男子校に入学しても絶対そっち側には行かないって思っていたのに、助けてくれた先輩が気になってます

天冨 七緒

文字の大きさ
39 / 72

教室にて

しおりを挟む
試験結果が発表された。
嬉しいことに赤点はなく功刀のお陰もあり、まぁまぁの結果となった。
夏休みの補習もない…。
今なら、少しくらい有っても良かったのかも…。
あーもうすぐ夏休みだ。
ふと空を見上げればギラギラと照りつけてるように眩しい。
今日は特に暑いな。
後少しで夏本番だ。
あまりの暑さに第一ボタンを外しワイシャツをパタパタと仰ぐ。

「はぁ…暑いな」

その仕草を教室にいる人達が息を飲んで見つめていたことには全く気付かずにいた。

「うわぁっ」

暑さに喉が乾き、飲み物を買いに立ち上がると近くを歩いていたクラスメイトにぶつかり転びそうになった所を抱き締められていた。
暑い。
先輩と同じくらい背が高く体格が良い男にいつまでも抱き締められ、暑いし汗の匂いもした。
いつまで抱き締めてるんだろう、この人は。

「ねぇ、離してよ」

「あっ、悪い」

「ううん、こっちこそ」

離れると教室にいた人達全員が無言で凝視していた。
居づらくなり、その場を逃げ去るように早足で教室を後にした。
なんで皆見てたの?
確かに教室で急に抱き合ったら注目するだろうけど…。
目立つの好きじゃないのに。
やだやだ。
あんなのただの事故だよ事故。
自販機まで辿り着くも、教室になかなか戻れなくなってしまった。

「はぁ………暑い」

たった今買ったばかりの炭酸を飲む姿を近くにいた男達が盗み見ていることには全く気付かず、首筋を流れる汗だけを感じでいた。
俺が居なくなった教室では、ラッキースケベにあった男は抱き締めた余韻に浸りながら周囲の人間に嫉妬の洗礼を受けていた。
そして、誰もが次は俺がラッキースケベを受けると気合いをいれていた。

「初めて話した。あんな近くで、しかもなんか良い匂いがしたな…瀬里崎君」





最近良く人とぶつかるなぁ。
気を付けているつもりなんだけど。
暑さで注意力散漫なのかなぁ。
気を付けないと、と自分に言い聞かせている俺を横目に功刀が軽く溜め息をついていた。
あっ、功刀の首もとに痣が。
あれって、まさかぁムフフ。
そうか、功刀もついに。
相手はどっちかな?今度聞いたら教えてくれるかな?
キスマークかぁ。
そうだ、俺も先輩に付けたかったんだ。
キスマークの付け方調べるの忘れてたな。
後で調べてみよう。

昼休みは当然先輩の居る空き教室に。
だけど、今は先輩とエッチ な攻防が繰り広げられている。
先輩は本当にすぐエッチしたがる。
昼休みの膝枕では手がいろんな所を触り出す。
エッチは嫌いじゃないよ、嬉しいし気持ちいい。
それが先輩なら尚更。
ただ昼休みにすると午後の授業も出られなくなる。
それは、ダメ。
俺が強い意思をもって先輩に今日は終わりって言えれば良いんだけど、エッチの後はどうしても弱い。
先輩と離れられなくなる。
エッチで授業をサボるなんて恥ずかしすぎる。
なのでいつも抱き締めてキスで終わりにする、それ以上すると俺も先輩が欲しくなるから。
いくら、人が来ない教室でも学校は学校。
やっぱりそういうのは良くないよ。
今更だけど。
俺は基本真面目な人間だと思ってる。
先輩に流される弱い人間なだけで。
確りしてるんだから。
…そうだっ、すっかり忘れてた先輩の連絡先聞かないと。

「先輩、連絡先教えて」

「ん、ああ」

携帯を取り出し、画面が真っ暗に。

「あれ?」

「…充電じゃねぇ?」

あぁ、昨日はふて寝して充電してなかった。
俺は本来確りしてるはずなのに。
どれもこれも全ては目の前の男の所為だ。
さっきキスマークの付け方をこっそり調べようか悩んでいた所為では決して無いはず。
教室で調べるのが恥ずかしくなり途中で止めた。
変な画像が出てきて、その瞬間を誰かに見られても困ると思った。
落ち込んでいると、先輩にキスされた。
…連絡先なんて明日でもいっか。
今はもっとキスしたい。
先輩の背中に手を回してキスを堪能した。
勿論昼休みまで。
その後はちゃんと授業に出ました。




しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

言い逃げしたら5年後捕まった件について。

なるせ
BL
 「ずっと、好きだよ。」 …長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。 もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。 ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。  そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…  なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!? ーーーーー 美形×平凡っていいですよね、、、、

親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた

こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。

αが離してくれない

雪兎
BL
運命の番じゃないのに、αの彼は僕を離さない――。 Ωとして生まれた僕は、発情期を抑える薬を使いながら、普通の生活を目指していた。 でもある日、隣の席の無口なαが、僕の香りに気づいてしまって……。 これは、番じゃないふたりの、近すぎる距離で始まる、運命から少しはずれた恋の話。

息の合うゲーム友達とリア凸した結果プロポーズされました。

ふわりんしず。
BL
“じゃあ会ってみる?今度の日曜日” ゲーム内で1番気の合う相棒に突然誘われた。リアルで会ったことはなく、 ただゲーム中にボイスを付けて遊ぶ仲だった 一瞬の葛藤とほんの少しのワクワク。 結局俺が選んだのは、 “いいね!あそぼーよ”   もし人生の分岐点があるのなら、きっとこと時だったのかもしれないと 後から思うのだった。

処理中です...