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第一章「迷宮都市フェーベル編」
第五話「二人の未来」
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精霊は人間が居なければ生き続ける事は難しく、魔物に対抗する魔法能力を持たない人間は、精霊の加護なしには生きられない。俺が村で平和に暮らせているのは、微精霊の加護を持つ村人達が村を防衛してくれているからだ。
「一緒に魔術師を目指そうよ。エミリアは氷の魔法が得意なんだね。俺に魔法を教えてくれないかな?」
「魔術師ですか? 勿論、魔法を教えるのはかまいませんよ」
「ありがとう、二人で魔術師として暮らしながら、この世界を旅するのもいいと思うんだ。俺は狭い村で一生終えたくないんだよ」
「そうですね。私も一生森で暮らすなんて嫌です。レオンさん、私に世界を見せて下さい」
「勿論。二人で旅をしようか」
「はい!」
エミリアを守りながら、最高の魔術師を目指して暮らす。村を出てエミリアと共に世界中を旅しよう。俺は精霊の加護を授かったのだ。シュルツ村には一人だって精霊の加護を持つ者は居ない。俺以外の全ての村人が微精霊の加護を持っているのだ。
今はまだ借り物の力だが、徹底的に魔法の訓練を積み、最強の魔術師を目指す。十四年間も魔法が使えない生活を送っていたんだ。今すぐにでも魔法の訓練を始めたい。
エミリアを連れてシュルツ村に戻りたいが、村人達は決してエミリアを歓迎しないだろう。旅立ちの日まではこの遺跡で暮らした方が良さそうだ。将来を考えるだけで喜びがこみ上げてくる。
俺はずっと魔術師になりたかった。遂に夢を叶えるために行動を始めるのだ。まずは一度村に戻り、グレートゴブリンの魔石を換金して旅の資金を作る。エミリアの事は両親にだけ伝え、家を出てエミリアと共に遺跡で暮らそう。
来月、十五歳の誕生日を迎えたら、エミリアと共に旅に出る。フリート大陸は十五歳で成人を迎える。昔から俺は成人を迎えれば冒険の旅に出ると決めていた。
シュヴァルツ王国内で最も魔法研究が盛んで、多くの魔術師ギルドがある王都ローゼンハインを目指して移動しよう。
「レオンさん、何を考えているんですか? なんだか凄く嬉しそうですね」
「これからの事を考えているんだよ。昔から魔術師に憧れていたし、冒険の旅にも出たいと思っていたんだ」
「私も、もし契約者を見つけたら、契約者と共に旅に出たいと思っていました」
「まずは王都ローゼンハインを目指そう。魔術師ギルドに加入して、二人で仕事をしながら暮らすんだ」
「はい、レオンさんと一緒に魔術師になりたいです……!」
「その前に、これから俺は一度村に戻るよ。両親が心配していると思うからね」
「そうですよね。村の近くまで一緒に付いて行っても良いですか?」
「うん。本当は一緒に村に入りたいけど、きっと村人達はエミリアを歓迎してくれないと思うから……」
エミリアをしつこく追い回し、挙句の果てにはエミリアを監禁し、強引に加護を得ようとした精霊狩りが氷漬けにされた事件はシュルツ村では有名だ。事件以降、氷姫は人間を殺める危険な精霊、決して近付いてはならないと言い伝えられている。
精霊を殺し、精霊が体内持つ精霊石に触れた瞬間、人間は永遠の加護を得る。神が自身の力を授けた存在である精霊の力、すなわち神の力を得るのだ。通常は精霊が認めた人間のみが加護を得られる。過激な魔術師の中には精霊を殺してでも加護を得ようとする者が居るのだ。
エミリアはかつて精霊狩りを殺している。実物のエミリアはこんなにも美しく、素直で、人間を助けてくれる神聖な精霊だというのに、生命の危険を感じて精霊狩りを殺しただけで迫害されているのは可哀相だ。誰もエミリアの事を知らない土地に行こう。俺達は新たな人生を歩むのだ。
