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第一章「迷宮都市フェーベル編」
第六話「加護を持つ者」
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深い森をエミリアと共にゆっくりと歩く。普段は一人で森に入るから、こうして誰かと共に森に居る事が新鮮だ。エミリアは人間が入り込まない迷いの森に入り、魔力を使い果たさない様に魔物を狩りながら暮らしていたのだとか。
ここは魔物が多く巣食う森だからか、彼女の生活を脅かす魔物が数多く存在する。エミリアは自分から魔物を狩りに出かける事はないが、遺跡の付近に潜む魔物は定期的に討伐する事にしているらしい。
エミリアは魔石をギルドに持ち込めば買い取って貰える事を知らなかったのか、魔物を討伐しても魔石は回収しなかったらしい。エミリアは人間の常識を知らないから、これから俺が彼女に人間社会の決まりを教えなければならないだろう。
「そういえば、精霊って食べ物を必要としないんだよね」
「はい、精霊は魔力を頂いて生きるので、食料は必要ないんです」
「人間から魔力を貰うには契約者の体に触れるだけで良いんだよね」
「そうみたいです。私も初めてレオンさんから魔力を貰ったので、まだ勝手が分かりません。レオンさんの体に触れている時はとても心地が良くて、全身に魔力が満ちる様でした」
「契約者すら持たずにこの森で暮らすのは大変だったんじゃない?」
「そうですね、魔物を退けるために魔法を使いすぎては、たちまち魔力が枯渇して意識を失います。魔力を失った状態が五分も続けば精霊は消滅すると聞いた事があります」
「消滅か……、魔力を切らさない様に気をつけよう」
エミリアは食べ物を必要としないと言っていたが、せっかく一緒に暮らすのなら、美味しい料理を沢山食べて貰いたいと思う。
「あの……、少し手を繋いでも良いですか? もう少しだけ魔力を分けて欲しいんです……」
「いいよ」
エミリアが恥ずかしそうに俺の手を握ると、俺は彼女の愛らしさに思わずときめいた。長い銀髪が何とも言えない幻想的な雰囲気を醸し出しており、緑色の透き通る様な瞳も美しい。容姿は完璧に俺のタイプだ。
俺は十四年間で一度も女性と付き合った事がない。告白だってされた事はない。グリムは二種類の微精霊を持っているからか、村の若い女達から絶大な人気がある。家柄もシュタイナー家よりも遥かに良く、優れた魔術師を多く輩出してきたグリム家は長年シュルツ村を守り続けてきた。
幼い頃は仲が良かったが、いつからかグリムが高圧的な態度を取る様になった。「微精霊すら持たない落ちこぼれのシュタイナー」と、何度も俺をあざ笑った。どうしてグリムみたいな性格の悪い人間に二種類の微精霊が加護を与えているか理解すら出来ない。
エミリアにグリムの話をすると、彼女は楽しそうに笑い出した。
「レオンさん、微精霊は精霊の様に知能が高くないんです。単純にグリムという男が持つ魔力が心地良く感じたから加護を授けただけでしょう。魔術師の家系に生まれ、両親から強い魔力を授かって生まれたグリムは、生まれつきレオンさんよりも魔力が高かったんです」
「やっぱり家系なのか……」
「だけど、精霊の私はレオンさんを選びました。実は、私は以前からレオンさんの事を知っていたんです」
「以前から?」
「はい。レオンさんが森で微精霊を探している事も知っていました。何度微精霊に断られても、めげずに自分を認めてくれる微精霊を探し続けている事を知っていたんです。私は何度も森でレオンさんを見ている内に、この人なら精霊の私を受け入れてくれる、私の加護を正しく使ってくれるだろうと思ったんです」
「それで今日初めて俺の前に姿を現してくれたんだね」
「はい、とても恥ずかしかったです。本当はもっと時間を掛けてレオンさんの事を観察しようと思っていました。ですが、グレートゴブリンに襲われているレオンさんを助けずにはいられなかったんです」
エミリアは俺の事を知っていたのだ。毎日の様に森に入り、微精霊を見つけ出しては口説き続けた。何度断られても俺は諦めなかった。いつか俺に加護を授けてくれる微精霊が居ると思ったからだ。そう思いたかったんだ。何十回断られても、魔術師になる道はあると思いたかった。だから俺は諦めずに自分に加護を授けてくれる微精霊を探し続けた。
