【R18/完結】猫は魚を食べちゃいたい(※性的な意味で)〜愛され巫女の運命の番は美形で意地悪な吟遊詩人〜

河津ミネ

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二章 巫女の舞

23.アイラナでの生活-1

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 アミルが襲われてから二日後、連絡船はようやくアイラナを発ってウトビアに向かった。
 アミルを襲った大柄な男が連絡船に乗り込んだのをしっかりと確認してから、アミルはカプ島の小屋からマラマ島の宿屋へと移動した。

「とりあえず金を稼がないとな」

 カバンからお金を抜かれてしまったので、今のアミルはお金を持ってなかった。
 宿屋でも前金を要求され、ルルティアが立て替えようとしたが「巫女さまに免じて」と特別に許してもらえた。
 さらに一緒に市場を歩いていると「アクアさまにお供えだ」と言って色々ともらえた。

「あんた便利だな」

「私はあなたの財布じゃないんだけど」

 パンに揚げた肉を挟んだものにかぶりつきながら市場を抜ける。
 アミルは元々ひと月の間はアイラナにとどまり、足りないお金はその場で稼ぐつもりだったらしい。

「宴の時に楽団の連中にどっかで働けないかって聞いといたから、しばらくはそこで金を稼ぐかな」

 パンを食べ終えたアミルがペロリと指を舐めた。
 その仕草を目で追ってから、ルルティアは自分がアミルの顔をジッと見つめていたことに気づいた。
 あわてて目を逸らしてパンの残りを口に押し込む。
 パウさまから聞いた番だとか運命の相手だとかの話が頭をよぎり顔が熱くなってくる。

(違う! 違うから……!)

「ん? どうした、ルー?」

「なんでもないっ!」

 ルルティアは頭を大きくふって余計なことを追い出した。

 ルルティアの案内で繁華街の方に向かったが、まだ日が高いので準備中のお店が多かった。

「アミル~」

 店の前で開店準備をしていた三人組のキレイな女性がアミルに気づいて手をふってきた。
 宴に来ていた踊り子のお姉さんたちだった。
 お姉さんたちはアミルの隣にルルティアがいることに気がついた。

「あら、ルルティアさまじゃない。アミル、巫女さまに手ぇ出しちゃダメよぉ?」

「こんな子どもに手を出さねぇよ」

「む、子どもじゃないったら!」

 ルルティアが言い返すと、紫の髪の妖艶なお姉さんがスルリとアミルの首に腕を回して抱きついた。

「あらぁ、じゃあ大人の私なんてどう?」

「それはそれで後が怖そうだ」

 アミルはフッと笑って巻かれた腕をゆるりと外す。
 そうよねぇ~、と残りの二人がキャラキャラと笑っている。

「金を稼ぎたいんだけど何か仕事ないか?」

「こっち?」

 紫髪のお姉さんがめげずにアミルの頬をするりとなでる。

「いいや、こっち」

 アミルは肩をすくめてリュートを持ち上げてみせた。

「なんだ、残念」

 アミルのつれない態度に、紫髪のお姉さんが流し目をしながら口を尖らせる。

「あきらめな。あんまり遊びが過ぎるとあんたの恋人に怒られるよ」

「アミル、後でウチのお店においでよ。店長に言っておくからさ。あんたの腕なら問題ない」

 二人のお姉さんがアミルに仕事の斡旋を約束してくれた。
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