男子校に入学しても絶対そっち側には行かないって思っていたのに、助けてくれた先輩が気になってます

天冨 七緒

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漸くして落ち着きました

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朝昼放課後の呼び出しも徐々に収まって平穏になりつつある。
皆飽きてきたのかな。
それだといいな。
やっとゆっくり出来る~。
功刀君が委員に行っている間の昼休みは暇だな。
昼寝が出来そうな所でも探そうかな。
一人教室に居ても練っとりと絡み付く視線を感じて居心地が悪いし。
功刀以外の生徒とはなかなか上手くいかず…と言うよりなんだかギラついた目で見られているようで顔がひきつる感覚がある。
それ以外の人は対抗意識?のようなキツイ視線を感じ功刀の居ない教室はちょっぴり居づらい。
まだ校舎について詳しくないことを理由に構内を歩き回った。
教室と移動教室で使った場所しか覚えていないうえに、四年前に校舎を改装したようで全く知らない旧校舎があるらしい。
これは行くっきゃない。
旧校舎は今ではほぼ荷物置き場のようだ。
何部屋か空いている。
逃げ場所としては最高。
一番奥の非常口近くの部屋に入ろうと扉に手をかけた時、人の声が聞こえた。
も、も、もしや幽霊とか?
体が固まって逃げることも確認する事も出来ない。
スリガラス越しに何かが動いているのが分かる。
取っ手にかけた手が震えながら開けようとしている。
俺の意思とは別に体が勝手に。
もしや体乗っ取られたの?
怖い怖いやだ開けたくないよ。

「あ…あっ、……ハァ…ハァー」

苦しんでいる声が。
どこか色っぽいようにも聴こえてくる声。

自身が開けた扉の隙間から中を恐る恐る覗くと、机に突っ伏している小柄な生徒と後ろから覆い被さるようにくっついている大柄の生徒の光景が。
あまりの驚きに口を押さえるのが精一杯で逃げることも出来ず二人の行為を見入ってしまった。
そこは男子校あるあるだった。
空き教室にて恋人たちの営み。
本物初めて観た。
気付くと前のめりで観ちゃっていた。

「あ…きら?…もっと…」

男を求める声に視線をずらすと、後ろから激しく打ち付けていた男と眼があった。
俺が覗き見していたのバレた。
数秒程男と視線が合うも男は気にせず動き出した。相手の男は動きと共に先程より大きな声で喘ぎ出した。声を聞いて金縛りが溶けた。
ゆっくり後退った。
その間もあの男は俺を見ていた。
二人の姿が見えなくなると呪縛は完全に溶けた。
俺は急いで教室に戻った。
ここに来てやっと気付いた。
俺は甘く見ていたのかも、男子校だからそう言うのは無くプラトニックな感じだと決めつけていた。
彼らの言う好きってやつを本気にはしていなかった。
功刀の言った本気というやつをちゃんと理解した。
この日以来呼び出されても待ち合わせ場所に行かなくなった。
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