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四章 アレクサンドラとディアナ
82.未来-1
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氷の山を溶かして中に入りアレクサンドラはディアナと相対したが、一瞬目の前にいるのが誰だかわからなかった。
ディアナは焼け爛れた半身を氷で覆い身体を支えていた。
しかし何より無事なはずの半身も、肉が削げ皺が寄り目が落ちくぼんだ骨と皮だけの姿で、生きてそこに立っているのが不思議なくらいだった。
『やはり生きていたか、アレクサンドラ』
『えぇ、もう逃げられないわよ』
『逃げられないならせめてお前を道連れにしてやる』
しわがれた声はアレクサンドラの知っているディアナの声とはまるで違って聞こえた。
シルヴィオもジェーンもディアナの異様な姿に気圧されているようだ。
『まだそんな魔力が残っているとはな。あの娘か?』
アレクサンドラはディアナの問いを無視して、炎の球を飛ばすが壁から生えてきた氷の腕がたたき落とす。
『お前はアタシに魔術を使うなと言って、自分だけ王宮の奴らに助けてもらえるようにしたのだろう?』
ディアナが叫ぶと同時に、氷の腕がアレクサンドラに次々と襲いかかる。
『お前よりアタシの方が才能があった。お前に邪魔をされなければアタシがその場所にいた』
『お前さえいなければ』
『それは全部アタシの物だ。返せ!!』
しゃがれた叫び声と共に四方八方から伸びる氷の腕が一気にアレクサンドラに襲いかかりその姿を覆い尽くした。
ジェーンとシルヴィオが魔力をまとった剣で氷の腕を削ろうとした瞬間、氷の腕の塊から水蒸気が上がりドシャリと一瞬で溶けて崩れ落ちた。
アレクサンドラの周りには熱風が渦巻き、その勢いが増して立ち上ると氷の山を内部から溶かしていく。
ジェーンとシルヴィオはマリーベルのかけた防御壁で、アレクサンドラの熱風と降り注ぐ水と氷から必死に耐えた。
『クソッ!』
ディアナが青い魔力玉を出してさらに攻撃をしようとした瞬間、青い魔力玉が制御を失いそのままディアナの身体をバキバキと凍らせていく。
『何?』
『な……!?』
アレクサンドラとディアナの声が重なる。
ディアナは驚愕の表情を浮かべ凍りついていく身体を眺めていたが、瞬く間に全身を氷に包まれてしまった。
本来、自分の魔力で作られた物は自分の身体には影響しないはずなのに。
アレクサンドラはディアナに駆け寄って急いでその身体を包む氷を溶かしていくが、氷を溶かしてみてもディアナの息は既に無かった。
*****
アレクサンドラが真子の様子を気にしながら話を続ける。
「フェリシア様の言っていたヤドナの秘術の反動なのかもしれないわね」
「廃坑でマーコに魔力付与をしてもらっていたでしょう? マーコの魔力を使ってディアナを傷つけたくなくて、生きて捕らえたいと思っていたのだけど」
廃坑で夜明けを待つ間に、真子はアレクサンドラに魔力付与を行なっていた。
真子はアレクサンドラの背中に手を回すと腕に力を入れて抱きついた。
「狭間の世界でも、氷の山に向かった時も、アレクが死んじゃうかと思って怖かった」
アレクサンドラがなだめるように真子の背中をポンポンと叩く。
真子はアレクサンドラの背中の服をギュッとその手に握りこんだ。
「多分、私、今まで生きてなかった」
真子がアレクサンドラの胸の中でつぶやいた。
ディアナは焼け爛れた半身を氷で覆い身体を支えていた。
しかし何より無事なはずの半身も、肉が削げ皺が寄り目が落ちくぼんだ骨と皮だけの姿で、生きてそこに立っているのが不思議なくらいだった。
『やはり生きていたか、アレクサンドラ』
『えぇ、もう逃げられないわよ』
『逃げられないならせめてお前を道連れにしてやる』
しわがれた声はアレクサンドラの知っているディアナの声とはまるで違って聞こえた。
シルヴィオもジェーンもディアナの異様な姿に気圧されているようだ。
『まだそんな魔力が残っているとはな。あの娘か?』
アレクサンドラはディアナの問いを無視して、炎の球を飛ばすが壁から生えてきた氷の腕がたたき落とす。
『お前はアタシに魔術を使うなと言って、自分だけ王宮の奴らに助けてもらえるようにしたのだろう?』
ディアナが叫ぶと同時に、氷の腕がアレクサンドラに次々と襲いかかる。
『お前よりアタシの方が才能があった。お前に邪魔をされなければアタシがその場所にいた』
『お前さえいなければ』
『それは全部アタシの物だ。返せ!!』
しゃがれた叫び声と共に四方八方から伸びる氷の腕が一気にアレクサンドラに襲いかかりその姿を覆い尽くした。
ジェーンとシルヴィオが魔力をまとった剣で氷の腕を削ろうとした瞬間、氷の腕の塊から水蒸気が上がりドシャリと一瞬で溶けて崩れ落ちた。
アレクサンドラの周りには熱風が渦巻き、その勢いが増して立ち上ると氷の山を内部から溶かしていく。
ジェーンとシルヴィオはマリーベルのかけた防御壁で、アレクサンドラの熱風と降り注ぐ水と氷から必死に耐えた。
『クソッ!』
ディアナが青い魔力玉を出してさらに攻撃をしようとした瞬間、青い魔力玉が制御を失いそのままディアナの身体をバキバキと凍らせていく。
『何?』
『な……!?』
アレクサンドラとディアナの声が重なる。
ディアナは驚愕の表情を浮かべ凍りついていく身体を眺めていたが、瞬く間に全身を氷に包まれてしまった。
本来、自分の魔力で作られた物は自分の身体には影響しないはずなのに。
アレクサンドラはディアナに駆け寄って急いでその身体を包む氷を溶かしていくが、氷を溶かしてみてもディアナの息は既に無かった。
*****
アレクサンドラが真子の様子を気にしながら話を続ける。
「フェリシア様の言っていたヤドナの秘術の反動なのかもしれないわね」
「廃坑でマーコに魔力付与をしてもらっていたでしょう? マーコの魔力を使ってディアナを傷つけたくなくて、生きて捕らえたいと思っていたのだけど」
廃坑で夜明けを待つ間に、真子はアレクサンドラに魔力付与を行なっていた。
真子はアレクサンドラの背中に手を回すと腕に力を入れて抱きついた。
「狭間の世界でも、氷の山に向かった時も、アレクが死んじゃうかと思って怖かった」
アレクサンドラがなだめるように真子の背中をポンポンと叩く。
真子はアレクサンドラの背中の服をギュッとその手に握りこんだ。
「多分、私、今まで生きてなかった」
真子がアレクサンドラの胸の中でつぶやいた。
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