エミリアは俺の森での行いを見ていたのだ。俺はエミリアを初めて見たが、エミリアは今まで何度も俺の事を見てきた。初対面なのにもかかわらず、俺と距離が近いのは、彼女が俺に好意を抱いてくれているからなのだろう。
村の娘達とは比較にならない程の美貌を持つエミリアが俺を認めてくれていたのだ。恋人を作りたいと思っても、「微精霊すら持たない無属性のレオンはお断り」だと、村の女達はグリムと共に俺を馬鹿にした。
「精霊は加護を与える相手について良く観察し、自分の力を正しく使える人を選びます。レオンさんなら私を守りながら、加護の力を正しく使ってくれると思ったんです。氷の加護は氷属性の魔法攻撃力を上昇させる、非常に強力な加護です」
「氷属性の魔法か。早く魔法の練習を始めたいよ。エミリアはアイスショットの魔法が得意なの?」
「そうですね、魔力の消費も少ないですし、大抵の魔物はアイスショット一発で退ける事が出来ますから、好んで使っているんです。レオンさんもすぐに覚えられる筈ですよ。まずは氷を作り出す魔法から学んでみましょう」
エミリアが右手を開くと、小さな氷の塊が出来上がった。これはアイスという氷属性の基本魔法で、対象に飛ばせばアイスショットという攻撃魔法になり、武器を持った状態で使用すればエンチャント・アイスの魔法になる。
俺はエミリアの真似をして何度かアイスの魔法を使用してみると、すぐに小さな氷を作り出す事に成功した。作り上げた氷を木に向かって飛ばすと、アイスショットの魔法が成功した。勿論、威力は非常に弱く、木の表面を傷付けるだけで殺傷能力は極めて低い。
「魔法が自由に使えるって、最高の気分だよ!」
「今まで魔法を使えなくて苦労してきたんですよね」
「村で魔法が使えないのは俺だけだったからね。そのせいで何度も馬鹿にされてきたよ」
「悔しかったですか?」
「そうだね、だけどこうしてエミリアと出会えたから、これからは魔術師を目指して訓練を積む事にするよ。過去の事ばかり考えていても仕方がないからね」
「はい! 一緒に魔術師になりましょう。私、魔法なら自信があるんです」
エミリアが可愛らしく微笑むと、俺はすっかり彼女の笑顔が好きになっている事に気がついた。ゆっくり時間を掛けてエミリアの事を知り、彼女と共に暮らしたい。今日からエミリアとの生活を始めるのだ。
契約者は精霊を守る義務がある。家を出て遺跡で暮らそう。そろそろシュルツ村だ。まずは魔石を換金し、旅の資金を作ろう。すぐに冒険の旅に出るのだ。魔法を学びながら世界中を旅し、王都ローゼンハインで魔術師として暮らす。
今日から俺の新たな人生が始まるのだ……。
ここは魔物が多く巣食う森だからか、彼女の生活を脅かす魔物が数多く存在する。エミリアは自分から魔物を狩りに出かける事はないが、遺跡の付近に潜む魔物は定期的に討伐する事にしているらしい。
エミリアは魔石をギルドに持ち込めば買い取って貰える事を知らなかったのか、魔物を討伐しても魔石は回収しなかったらしい。エミリアは人間の常識を知らないから、これから俺が彼女に人間社会の決まりを教えなければならないだろう。
「そういえば、精霊って食べ物を必要としないんだよね」
「はい、精霊は魔力を頂いて生きるので、食料は必要ないんです」
「人間から魔力を貰うには契約者の体に触れるだけで良いんだよね」
「そうみたいです。私も初めてレオンさんから魔力を貰ったので、まだ勝手が分かりません。レオンさんの体に触れている時はとても心地が良くて、全身に魔力が満ちる様でした」
「契約者すら持たずにこの森で暮らすのは大変だったんじゃない?」
「そうですね、魔物を退けるために魔法を使いすぎては、たちまち魔力が枯渇して意識を失います。魔力を失った状態が五分も続けば精霊は消滅すると聞いた事があります」
「消滅か……、魔力を切らさない様に気をつけよう」
エミリアは食べ物を必要としないと言っていたが、せっかく一緒に暮らすのなら、美味しい料理を沢山食べて貰いたいと思う。
「あの……、少し手を繋いでも良いですか? もう少しだけ魔力を分けて欲しいんです……」
「いいよ」
エミリアが恥ずかしそうに俺の手を握ると、俺は彼女の愛らしさに思わずときめいた。長い銀髪が何とも言えない幻想的な雰囲気を醸し出しており、緑色の透き通る様な瞳も美しい。容姿は完璧に俺のタイプだ。
