ツンチョロ年上男子さんとスパダリ年下わんこくん

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〚ぼくのよくぼう〛

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「おめでとう~!悟、まるで王子様みたいだったねぇ!素敵だった~♡私もああやってプロポーズしようかなぁ♡」
「うわ~~!よかった~~~!!東雲さん~~~!!!よかったよぉ~~~!!!」
「あはは……っ。ありがとうございます。ご迷惑もご心配もかけて……本当に、すみませんでした」

 カフェの外。
 俺は完全に祝福モードの緋鷹さんと真野くんにぎゅうぎゅう抱きつかれて、おしくらまんじゅうされている。ああ、よかった。本当によかった。遠くでは俺達の馬鹿騒ぎを、吉乃さんとスミさんがのほほんと眺めている。

「ふふっ。良かったですね、晦さん。ちゃんと、自分の気持ちを伝えられて」
「う……うるさい。店の中であんな騒ぎを起こされて、暫くはここに通えないぞ。一体どうしてくれるんだ」
「えっ。あっ。そ、それもそうですね、すみません……!あ、あのっ、僕、代わりの喫茶店を探しておきますから……!」
「っ……いいっ、ただの言葉の綾だ!何でも額面通りに受け取るな、このお人好しがっ!」
「ひゃああっ。ご、ごめんなさい……っ!」

 キツい吉乃さんの言い回しにスミさんは怯えるように縮こまるけど、スミさんの素直すぎる反応に実際タジタジなのは吉乃さんのほうだろう。やっぱり思った通り吉乃さんはスミさんに激弱だ。はぁっ。よわよわ吉乃さん、可愛すぎる……っ♡

「それで……悟?これから、どうするんだい?一回会社に戻るの?」
「ああ、そうですね、そうだった。社長にも報告しなきゃだし、一回戻ったほうが……、」
「あ……っ。いや!そこは!俺が!話をつけますんで!ねっ!東雲さん!ね!もう!これは!ねっ!!」
「……。」

 緋鷹さんの問い掛けと俺の返答をずずいっと大げさに遮る真野くんに、俺は白い目を向ける。このあからさまな対応は、どう考えても下世話な方向だ。

「真野くん、ほんと、そういうとこあるよなぁ……」
「いや!でもね!やっぱ!トラブった後のアレは!ね!サイコーなんで!東雲さんにも!やっぱ!シて貰わないとっ!!後輩として!!責任、取りますんで!!ねっ!!!」
「……。」

 こんなときでも、他人相手でも、スケベを狙うのに余念がない真症ドピンク脳極まりない真野くんのお節介に、流石に呆れがとまらない。
 ……でも正直、俺もそうしたいとは思っていた。今しかできない、今だからできる、そういう繋がりをちゃんと結んでおきたいって、密かに、そう思っていた。それなら、今日だけはお言葉に甘えてもいいかもしれない。俺は二人を見比べて、そっと吉乃さんと距離を詰める。

「ね。吉乃さん」
「あ……。な、なんだ、悟」

 近くで声を掛けて上目遣いをすると、わかりやすく吉乃さんはたじろいだ。さっきはあんなに素直で毅然としていて格好良かったのに、すぐに元のツンチョロ男子に戻っちゃう吉乃さんが可愛くて仕方ない。だから俺は、もう何も隠さず、自分の欲望をむき出しにすることを決める。やっとここまで来た。やっと、ここまで来れた。
 それならこのひとを、ぜったいに。
 俺のものに。俺だけのものに。
 するんだ──って。

「今から俺の家、行こ?俺の家で。俺のベッドでさ。俺のものに、なって?」
「な。なっ。──!!!!!!」

 俺の発言に、絶句して顔を真っ赤にする吉乃さん。後ろでスミさんも負けず劣らず顔を赤くして、真野くんは理想通りの展開にきたーっ!!と大声で叫んで、緋鷹さんはわぁ~♡とわくわく肩を弾ませている。それぞれがそれぞれに好きな反応を見せるその景色は、俺にとって、なんだかとても尊いものに思える。誰一人抑圧されることなく、誰一人阻害されることなく、それぞれがそれぞれのまま、なにもかもを尊重し合っている証のように思えたからだ。

「ね!行こっ♡」
「あ……うわ……ッ、さ、悟……ッ!♡」

 それならもう俺も、遠慮はしない。俺は俺達のことを想って、そうして俺達を取り持ってくれたすべての人に感謝を示すように、吉乃さんの手を取ってタクシーを捕まえに行く。顔を真っ赤にしたまま、それでもその瞳に浅はかな期待を隠しきれない顔をする吉乃さんに──今まででいちばんの、オスの欲望を、滾らせて。
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