは事実なのか?」
「な、なんのことでしょう?」
震えながらとぼける。
理解していても、認めてはいけないと誤魔化し続ける男。
だが、自身が贈ったドレス一式が返却され公爵と侯爵の連名で手紙を渡される。
男の父は、抗議の手紙の内容を見て息子の今までの愚行を知り震えていた。
「もう一度聞く。公爵と侯爵からの手紙に書いてあることは事実なのか?」
「……はい」
父親の鬼気迫る表情に、ようやく認めた。
「……なんて事をしてくれたんだ!」
父親はすぐさま謝罪の手紙を両家に送り許しを請う。
当然ながら、その間は謹慎を言い渡され扉の前には騎士まで配置されていた。
「婚約してるなら、さっさと言えよ……くそっ」
送られた手紙を確認すると、一つだけ知られていない悪事もあった。
仮面パーティーに参加した際、金髪の女性と一緒にいたことだ。
あれはわざと勘違いされるように、仕組んだのだ。
外堀から埋めてしまえば、アイツも逃げられないだろうと計画した。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ」
盛大な溜息をついた。
だが、男の落とし前はそれだけで終わらない。
漸く新規の契約を掴み伯爵家は立て直そうとしていた時の、今回の事件。
再び貴族達は離れていき、没落まで首の皮一枚となった。
「お前の結婚が決まった」
突然、父から結婚の提案に目を丸くする。
この状況の男と結婚したい令嬢がいることが信じられないというのが正直な感想だ。
「まぁ、俺程の男なら肩書き関係なく寄ってくるものだよな」
男は公爵令嬢に婚約を迫られたのも、自身の顔の美しさだとしっている。
未だに過去の美しかった自身の姿から抜け出せないでいた。
「この際、爵位が下でも構わない。見た目がそこそこでも我慢してやる。少し歳が離れていても受け入れてやる」
……そんな思いを抱いていた。
「今の俺は寛大だからな」
男は父に釣書を手渡され、確認する。
「えっ……この方は……」
記されている女性の釣書に衝撃を受ける。
男の父は『令嬢』と言った。
だが、相手を確認をすれば、そこに記載されているのは令嬢と呼ぶには難しい年齢の女性。
「父上、これは誰の結婚相手ですか?」
「お前のだ」
「俺の……いや……だって……この方は……」
「お前に相手を選べる権利はない。明日にでも相手に婿入りしろ」
それから、騎士に引きずられ部屋に監禁。
逃げださないよう厳重に見張られている。
「どうして、俺があんな相手と……他にもっといるだろう。俺と結婚したい女が……俺には選べる権利がないのかよ……」
枕を投げてみたり、布団を叩いてみる。
机や椅子が相手では自身が傷つき、花瓶やカップは割れるとお金が掛かると理性で除外。
問題のない相手を選び暴れていたが次第に体力を奪われ、現実を受け入れる。
「俺はいつでも、権利がないんだな……」
現実を知り逃げる気力もなくなり、男は素直に相手の元へと出向く。
その後、社交界で男の噂を聞くことは無くなるも、誰も気にしない。
男が婿入りした先では、数年後に夫人は亡くなる。
夫人が体調を悪くしているのを目の当たりにしていた男は……
「妻が死ねば自身が当主になれる」
期待していた。
そして、夫人が無くなり葬儀を終えて微笑んでいると……
「男娼は出て行きなさい、汚らわしい」
夫人亡き後。
今まで疎遠だった『親戚』という人間達が集結。
「俺が、妻の意志を継ぎ当主に……」
「貴方、何を言っているの? ここに遺言書があるのよ」
「遺言書?」
親戚たちは、遺言書の存在を明かす。
内容は、『全ての遺産は親戚に均等に分配してほしい』だった。
事細かにリスト分けもされており、男が手に出来る遺産は僅かな金額。
妻との間に子供はおらず、男が当主補佐に収まることも出来ず。
「その遺言書は、偽物だ」
遺言書の存在を聞いていなかった男は、自身に遺産を残していない事実を認めなかった。
「いえ。これは弁護士先生立ち合いの元、認められた正式なものよ」
勝ち誇ったように宣言する女。
「お前達、一度も見舞いに来なかったじゃないかっ」
夫人が晩年、病気で苦しんでも一度も見舞いに来なかった親戚たち。
「それとこれは関係ないのよ。これが叔母様の意志なのよ」
「……そんな……」
弁護士も同席し、遺言書が正式な物と認められ男は引き下がるしかなかった。
遺言と夫人の親戚達により、男はお払い箱に。
そして平民となっていた。
実際に遺言書は、夫人本人が認めたものだがそれは男と結婚する前のもの。
男はそこに気付かなかった。
弁護士も貴族社会で問題を起こした男に、告げる事はしない。
質問されれば答えるつもりでいたが、黙っている。
「さっさと出て行きなさい」
男ははした金で屋敷を追い出され、行き場を失う。
伯爵家に戻ることも頭を過るが、踏みとどまった。
男のいた伯爵家は婿入りした先の援助により没落だけは免れるも、信頼回復するのに十数年もかかった。
婚約が破談となった兄も弟程ではないが歳の離れた令嬢と結婚し、家門を持ち直す為に尽力。
ひっそりと真面目に生きてきた伯爵家。
ようやく持ち直している最中に、原因の男が戻れば水の泡。
遠くから屋敷を眺めるも、近付くことはしなかった。
その後、伯爵家は孫の代で男が負った不名誉を払拭。
男の存在は綺麗に消え去った。
<もう一人>
「ここは……どこですか? 何故、私がここに?」
公爵令嬢の婚約を解消させた男の恋人は、卒業式の後日には婚姻を結んでいた。
誰にも祝われることなくひっそりと。
相手は父親よりも年上の、気に入った女性には強引な手段を使ってでも手に入れるといわれている有名な男。
男に目を付けれた女性は逃げ切ることは出来ず、その後の消息は絶たれ一切の情報がなくなると囁かれている人物。
男との結婚は、問題を起こした令嬢や全財産を失っただけでなく多額の負債のある家門の令嬢が行きつく最後の場所……
墓場とも言われている。
婚約解消に追い込んだ令嬢は伯爵家だったが、公爵家の婚約を破談にさせた悪評が出回り伯爵家が関わる契約は続々と打ち切られていたそうだ。
実際は愛人や恋人の存在に苦しめられていた、夫人や婚約者の母親が日々の苦しみの捌け口として契約打ち切りなど実行していた。
「令嬢との結婚を認めてくれたら、この金額を支援しよう」
「これは……ありがとうございます。娘をよろしくお願いいたします」
伯爵家は困窮し元凶である娘を高く買い取ると言った男に厄介払いとして売り払ったのだ。
「卒業おめでとう、祝い酒だ」
相手がどんな男なのか知っていたが、夫妻は娘にお酒を飲ませ眠らせる。
眠っている間に相手の屋敷に娘を送り届け、婚姻を成立させ大金を手にした。
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どこで何をしているのかは不明。
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