俺は十四年間で一度も女性と付き合った事がない。告白だってされた事はない。グリムは二種類の微精霊を持っているからか、村の若い女達から絶大な人気がある。家柄もシュタイナー家よりも遥かに良く、優れた魔術師を多く輩出してきたグリム家は長年シュルツ村を守り続けてきた。
幼い頃は仲が良かったが、いつからかグリムが高圧的な態度を取る様になった。「微精霊すら持たない落ちこぼれのシュタイナー」と、何度も俺をあざ笑った。どうしてグリムみたいな性格の悪い人間に二種類の微精霊が加護を与えているか理解すら出来ない。
エミリアにグリムの話をすると、彼女は楽しそうに笑い出した。
「レオンさん、微精霊は精霊の様に知能が高くないんです。単純にグリムという男が持つ魔力が心地良く感じたから加護を授けただけでしょう。魔術師の家系に生まれ、両親から強い魔力を授かって生まれたグリムは、生まれつきレオンさんよりも魔力が高かったんです」
「やっぱり家系なのか……」
「だけど、精霊の私はレオンさんを選びました。実は、私は以前からレオンさんの事を知っていたんです」
「以前から?」
「はい。レオンさんが森で微精霊を探している事も知っていました。何度微精霊に断られても、めげずに自分を認めてくれる微精霊を探し続けている事を知っていたんです。私は何度も森でレオンさんを見ている内に、この人なら精霊の私を受け入れてくれる、私の加護を正しく使ってくれるだろうと思ったんです」
「それで今日初めて俺の前に姿を現してくれたんだね」
「はい、とても恥ずかしかったです。本当はもっと時間を掛けてレオンさんの事を観察しようと思っていました。ですが、グレートゴブリンに襲われているレオンさんを助けずにはいられなかったんです」
エミリアは俺の事を知っていたのだ。毎日の様に森に入り、微精霊を見つけ出しては口説き続けた。何度断られても俺は諦めなかった。いつか俺に加護を授けてくれる微精霊が居ると思ったからだ。そう思いたかったんだ。何十回断られても、魔術師になる道はあると思いたかった。だから俺は諦めずに自分に加護を授けてくれる微精霊を探し続けた。
エミリアは俺の森での行いを見ていたのだ。俺はエミリアを初めて見たが、エミリアは今まで何度も俺の事を見てきた。初対面なのにもかかわらず、俺と距離が近いのは、彼女が俺に好意を抱いてくれているからなのだろう。
村の娘達とは比較にならない程の美貌を持つエミリアが俺を認めてくれていたのだ。恋人を作りたいと思っても、「微精霊すら持たない無属性のレオンはお断り」だと、村の女達はグリムと共に俺を馬鹿にした。
「精霊は加護を与える相手について良く観察し、自分の力を正しく使える人を選びます。レオンさんなら私を守りながら、加護の力を正しく使ってくれると思ったんです。氷の加護は氷属性の魔法攻撃力を上昇させる、非常に強力な加護です」
「氷属性の魔法か。早く魔法の練習を始めたいよ。エミリアはアイスショットの魔法が得意なの?」
「そうですね、魔力の消費も少ないですし、大抵の魔物はアイスショット一発で退ける事が出来ますから、好んで使っているんです。レオンさんもすぐに覚えられる筈ですよ。まずは氷を作り出す魔法から学んでみましょう」
エミリアが右手を開くと、小さな氷の塊が出来上がった。これはアイスという氷属性の基本魔法で、対象に飛ばせばアイスショットという攻撃魔法になり、武器を持った状態で使用すればエンチャント・アイスの魔法になる。
俺はエミリアの真似をして何度かアイスの魔法を使用してみると、すぐに小さな氷を作り出す事に成功した。作り上げた氷を木に向かって飛ばすと、アイスショットの魔法が成功した。勿論、威力は非常に弱く、木の表面を傷付けるだけで殺傷能力は極めて低い。
「魔法が自由に使えるって、最高の気分だよ!」
「今まで魔法を使えなくて苦労してきたんですよね」
「村で魔法が使えないのは俺だけだったからね。そのせいで何度も馬鹿にされてきたよ」
「悔しかったですか?」
「そうだね、だけどこうしてエミリアと出会えたから、これからは魔術師を目指して訓練を積む事にするよ。過去の事ばかり考えていても仕方がないからね」
「はい! 一緒に魔術師になりましょう。私、魔法なら自信があるんです」
エミリアが可愛らしく微笑むと、俺はすっかり彼女の笑顔が好きになっている事に気がついた。ゆっくり時間を掛けてエミリアの事を知り、彼女と共に暮らしたい。今日からエミリアとの生活を始めるのだ。
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