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不良グループの元総長に懐かれた03
しおりを挟む「佐奈田、乗って」
突如、渡貫を伴って佐奈田のアパートへ突撃してきた椎名は、自身のバイクの後ろを親指で指してにっと笑った。
そしてそのまま、ツーリングへと連れ出されたのだった。
「気分転換になったか」
しばらく走って風を感じた後、サービスエリアに寄ってソフトクリームを食べながら、渡貫が声をかけてきた。一足先に食べ終わってトイレへと向かう椎名の背中を一瞥した視線が、佐奈田のもとへ戻ってくる。
「椎名のやつ、最近佐奈田くんが元気ない気がするって言っててな」
「ーーえ、」
気にしてくれてたんだ。
その事実だけで、佐奈田は自身の気持ちが浮上するのがわかった。
「あいつバカだから、悪気なく佐奈田くんに嫌なことしてるかもしんねえし」
「そんなことない!」
思わず、大きな声で否定していた。
「嫌なことなんて、何も」
嘘はないと判断したのか、渡貫は無表情に小さく頷いた。
「そっか。でもまあ、もし嫌なことされたら、言ってやってよ。元総長とか、関係ねえから。はっきり言ってやって」
「う、うん……」
「無理だったら、俺に言ってくれればいいから。俺が椎名シメるわ」
「うん。ありがとう」
椎名が佐奈田の元気がないのを気にしてくれていたように、その話を聞いた渡貫もまた、佐奈田のことを気にかけてくれていたのだろうか。優しい人だ。自然と、笑みが浮かんだ。
「ああーっ! ハジ! 触んな!」
トイレから戻ってきた椎名が、無表情にわしわし頭を撫でる渡貫と、髪をくしゃくしゃにされながら笑っている佐奈田に駆け寄ってきて、二人の間に強引に割り込んでぷんすかした。
ツーリングを終えて途中で渡貫と別れ、椎名にアパートまで送ってもらった佐奈田は、椎名を引き止めてお茶を出そうとしていた。冷蔵庫から取り出した麦茶をコップに注いでいると、背後から音もなく近寄ってきた椎名が、そっと佐奈田の肩にひたいを押し付けてくる。
「椎名くん?」
「佐奈田、」
佐奈田の服を摘む椎名の控えめな縋り方が、どうしようもなく彼への愛おしさを掻き乱す。
「一人でしてみたんだけど、うまくできなかった」
何を、と問うまでもない。
二人の間でなら、難なく通じる。
「触って、ほしい」
お茶を注ぐ手は、もうとっくに止まっていた。
「嫌だったら、そう言って」
『ーー嫌なことされたら、言ってやってよ。元総長とか、関係ねえから。はっきり言ってやって』
ついさっき別れたばかりの渡貫の言葉が、頭の中を通過する。
「ねえ、佐奈田ーー」
許されない。気持ち悪い。椎名が、じゃない。佐奈田が。佐奈田が許されなくて、気持ち悪い。
許されないのに、許されないけど。
気持ち悪いのに、気持ち悪いけど。
でも、椎名に触れることが嫌だなんて、そんなことはありえない。
嫌なはずが、ない。
椎名の性器に触れるのは、半月ぶりのことだった。
快感を期待してすでに頭をもたげているそれが、自分の股間にもついているはずなのに比べようもないくらい愛おしい。
親指と中指で輪っかを作って、その間を何度も繰り返し往復させる。先端の窪みに人差し指の先を立てれば、椎名の薄い唇から押し殺した喘ぎが漏れた。
「やっぱ、自分でするのと、違う」
「いい?」
「気持ち、いぃ」
「うん。すごい、濡れてきた」
「っぁ……ん、……先っぽ、もっと、ぐりぐりって、して」
要望通りに触れてやると、椎名は自分の脚の間に陣取る佐奈田の頭を髪に両指を絡めるようにして掻き抱いた。軽く引っ張られる痛みすらも、今の佐奈田にとっては興奮材料にしかならない。
愛しい男が、自分の手で快感に乱れている。
気持ちよくなっているのを見ていると、こっちまで気持ちよくなってしまう。
「あ、ーー出、る……っ!」
椎名は佐奈田の頭をぎゅうぎゅうに抱きしめて達した。荒い呼気を間近に感じながら、手のひらに吐き出された精を、佐奈田は物欲しげに見つめる。
ゆっくりと、椎名が身を離した。
我に返った佐奈田は、ティッシュを探して視線をさまよわせる。
「ねえ、佐奈田」
「なに、椎名くん」
「俺も、触っていい?」
はっとして、椎名へ目をやる。椎名の視線は、興奮に膨らんだ佐奈田の股間へ注がれていた。その眼差しから逃れるように身を捩って、ぽつり、佐奈田は拒絶を呟く。
「……だめ」
数瞬の沈黙。
「そっか」
軽くそう言って、椎名は引き下がった。
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