それから俺はエミリアと共に外に出た。ここは古代に人間と精霊が共に暮らしていた場所なのだろう。石で作られた民家が点在しており、神聖な魔力が漂う空間は幻想的で、背の高い木々に囲まれたこの空間には、非常に澄んだ空気と穏やかな魔力の流れを感じる。
遺跡の至る所に人間と精霊が手を取り合って暮らす姿が描かれている。まさに俺が長年憧れていた精霊との生活を描いた壁画が多くあるのだ。エミリアがゆっくりと壁画に触れると、俺を見つめて微笑んだ。
「私、この場所は好きなんですが、一人で居るととても寂しいんです。私は氷山で生まれました。強い氷の魔力が蔓延する地で生を受け、それから契約者を探す旅に出ました。やっとシュルツ村に辿り着いたのですが、まともな人間は一人も居ませんでした。誰もが我先にと、私から加護を受けようとし、様々な贈り物をしてくれました」
「……」
「私が加護を与える人間を選んでいると、そのうち殺し合いが起こりました。他人を殺してでも私の加護を得たい、私を誘拐してでも加護を得たい。私はそんな人間に失望して、一人でこの遺跡で暮らし始めたんです」
「そうだったんだね……」
「はい。レオンさん、精霊の加護は非常に強力なものです。他人を殺す事も容易いでしょう。きっとレオンさんは優れた魔術師になれます。ですが、レオンさんの力は私を守るために、力のない人間や微精霊を守るために使って下さい……」
「それは分かっているよ。俺は誰よりも弱かった。微精霊の加護を持つ人達に守られて生きてきたんだ。今度は俺が他人を守ろうと思う。もう守られているだけの暮らしは嫌なんだ。もし俺が加護を正しく使っていなかったと思ったら、俺との契約を破棄してくれても構わないからね」
契約を破棄された人間は、全ての魔法能力を失う。つい数時間前の俺と同じ、無属性の人間になるのだ。精霊は人間との契約を破棄する事が出来る。より自分の加護を活かせる人間を選び、契約破棄を繰り返す精霊も多いと聞く。
まずはシュルツ村に戻り、魔石の買い取りをお願いしよう。一体幻獣の魔石がどれだけの値段で買い取って貰えるのか想像も出来ない。お金が出来たらエミリアに美味しい料理を食べさせてあげよう。
精霊は人間の道具ではないからな。愛情を持って接しなければならない。やっと俺は加護を得たのだ。エミリアから信頼して貰える人間になる努力をしよう。
俺とエミリアは遺跡を抜け、再び迷いの森を歩き出した……。
「一緒に魔術師を目指そうよ。エミリアは氷の魔法が得意なんだね。俺に魔法を教えてくれないかな?」
「魔術師ですか? 勿論、魔法を教えるのはかまいませんよ」
「ありがとう、二人で魔術師として暮らしながら、この世界を旅するのもいいと思うんだ。俺は狭い村で一生終えたくないんだよ」
「そうですね。私も一生森で暮らすなんて嫌です。レオンさん、私に世界を見せて下さい」
「勿論。二人で旅をしようか」
「はい!」
エミリアを守りながら、最高の魔術師を目指して暮らす。村を出てエミリアと共に世界中を旅しよう。俺は精霊の加護を授かったのだ。シュルツ村には一人だって精霊の加護を持つ者は居ない。俺以外の全ての村人が微精霊の加護を持っているのだ。
今はまだ借り物の力だが、徹底的に魔法の訓練を積み、最強の魔術師を目指す。十四年間も魔法が使えない生活を送っていたんだ。今すぐにでも魔法の訓練を始めたい。
エミリアを連れてシュルツ村に戻りたいが、村人達は決してエミリアを歓迎しないだろう。旅立ちの日まではこの遺跡で暮らした方が良さそうだ。将来を考えるだけで喜びがこみ上げてくる。
俺はずっと魔術師になりたかった。遂に夢を叶えるために行動を始めるのだ。まずは一度村に戻り、グレートゴブリンの魔石を換金して旅の資金を作る。エミリアの事は両親にだけ伝え、家を出てエミリアと共に遺跡で暮らそう。
来月、十五歳の誕生日を迎えたら、エミリアと共に旅に出る。フリート大陸は十五歳で成人を迎える。昔から俺は成人を迎えれば冒険の旅に出ると決めていた。
シュヴァルツ王国内で最も魔法研究が盛んで、多くの魔術師ギルドがある王都ローゼンハインを目指して移動しよう。
「レオンさん、何を考えているんですか? なんだか凄く嬉しそうですね」
「これからの事を考えているんだよ。昔から魔術師に憧れていたし、冒険の旅にも出たいと思っていたんだ」
「私も、もし契約者を見つけたら、契約者と共に旅に出たいと思っていました」
「まずは王都ローゼンハインを目指そう。魔術師ギルドに加入して、二人で仕事をしながら暮らすんだ」
「はい、レオンさんと一緒に魔術師になりたいです……!」
「その前に、これから俺は一度村に戻るよ。両親が心配していると思うからね」
「そうですよね。村の近くまで一緒に付いて行っても良いですか?」
「うん。本当は一緒に村に入りたいけど、きっと村人達はエミリアを歓迎してくれないと思うから……」
エミリアをしつこく追い回し、挙句の果てにはエミリアを監禁し、強引に加護を得ようとした精霊狩りが氷漬けにされた事件はシュルツ村では有名だ。事件以降、氷姫は人間を殺める危険な精霊、決して近付いてはならないと言い伝えられている。
精霊を殺し、精霊が体内持つ精霊石に触れた瞬間、人間は永遠の加護を得る。神が自身の力を授けた存在である精霊の力、すなわち神の力を得るのだ。通常は精霊が認めた人間のみが加護を得られる。過激な魔術師の中には精霊を殺してでも加護を得ようとする者が居るのだ。
エミリアはかつて精霊狩りを殺している。実物のエミリアはこんなにも美しく、素直で、人間を助けてくれる神聖な精霊だというのに、生命の危険を感じて精霊狩りを殺しただけで迫害されているのは可哀相だ。誰もエミリアの事を知らない土地に行こう。俺達は新たな人生を歩むのだ。
それから俺はエミリアと共に外に出た。ここは古代に人間と精霊が共に暮らしていた場所なのだろう。石で作られた民家が点在しており、神聖な魔力が漂う空間は幻想的で、背の高い木々に囲まれたこの空間には、非常に澄んだ空気と穏やかな魔力の流れを感じる。
遺跡の至る所に人間と精霊が手を取り合って暮らす姿が描かれている。まさに俺が長年憧れていた精霊との生活を描いた壁画が多くあるのだ。エミリアがゆっくりと壁画に触れると、俺を見つめて微笑んだ。
「私、この場所は好きなんですが、一人で居るととても寂しいんです。私は氷山で生まれました。強い氷の魔力が蔓延する地で生を受け、それから契約者を探す旅に出ました。やっとシュルツ村に辿り着いたのですが、まともな人間は一人も居ませんでした。誰もが我先にと、私から加護を受けようとし、様々な贈り物をしてくれました」
「……」
「私が加護を与える人間を選んでいると、そのうち殺し合いが起こりました。他人を殺してでも私の加護を得たい、私を誘拐してでも加護を得たい。私はそんな人間に失望して、一人でこの遺跡で暮らし始めたんです」
「そうだったんだね……」
「はい。レオンさん、精霊の加護は非常に強力なものです。他人を殺す事も容易いでしょう。きっとレオンさんは優れた魔術師になれます。ですが、レオンさんの力は私を守るために、力のない人間や微精霊を守るために使って下さい……」
「それは分かっているよ。俺は誰よりも弱かった。微精霊の加護を持つ人達に守られて生きてきたんだ。今度は俺が他人を守ろうと思う。もう守られているだけの暮らしは嫌なんだ。もし俺が加護を正しく使っていなかったと思ったら、俺との契約を破棄してくれても構わないからね」
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